きかんしゃトーマス映画批評(2010~2020年)

※2020年映画を追記

ある日、息子に頼まれてAmazonプライムビデオを開いたら衝撃を受けた。

きかんしゃトーマスの映画「伝説の英雄(ヒロ)」のプライム会員向けの無料視聴が終了していたのだ。

ついでに調べてみるとテレビシリーズの旧作の無料視聴も一部終了している。

大変だ。

今はまだ大丈夫だが、いつかトーマスの映画がAmazonプライムで無料視聴できない世界が来るかもしれない。
※なお、2016年以降の作品は無料視聴できない

そんな世界が訪れた際、トーマス好きの子どもを持つお父さん、お母さんが困らないようにしようと勝手に思い立ったので、トーマスの映画の概要、オススメ度、感想を綴っておく。
読むのが面倒と思った人は

「キング・オブ・ザ・レイルウェイトーマスと失われた王冠(2014年)」

「走れ!世界のなかまたち(2017年)」
を選べば間違いないですヨ。


■伝説の英雄(ヒロ)@2010年

○概要
初登場:ヒロ
オススメ度:5点満点中3点

○あらすじ
ちょっとした出来事からトーマスが森の奥に忘れられたままになっていたヒロと出会う。
ヒロは修理が必要……というか廃棄されてもおかしくない状態のため、トップハムハット卿に報告するとスクラップにされるかとしれない。
そう考えたトーマスはディドマス機関庫の仲間たちで協力して修理しようと動き始めるが、スペンサーが邪魔をして……。

○感想:多少粗さはあるが観れる作品
CGになってから最初の映画ということで、説明口調でキャラクターが話すシーンが多かったり、ナレーションが無駄に多いなど、全体的にテンポの悪さが目立つ。
が、このテンポの悪さは2013年の作品まで映画4作品に渡り続いていくことになる。
会話をする際に「ヒロはそれを聞いて不安そうな顔をした」などというナレーションまで挟まんでもいいだろうとは正直思う。
また、しばらくヒロを修理するための部品を運びながらスペンサーから逃げ回る展開が続くため、絵的な動きは少なく、スペンサーのウザさも相まってちょっと何とも言えない気分になる。
悪い点ばかりを挙げたが、作品のテーマ自体が「困っている人を助ける」というもので、ディドマス機関庫の仲間たちが頑張るは応援したくなるし、ヒロの人柄は素晴らしいし、声も渋い(玄田哲章)ので、初期のCG作品の中では最も良い。
何より、知っている限り、イギリス界隈(メインランドやスコットランド)以外の国や地域出身の機関車ではヒロが最初の登場になるので、日本人のトーマスファンは見ておいた方が良い。


■ミスティアイランド レスキュー大作戦!!@2011年

○概要
初登場:ダッシュ、バッシュ、ファーディナンド、キャプテン
オススメ度:5点満点中1点

○あらすじ
メインランドへ仕事をしに行くことになったトーマスだが、メインランドへ船で渡る際にきちんと固定されていなかったことから、船から落ちミスティアイランドに流れ着く。
ソドー島への帰るためにミスティアイランドで出会ったダッシュ、バッシュ、ファーディナンドと協力して帰る方法を探そうとするのだが……。

○感想:CG映画至上最高の駄作
・ダッシュ、バッシュ、ファーディナンドのキャラに好感が持てない
・仕事もせずに遊んでいる3人にトーマスが説教する展開がしばらく続く
・この年代の作品は会話のテンポが悪い(ナレーション多すぎ)
という3拍子で大人の心どころか子どもの心まで折りにくる作品。
単純に「子ども向けの娯楽映画なのに子どもにも面白くない」のだ。
CG版映画作品の中で最高の駄作であり、息子が1度しか視聴しなかった作品でもある。
(他の作品は複数回視聴している)
よほど困った時以外は手を出してはいけない作品。


■ディーゼル10の逆襲@2012年

○概要
初登場:デン、ダート、ベル、フリン
オススメ度:5点満点中2点

○あらすじ
レスキューセンターが完成し、そこにベルとフリンがやってきた。
これまで見たこともなかった機関車にトーマスは夢中になり、パーシーは親友を取られたような疎外感を感じ始める。
そこに悪巧みをしようとしているディーゼル10がやってきて、パーシーを誘惑し……。

