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コロナ時代の子ども

 コロナウイルスは、空から降ってきて人間の体の中に入って、悪いバイキンになるから気をつけて。だから、外ではマスクをつけて、家に帰ったら手洗いと消毒をきちんとしようね。とは、40を半年後に控えた私ではなく、小さな娘の台詞。

  先日、二人で夜の散歩に出かける際、マスクを外して歩いたら、あーマスクしないで歩くのは久しぶり、空気が美味しいね、と娘が声を挙げた。その時、バイクが二人の横を通り過ぎたのだけど、娘に目をやると、きちんとマスクを着用していた。気をつけないとね、と言ったのは親ではなく、子どもの方だった。

 娘は大きくなったら、雲の上に住んでいる神様の力を借りて、プリキュアになるらしい。プリキュアになったらどうするのかと訊ねたら、まずコロナっちをやっつけて、世界を平和にするの、と胸をはっていた。

 半年ほど前から、駅のエスカレーターでは、娘が自ら一段分のスペースを空けて、前に立つようになった。理由は、コロナウイルスだから、とのこと。娘なりのソーシャルディスタンスだ。それが、ある日、エスカレーターに運ばれる直前に手を繋いできた。どうしたの? 「小さなお子様を連れていたらおててを繋ぐんだよ」との大人びた返事に驚いた。「でも、二人で立ってコロナ、大丈夫かなあ」と不安げに呟いてもいた。

 このような発言を5歳児にさせる、コロナの時代の異常な日常。それでも子は育っていく。

※「朝鮮新報7/23号(それぞれの四季)」に掲載されました。

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