「 シン・エヴァンゲリオン劇場版 」エヴァ初心者のための感想※ネタバレ注意【 映画レビュー 】
時に、2021年。
エヴァンゲリオンの襲撃、もとい終劇を体験できるとは思ってもいませんでした。
「 エヴァ 」とのファーストコンタクト(アニメではなく漫画)は、碇シンジと同じ年齢14歳の時でした。
それから25年。
今作はTVシリーズ完結の10年後に作られた「 新劇場版 」シリーズの4作目となります。
この記事では、今作の魅力と、エヴァ初心者のための楽しみ方について書いてみます。
好きだったのは、既存のアニメではできないことをしようと始まったTVシリーズの時から、ずっと同じ心構えで、今作も、これまでの作品世界をアップロードして乗り越えている点です。
キャラの魅力はもちろん、デザイン、画面構成、色彩、美術背景、カットワーク、どれもが最高に面白かったです。日本のアニメの限界点を何度も超えて、なおこれからのアニメの可能性まで示唆しているようでした。
かつてのクラスメイトたちが大人になり、結婚をして子供が生まれたり、村の共同体で力を出し合って暮らしていることに、嬉しくなりました。(TV版や漫画では死んでいたり、旧劇場版に出てこなかったキャラたちが健在だったことに安堵しました)
声優たちを含めて歳を取る事で、キャラが深みを増していました。
反面、やりたい事を全て注ぎ込んでいる感じは、嫌いではないのですが、とあるCG感たっぷりのシーンで、ふと我に返ってしまうことがあり、好みではありませんでした。実写とアニメ、アニメとCGの融合は作り手には、まだまだ新しい可能性が広がっているとは思うのですが。
ただ、これまでにないエヴァという点では、面白かったです。
個人的には細田守監督(特に「 サマーウォーズ 」)や、新海誠監督(特に「 君の名は。 」)の壮大で繊細ながらもアニメ感が失われていない映像表現が好みです。
見どころとしては、「 ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q 」から14年後の世界で、歳をとった登場人物たちと、姿は14歳のままの主人公との対比が面白かったです。
それから、アヤナミレイ(仮称)が健康な太陽の光の下で田舎のおばちゃんたちと畑仕事をするシーンは、レアを通り越してシュールな光景ですが、とても印象に残りました。
仮に「 Q 」をクエスチョンだとして、今作で、その「Q」に解答を示しているのも、見どころです。きっとコアなファンも納得するでしょうね。
また、タイトルに「 シン・ 」をつけているだけに実写監督作「 シン・ゴジラ 」での苦悩の体験が活かされた撮り方に注目です。
父と子が対峙する後半以降は、情報の大洪水です。一度で理解するのは諦めて溺れちゃいましょう。
「 マトリックス・レボリューション 」と「 インターステラー 」並みの、いやそれ以上の情報量ですから(笑)
さて、今作は単独で観るべきか、全てを観た上で観るべきでしょうか。
単独でもじゅうぶん楽しめると思います。前半のパリでの戦闘シーン、牧歌的な村のシーン、謎が謎を呼ぶ展開とラスト。
エヴァの魅力の一つは、カルトと王道の真ん中を貫いている点ですが、カルトの部分は分からないままにして、王道のアニメ映画としてのエンタメ性を味わえると思います。冒頭でも前作までのあらすじがダイジェストで流れます。
鑑賞後に、作品を遡るのも楽しみ方の一つでしょう。タイトルにも「 反復記号 」が付いていますしね。
ちなみに「 ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序 」は、ほとんどTV版の流れと同じなので、入門編としても最適と思います。なおTV版はNetflixで全話(26話)が視聴できますよ。
ところで、作中に登場するキーワードが、ことごとく疑問点です。
地獄の門、ガフの守り人、ネブカドネザルの鍵、マイナス宇宙、量子テレポート、イスカリオテのマリア・・・。
死海文書や聖書や原典を探ったり、最新の宇宙科学を探るのも一興かも知れませんね。
時に、1995年。
4年間死んでいるように生きていた庵野秀明が「 逃げちゃダメだ 」の思いで始まったエヴァ。監督自身が自己投影された主人公が、永遠の思春期と呼びたくなるほどの長いモラトリアル期間を経て、いよいよ大人に成長しました。
きっと監督自身も。
客席を埋めている30~40代の観客たちも。
ボク自身も。
宇多田ヒカルも。
さよなら、エヴァンゲリオン。
「 さよなら 」それは、また会うためのおまじない。
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