○感想:子ども向け映画でここまでやるか
自らを「ちょいワル」と称するディーゼルとは異なり、「遊びのないワル」ディーゼル10が悪巧みをするので、全体的に話が暗い。
うちの娘は観てて「怖い」と言ってくっついてきたくらい話が怖いし暗い。
初登場するデンとダートも新しい作品で見せるような明るさを持ったキャラクターとして描かれておらず、清涼剤として暗い雰囲気を紛らわしてくれるキャラクターが存在しないまま話は展開していく。
その中で、心情的に孤立していくパーシーを見ているのは辛く、またそこをディーゼル10に良いように利用されていくのを見るのも辛い。
最終的にはディドマス機関庫の仲間たちで解決するのだが、そこに至るまでの過程はちょっとトーマスを観る年齢の子ども向けにしては重すぎないだろうかと正直思う。
なお、ディーゼル10はテレビ版には第17シーズンの1回しか出演がないそうなので、トーマスの書籍などでディーゼル10を知り、観たいと言ってきた子どもに見せてあげるという位置付けで視聴すると良い。
うちはこの流れで観て、数回観たら観なくなりました。怖いって。


■ブルーマウンテンの謎@2013年

○概要
初登場:ルーク
オススメ度:5点満点中3点

○あらすじ
採石場の手伝いをすることになったトーマスは、採石場でルークという機関車に出会う。
採石場のみんながルークの存在を隠そうとするので訳を聞くと、ルークがソドー島に来た際、船から降りる際に黄色い機関車を海に落としてしまい、それがバレるとルークはスクラップになってしまうかもしれないという。
トーマスは黄色い機関車がスクラップになったという話を聞いたことがないため、きっとどこかで働いているのではないかと思い、探し始めるが……。

○感想:好意のすれ違いを描いているのだが……
「黄色い機関車が無事だと分かればルークは堂々と生きられる」と考えるトーマスと、「そのことに触れることが怖いので、人知れず生きたい」と思うルークらのすれ違いが終盤まで続き続ける作品。
トーマスを中心に話を作る関係上、作品によってトーマスの精神年齢というか、思考回路がちょいちょい変わるのだが、ルーク本人を含めて誰にも相談せずに自分の好意(行為)正しさだけを信じて動き続けるトーマスにはやや疑問を覚える。
また、話の展開としてもソドー島の中でトーマスが聞き込みを続ける探偵ドラマのような展開が続き、ディーゼルがルークを追い出そうとするアクセントがあるだけなので、子どもも退屈しやすい構成になっている。
それでも初期の作品の中では比較的見れる作品になっているので、見ておいて損はないかもしれない。


■キング・オブ・ザ・レイルウェイ トーマスと失われた王冠@2014年

○概要
初登場:スティーブン、ミリー、コナー、ケイトリン、ノランビー伯爵
オススメ度:5点満点中5点

○あらすじ
長い旅からソドー島に帰ってきたノランビー伯爵はソドー島にあるお城を再現する企画を始める。
その中で、トーマスたちは最初に作られた機関車の1人であるスティーブンと出会う。
ディドマス機関庫の仲間たちと仲良くなるスティーブンだが、自分の修理が終わったところで、旧式の自分ができる仕事はないのではないかと考え始める。
修理が終わったスティーブンは自分ができる仕事を探しにソドー島を回るのだが……。

○感想:大人も子どもも楽しめる素晴らしい作品
・今作から改善された話のテンポ
・ノランビー伯爵の前向きで明るい人柄
・全員が人のために良い行いをしようとしている
という3本柱で、非の打ち所のない作品になっている。
これまでの映画は敵となるキャラクターがいたり、発生した問題に立ち向かう(そして足を引っ張るキャラがいる)という展開で、キャラクター部分で不快感を生むことが多かったが、この作品はそういったものがなく物語が成立している。
誰もが温かくスティーブンを迎え、スティーブンのために何ができるかを考えて行動している。
スティーブンがいろいろな仕事に挑戦しようとしては失敗するシーンはやや辛いものもあるが、ノランビー伯爵が「スティーブンに任せたい仕事がある」と予め視聴者に向けて明言しているため、「早く必要とされていることを知ってほしい」と次の展開に期待をして、スティーブンに幸せになってほしいという思いを持って見ることができる。
物語の幕切れも爽快なもので、最初から最後まで楽しい気持ちで見ることのできる作品。
全映画作品の中で一番のオススメ。
なお、以降のテレビシリーズでスティーブンを散々「のろま」とバカにするゴードンがスティーブンに目を輝かせていたり優しくしたりするシーンは見ていて微笑ましい。
というか、むしろなぜテレビシリーズになってからやたらとスティーブンに厳しくなったのか。謎である。


