見出し画像

R-1グランプリ2024 感想・個人的採点

R-1グランプリ2024が開催され、街裏ぴんくの優勝で幕を下ろしました🏆
一般視聴者はともかく、お笑い好きで彼を知らない人はいませんし、決勝まで上がってきさえすれば玄人評価も高いのは見えていました。優勝候補としては吉住もいましたが、割と下馬評通りの展開になったのではないでしょうか。

ところで度重なる審査方法の変更や、ヤラセ騒動など負の話題に事欠かないこの大会ですが、私は今回観客の質がめちゃくちゃ不満でした。
ヘッドホンつけて見てたせいもありますが、観客の笑い声以外の反応があるのがすごく気になるんですよね。

街裏ぴんくの1本目のネタで、「石川啄木の祖父は石川川石」というくだりに「へー😳💡」という反応がありましたよね?????
そこでその反応はおかしいやろ!!!出てきていきなりその話から初めたなら、まぁ分からんでもないと!確かに丁寧に振らないと初見の客に対してウソ漫談はリスクある芸風ですよ?
でも、あんなに喋ったネタの中盤でその反応はどういうことやと!!今までの話どう思って聞いてたんやと!!
後もう1つ、「最近温水プールに行き始めた」という導入にも同じ反応ありましたよね、、、あれはもう完全にネタの邪魔です。
お前は漫才師が出てきて「いやーガソリンスタンドの店員ってかっこいいですよねー」って言ったら「へー😳」って言うんか???決勝戦を生で観覧するほどのお笑い好きなのに、何故ここまでその感性でいれたんだ???
、、、と、お恥ずかしながらこんな事を思いながら見ておりました。

せっかく、芸歴制限撤廃して、演出にも気合い入れて(セット一新しましたね、かっこよかったです)、大会としてどんどんチューンナップしてきたのにここでまた客の質が落ちるか、、、と本当に残念な気持ちでした。
客の質問題は何がダメって1つの原因は無いんでしょうけど、、、どうしてこうなるんですかね???
一時キングオブコントでもこの問題はありましたし、何か引き金はあるんでしょうけど、、、
今回私はcm入りの手拍子の、楽しい感じが要らなかったんじゃないかなと。もっと緊張感持たせてもいいんじゃないかなと感じました。それだけじゃないし、それも違うのかもしれませんが。ノンストレスで見たい、それだけです。


以下個人的感想/( )内は個人的採点/採点はあくまでも個人的な楽しみに留めて、慎ましく

ファーストラウンド

1.真輝志「僕の物語」 (90)
ザコシ:90 野田:92 小藪:94 バカリ:91 陣内:91 合計:458

導入は漫画的なあるあるでしたが、それを利用してアナウンス?語り手?(正確な日本語が出ません、語彙力不足)を相手に突っ込む意外性溢れる展開。
結局序盤の軸は「地味なストーリー」の一本なんですが、飽きてきた頃にちょっと変化球を投げたり展開を変えてきたりすることで、軸をずらすこと無く最後まで乗りきる、いわゆる「綺麗な構成」と言われるコントだったと思います。
なので、審査員評でもあった通り「悪い所がない」と言えますが、一方で大きな動きやぶっ壊しが起こらないネタでもあるので、大爆発しない限りはトップですし優勝圏内はなかなか厳しいのかなとも思いました。
それでもトップで4位は大健闘ではないでしょうか。




2.ルシファー吉岡「婚活パーティー」 (95)
ザコシ:95 野田:95 小藪:95 バカリ:94 陣内:96 合計:475

ザコシの言う通り、私も彼は絶対下ネタで来ると思ったのでそれをせずここまで面白いネタを持ってきたことに驚かされました。
序盤にある程度システムを見せたところまでは繰り返し式のよくあるタイプのネタかなと感じさせられる並列的な展開に。ですが、それまでのマンツーマンでのやり取りから斜め横、左右の展開を使ったことで視聴者側の視界も一気に広がりました。そこから急に戦原を境に円滑に噛み合って回転していく歯車の全体像が見えるようになったんですよね。ネタの設定やシステムは、繰り返しマッチング相手に説明していく展開で既に事前学習済なので、そこからはひたすらにルシファーのターン。
そこに1人しかいないにもかかわらず、1人で少なくとも56人(ルシファーがつけていた番号が28なので)を表現して見せた、トップ通過に相応しいネタでした。



