言葉を人に届ける

 ここ数年、本を読むのが苦痛で仕方なかった。
 それが何故か考えると、それをできていない自分が責められているような感覚に陥ったからだ。かつて、自分の心を熱く燃やしてくれた良書でも、会社の意向によりそうすることが叶わなかったり、自費でやり集客目標を達成したのに自分の功績だと認めてもらえなくなり、無かったことにされた過去。
 正直、いくらプラスのことでも夢を追いかけることや努力することが怖くなった。
 うつ病になり、それでもと頑張り続けた2年間。立ち上がろうとするたびに、無かったことにされた日々。そして、壊れた自分を人に見られて、それでまた壊れていく心。
 人が怖くなった。目も合わせられなかった……。言葉を口にすることすらできなくなり、話を聞いても脳が処理できなくなり雑談ができなくなった。

 何もできなくなっても、あきらめずやり続けた。
 でも、1、2年目と同じやり方で未来は閉じられた。

 人と話すときに誇れる自分を失い、過去の話をするにも恨みしかなかいから面白くもなんともない。自分のキャパ以上の業務も、二人でやれば一瞬で片付く仕事も投げられ、自分の時間は奪われていった。
 会いたい人と会う時間も、よくしてくれた人へ恩返しする準備するも経験も心の余裕も無くしていった。

 文字が読めなくなったけれど、YouTubeで音や映像は見ていた。
けれど、携帯が壊れ動画を見ている時間が空いた。
 なにか刺激を受けていないと、不安に飲み込まれそうだった僕は本を手に取った。

 気持ち悪いけれど、ルーレットのようにパラパラとめくり止めたページを読んだ。
 昔の自分は、気になる文章に線を引いてあったからそこを読んだ。

 まるで、過去の自分からの手紙のようだった。

 人と会うことも怖くなってしまった自分、そんな自分にもできることがある。
 同じ悩みを抱えた人に、必要としている人に言葉を届けること。

 まだあきらめずに頑張っていて、人と人を繋いでいた頃の自分にある人がかけてくれた言葉。
「君はプロデューサーにむいてるね。人の長所を見て、その人が何に向いてるか見抜くセンスがあるね」
 だから、僕は本をプロデュースしていこうと思いました。
 また会いたくなる魅力的な人を本を通して紹介していきます。
 本の言葉を抜き取り、その人の言葉が必要としている人に届くように。


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