■勇者とソドー島の怪物@2015年

○概要
初登場:ゲイター、ティモシー、マリオン、レッジ
オススメ度:5点満点中4点

○あらすじ
クレイピッツに手伝いに行くことになったトーマスは、クレイピッツにて落石事故に遭遇する。
ビルとベンの活躍で事故を逃れたトーマスだが、その落石事故の際に大きな足跡が付いた岩を発見する。
トーマスはソドー島にモンスターがいるのではと考え始め、それを聞いたパーシーは怖がる。
モンスターがいるかもしれないと怖がったまま仕事をするパーシーは、見た目がワニのような機関車ゲイターと衝撃的な出会いをする。
2人は友情を深めていくが……。

○感想:ゲイターが教えてくれる「本当の勇気」
「勇気」というテーマを中心に話が進んでいく作品。
「ディーゼル10の逆襲」に続き、トーマスがパーシーの味方になりきれず、パーシーが誰かになびくのだが、今回なびいた先のゲイターは人間性が素晴らしかった。
見た目が特殊で周りから怖がられることが多いゲイターだが、そこで腐ったり曲がったりすることもない、自分の信念や考えをしっかりと持ったキャラクターとして描かれている。
ゲイターが語る「勇気とは怖がらないことではなく、怖いと思ったことでも最後までやりとげようとすることだ」という言葉は、大人でも共感できるものだし、子どもに持ってもらいたい勇気そのものだとも思う。
作品のテーマは一貫しており、構成も悪くはないのだが、ジェームスがパーシーにいたずら……というか嫌がらせをする場面があるのが難点。
ドラえもんの映画ではジャイアンが悪者にはならないのと同じように、トーマスの映画ではディドマス機関庫の仲間たちは団結してほしいし、不快感のあるトラブルは起こしてほしくはなかったというのが本音だ。
最終的にはそこも含めて一件落着するのだが、個人的には大きなマイナスポイント。
そこを除けば大人も子どもも楽しめる良い作品です。


■探せ!!謎の海賊船と失われた宝物@2016年

○概要
初登場:ライアン、スキフ、レックス、バート、マイク、ほか
オススメ度:5点満点中3点

○あらすじ
ある日客車の入れ替えを行っていたトーマスはちょっとしたイタズラから大事故を起こしてしまい、トーマスの支線は罰として新しい機関車ライアンに任されることになった。
トーマスはトップハムハット卿から新しい支線を作る現場への出向を命じられるが、そこでも大事故を起こしてしまう。
その事故の際に巨大な海賊船が見つかり、トーマスは自分が見つけたものだと言うが、周囲はトーマスを救出したロッキーが見つけたものだと話している。
そこに海賊の宝物を探す船乗りのジョンが現れ、トーマスは一緒に宝探しを始めるが……。

○感想:トーマス vs 人間
機関車に比べて多くない「意思を持った人間」が、なんとぽっと出にも関わらず中心的な立ち回りをする映画。
海賊の宝物を自分のものにしようとする船乗りのジョンとの宝探しからの争奪戦というエンタメ色全開の作品。
エンタメに振りすぎているせいで、(あるのかもしれないが)特に教育的なテーマはなく、また初登場のライアン、レックス、バート、マイクは別にいなくても話が進む構成になっている。
新しい支線を作る&新しい機関車を出演させる関係でこうなったのだろう。この頃は映画で初登場からのテレビ版出演が鉄板だったし。
ちなみに船乗りのジョンがガチの悪役過ぎて子どもは怖がるし、名前が紛らわしくてスキフの後の主人となるジョー船長と混在する(どうやって改心するんだろうと思ってたら別人だった)し、トーマスもスキフもなぜ一緒に行動するか分からないしで、テンポは良く、初のミュージカル要素導入で強弱もあるのだが、満足度が高いかと言われると何ともな作品に仕上がっている。
2014年以降の作品の中では一番微妙な作品だと思われるため、優先度は低い。