3.街裏ぴんく「石川啄木」 (92)
ザコシ:96 野田:94 小藪:95 バカリ:92 陣内:94 合計:471

観客の反応に関しては最初に書いた通りです。特に、嘘漫談はあれをやられてしまうと完全に殺されてしまうので、とにかくヒヤヒヤしながら見ていました。
私の彼の初見は山-1グランプリでの朝丘雪路単独ライブのネタでした。あのネタは徐々に嘘であると分かっていくタイプのネタでしたが、このネタは歴史上の人物を出すことでしっかりと嘘だと分からせた上でスタートしていくネタなので、尚更何故あんな反応が出るのか甚だ疑問です(まだ文句言ってる)
本当にチープな表現で、出来れば使いたくないですが正に「風邪の時に見る夢」のような展開でついて行くのが大変でしたが、その喋りのクオリティと熱量に圧倒された、そんな4分間でした。


4.kento fukaya「マッチングアプリ」 (93)
ザコシ:90 野田:91 小藪:93 バカリ:88 陣内:90 合計:452

形としては「こんなマッチング相手は嫌だ」大喜利。この展開になると幅の広がりや展開の深みは出しにくくなり、そしてそのタイプは今の審査員5人相手には不利になる傾向があると思います。私の主観ですが、1番その煽りを受けてるのが彼な気がします。
ボケ一つ一つはじっくり見たらそんなに爆発力あるものでは無いとは思いますがテンポよく小刻みに見せていくことで、笑いを積み重ね増幅させていく理想的なネタだったと思います。
オチはちょっと期待しすぎた部分があったかもしれません、思ったよりは平凡な畳み方に思えました。ただ、ずっと高速で移動する人人が面白かったです。



5.寺田寛明「国語辞典のコメント欄」 (98)
ザコシ:90 野田:92 小藪:92 バカリ:89 陣内:92 合計:455

去年のレビューネタの進化版のようなネタでした。私は彼の言葉選びとか発想とかが個人的に大好きで、今回も去年と同じような満足感がありました。
ただ客観的に見て去年よりウケは弱かったので、去年と同じような形を持ってきてそれを越えられなかったとなると辛めの評価も否めないかもしれません。
1個1個に連続性はないので、結局は個々のクオリティーになってくる上に、前述の通り幅と奥行きが無くなってしまう以上は爆発力勝負に出ざるを得ないネタに。となると、強弱はそもそもあってはならないらものになってしまうと。難しいですね。
最後の暗澹たるの件ぐらいの大爆発がせめて序盤と中盤にもう何ヶ所かあれば結果は違ったものになったかもしれません。

あと、このネタでも客の「へぇー😳」という反応が。今回ネタの内容的にその反応が来ても壊されないものだったので結果オーライではありますが、邪魔でしかない。視聴者参加型じゃないんですよ賞レースは。


6.サツマカワRPG「ぼく、どうしたの?」 (94)
ザコシ:91 野田:90 小藪:92 バカリ:93 陣内:91 合計:457

ヅラとったところでもっと大爆発が欲しかったですね。あれはネタ中どころか今後の決勝含めても最初で最後の大ボケなのでハイリスクハイリターンの賭けだったとは思いますが、ちょっと物足りないリアクションでした。
客は知ってたから笑いが薄かったんでしょうか?それともビックリしすぎて引いたんでしょうか?私は怪奇が話題になり始めた頃の3回戦(プレイヤーチェンジ)で、初めてそれを知りました。ただその時は坊主にしてヅラをつけていると思い込んでいたので、まさかシンプルにハゲているから付けているとは思いもよりませんでした。
序盤からホラー展開とヅラカミングアウトとオチも含め客の心を揺さぶる展開に持っていったネタでした。中盤は構成上はちょっと浮いた部分になっていて、結局主人公のキャラクターが掴みづらく、弄ったり弄られたりで散らかった印象でしたが、シンプルな内容の面白さである程度カバーした部分もあったかなと思います。