■走れ!世界のなかまたち@2017年

○概要
初登場:アシマ、フライングスコッツマン、ほか
オススメ度:5点満点中5点

○あらすじ
メインランドで鉄道の祭典「グレートレールウェイショー」が開かれることを知ったトーマスは、自分も参加したいと考える。
だが、小さなタンク機関車でしかないトーマスは参加できないと周りに笑われてしまう。
そんな中、グレートレールウェイショーに参加する機関車たち、そしてその中の1人であるアシマと出会い、その綺麗ないでたちにトーマスはすっかり自信をなくしてしまう。
それでも何とかしてグレートレールウェイショーに出場するために頑張るのだが……。

○感想:自分らしさと向き合える作品
この作品は「自分らしさ」というテーマを中心に話が進行していく。
若者の間でしばしば話題にもなるテーマだが、この作品では「自分に与えられた力や環境を最大限生かすこと」というような形で結論づけられる。
トーマスがグレートレールウェイショーに出るために出来もしないこと、なれないものになろうとしているのに対し、アシマが上記のテーマで諭すシーンは大人も共感できるし、歌で会話が表現されるため、説教臭くも感じない。
何より、取り入れられた歌も非常に素晴らしく、話のテンポの良さやメリハリ、盛り上がりが強調されることとなり、子ども飽きない。歌自体も大人が一緒に歌いたと思えるものなので、楽しみ方も多い。
作品自体の完成度は高く、テレビシリーズでも出てくる世界各国の機関車たちが初お披露目する作品なので、今後もトーマスを観ていくのであれば必見の作品。
個人的に気に入っているのは流線形ゴードン改め、「シューティングスター」が出てくる点。劇中でいつも以上に自意識過剰になるゴードンが笑える。
なお、今作品で悪者的な立場となったのはアメリカの機関車だったが、これはイギリス制作の作品だからだろうか。


■とびだせ!友情の大冒険@2018年

○概要
初登場:マーリン、ほか
オススメ度:5点満点中4点

○あらすじ
メインランドへ荷物を運んでいたヘンリーが信号の故障が原因で大事故を起こしてしまう。
代わりにジェームスが荷物を運ぶようにトップハムハット卿から指示され、それを羨ましがるトーマス。
ジェームスは「自分がトップハムハット卿のお気に入りの機関車だから特別な仕事を頼まれるんだ」と自分の特別感を周りに自慢する。
それが気に入らなかったトーマスは、ジェームスを出し抜いてメインランドへ荷物を運び始めるが、メインランドで迷子になってしまう。
トーマスがたどり着いた先は……。

○感想:トーマスとジェームスの大脱走
前回の「世界の機関車大集合!」からだいぶ話のスケールは落ち、トーマスとジェームスがメインランドを冒険……というよりも、たどり着いた強制労働施設から逃げ出し、セオ、レキシー、マーリンといった実験用機関車たちを代わりそこに入れる、という話。
何を言っているのか分からないと思うが、これが大体の話のあらすじとして成立してしまうような話なのだ。
じゃぁ駄作かというと全然そんなことはなく、トーマスだけではなくジェームスにもスポットが当たるので、ジェームス特有のノリやテンポで話が進行するパートもあり、話としては完成度は高い。
ミュージカル要素として取り入れられた楽曲も耳残りするものばかりで、強制労働施設の陰鬱な雰囲気をあまり感じさせない作りとなっている。
作品の位置付けとしては、次作でトーマスを世界に出すにあたり、1回メインランドで仕事させておこう(グレートレールウェイショーには行ったけど)という作品の時間軸のうえでの緩衝材的なものとなっているが、その機会を「友情」という原点回帰のようなテーマでまとめたのは上手いと思う。
なお、親友ポジションのパーシーは怖くてトーマスを探しに行けず、ヘンリーは前回に続き良いところなしで終了どころか、次作後にはディドマス機関庫を出て準レギュラーへ降格する。ヘンリーに幸あれ。

■Go!Go!地球まるごとアドベンチャー@2019年

○概要
初登場:ニア、エース、ほか
オススメ度:5点満点中4点

○あらすじ
ソドー島にやってきたエースというレーシングカーとトーマスは出会う。
自由に、そして刺激的な走り方をするエースにトーマスは惹かれ、彼が参加するという「5大陸レース」について行き、アフリカ大陸にたどり着く。
当然車であるエースと一緒に走れないトーマスは、役に立つ仕事をしながらエースの後を追ってゴールへ向かう。
その道中でトーマスはニアと出会う。
そしてトーマスがアフリカ大陸に行ったことを知ったトップハムハット卿は、トーマスを追ってアフリカ大陸へ向かうのだが……。

○感想:友達は正しく選ぼう
この作品でトーマスが「友達」と呼ぶのはニアとエースの2人。
全く違う個性を持った友人がそれぞれ異なる考えを示した時、どっちの味方をするか、というテーマを掲げ、話はクライマックスへと向かっていく。
話の構成やテーマ、アクセントとして幕間に出てくるトップハムハット卿など、物語自体の完成度は高い。
というか、2017年以降は非常に安定している。
ただ、エース登場からのトーマスとのどこか噛み合っていないように感じる会話、トーマスの行動へ感じる違和感など、作品のテーマへの前振り的な要素は逆にトーマスを見てきた視聴者からはイライラが募る部分になっており、視聴した後の満足度としてはどうしても減点せざるを得ない。
エース自体のキャラは悪くないのだが、トーマスという物語の中に登場するキャラクターとしては異色過ぎたと思う。
ただ、世界各国を旅する映画で、息子もこの映画と「走れ!世界の仲間たち」で他の国に興味を持ち始めたので、視野や視点を広げるという点では見せておきたい作品だとも言える。

■チャオ!とんでうたってディスカバリー@2020年

○概要
初登場:ジーナ、イタリアのみなさん
オススメ度:5点満点中1点

○あらすじ
テレビ版の新シリーズと同様、外国の話とソドー島の話とで構成された映画。テレビ版とは逆にソドー島→外国の話の順番で展開される。
ソドー島の話は港でのトラブルの話、外国の話は初のイタリアの話で、イタリアでは「冒険好きの消えた機関車」の話を軸に話が展開される。
ストーリーは以上で、残念ながらこれ以上語る要素がない。本当にない。

○感想:誰がこの映画の企画を通したんだ!
中身もエンタメ性も語るところも一切ない正真正銘の駄作。トーマス映画で歴代ワースト1と言っても差し支えないだろう。
「新シリーズにおけるトーマスの知能低下の継続」、「メリハリのないダルいテンポ」、「映画後半で出てきた新しい機関車が5分くらい1人で歌い続ける」という「映画なのに謎の2部構成」という暗黒要素を寄せ付けない三拍子を備え、トーマス好きの息子を映画館での視聴後に「トーマス!トーマス!」言わせなくなった破壊力を持つ。
なお、トーマスを観る前に観た「ドラえもん のび太の新恐竜」は息子が大興奮して映画の内容を何度も何度も話していたのと比較すると、雲泥の差である。誰がこの映画の企画を通した。
DVDレンタルで出ていたので息子の強い要望もあり借りた結果、妻も酷評したが、「トーマスの新しい話を見たい見たい病」になっていた息子は満足した。
そういう症状のお子さんに投与するのが正しい療法のようだ。
この映画に限らずだが、国連も絡んで展開された世界を舞台にした新シリーズにおいて、話を成立させるためにトーマスが狂言回しの役割となっていることでそれ以前のシリーズと比べて明らかに知能が低下しており、不快感がマシマシになっているし、トーマス好きの息子も新シリーズは観たがらない。トーマスを駄作の域に近づけているのは確実にその要素なので、制作側は今一度構成を考えてほしい。子どもを馬鹿にするな。

最後に

息子は4月で4歳になり、これからきっと徐々に「トーマス離れ」が進んでいくんだと思う。
映画やテレビシリーズに込められたそれぞれのテーマをどこまで理解したのかは分からないし、ひょっとしたらそれを分からないままトーマスを卒業していくのかもしれない。

それでも、大人が興味を持て、何より子どもが楽しめるトーマスという作品は、息子との間に共通の話題、大げさに言うと絆を作ってくれた作品だと思っている。

息子が初めて映画館で観た作品は「Go!Go!地球まるごとアドベンチャー」。

映画館という環境に慣れず、緊張しながらも最後まで夢中で観ていた息子の横顔を、私は一生忘れることはないだろう。

ありがとう、トーマス。

これからもよろしく。


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