大会後にはでか美ちゃん(ex:ぱいぱいでか美)との結婚を発表。おめでとうございます💍

7.吉住「彼氏の実家」 (94)
ザコシ:91 野田:94 小藪:94 バカリ:96 陣内:95 合計:470

あのプラカード持って出てきた段階でめちゃくちゃ笑いました。発想勝ちというか、とんでもないネタですねこれは。
それだけに、本当に個人的な考えで、むしろ少数派だとは思うのですが、あの喋り方とかは余計なキャラ設定だと思っちゃうんですよねー。
彼女は恋愛要素があるネタでの女性を演じる時割といつもあの喋り方だと思うんですが、今回のネタだと別にその要素は必要なかったんじゃないかとも思ってしまうんですよね。
でも、設定も、そこから発される一言一言も無駄なく確実に仕留めてくるシンプルに強いネタでした。



8.トンツカタン お抹茶「かりんとうの車」 (86)
ザコシ:92 野田:89 小藪:92 バカリ:86 陣内:89 合計:448

やっぱり賞レースで歌ネタはやめた方が良さそうですね。
一応しんいちとかどぶろっくとか前例はありますが、基本的には評価されないものと思っていた方がいいかもです。ポップで面白いんですけどね。
狙いがどうだったか分かりませんが、かりんとうの車というバラシの部分が瞬間最大風速を記録しなかったため、そこがピークなのかまだ何かここからの起承転結があるのかと考えながら見る羽目に。
あと、主旋律はずっと流している音声が歌っているので、究極に極端ですが「本人必要??」となってしまう部分もありました。


9. どくさいスイッチ企画「ツチノコ発見者の一生」 (95)
ザコシ:91 野田:92 小藪:93 バカリ:90 陣内:92 合計:458

個人的にはスピード感あるテンポの早いネタが好きなのでこのネタは好みでした。まるでパラパラ漫画を見ていたかのような。
でもバカリズム評の通りで、めざましじゃんけんまでは物凄く期待感があって、ここからどんな栄枯盛衰が待っているんだろうとワクワクさせられました。しかしその後話は家族にフェーズが移ってしまい、思ったのと違う方向に行った感はありました。


以上9名の戦いの結果、ファイナルステージにはルシファー吉岡、街裏ぴんく、吉住が残りました。
トップの吉住は鑑識が彼氏の会社に偶然臨場するネタを披露。
1本目のネタに比べ設定の異常性が薄く、前半パートはふざける彼女の、いわゆるぶりっ子あるある的な内容に終始したのがもったいなく感じました。それ故に後半の浮気発覚パートから先が短くなり、せっかく面白くなりそうな展開が早めに畳まれてしまったのが残念でした。しかしバカリズムは本当に吉住が好きなんですね。自らに通じるものもあることでしょう。

2番手の街裏ぴんくは自身がモー娘の初期メンバーだったという嘘漫談を披露。流石にモー娘だったという嘘に危惧された客のリアクションは無く。でももしこれが「僕モー娘の大ファンでね!」とかから始まっていたら危なかったかも。
個人的には歴史上の人物がいっぱい出てきた1本目より、より現実的で(設定は非現実的ですが)、とっつきやすい内容の漫談だったと思います。

最後はルシファー吉岡。うるさい隣人を注意するネタを披露。
1本目では見られた第2者、3者との関係性の広がりがなく、ただルシファーが隣人の再現をしている時間が長いので瞬間的な火力が結果的に低いネタに。
またその再現度も複数の登場人物が出てきて、今誰なのか判断するのが難しかった部分もありました。ドアの攻防など細かい面白さはいくつもありましたが、1本目が本当に面白かっただけにその差が気になったところもあります。

結果は3-2で吉住と競った街裏ぴんくが悲願の優勝を達成🏅
芸歴20年ということで、色んな思いがあった事でしょう。いつも同じ感想だし、月並みなんですがやはり感動しかないですよね。ずっと追ってきたファンならともかく、賞レースの決勝しか見ていない自分のような人でもその20年という人生にタダ乗りさせてもらったかのような。本当に感動的でした。
ただ、文句ばかりで恐縮ですが、、、
ここも恐らくドラマチックな演出をするために敢えて結果発表の順番を入れ替えたことで、最後のザコシが残った時に半分ネタバレみたいな部分もありました。気のせいかもしれませんが、ザコシが残った時吉住が若干諦めたような表情したのが印象的です。別に普通に左から開ければ良かったのでは、、、


とまあ、文句ばかり言ってはいましたが、大会としては史上最多参加者数、演出面の向上、ネタ尺の変更、最終決戦進出者数の増加などポジティブな変化も年々ありました。
どのネタもレベルが高く、新生R-1の船出と、2024年賞レースシリーズの幕開けに相応しい素晴らしい大会だったと感じました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?