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まだ世にない市場を、医療者と共創する「JOLLYGOOD+」の軌跡に迫る

今回のインタビューでは、採用広報チームが、営業戦略部部長の瀧本俊幸さんにお話をお伺いします。医療・福祉事業者向けのVR総合プラットフォーム「JOLLYGOOD+(ジョリーグッドプラス)」は、喫緊の社会課題である医療従事者不足に立ち向かう新しいアプローチを提供しています。最新のVR技術を活用し、医療従事者の育成やトレーニング、コミュニケーションの向上など、様々な課題に対応しています。今回は「JOLLYGOOD+」が作られた背景や、解決している社会課題、今後の展望についてお話しいただきました。

コロナ禍で露呈した「医療従事者不足」という大きな社会課題解決に挑戦

ーこれまでのご経歴や、入社経緯を教えてください

前職は博報堂のデジタル領域を専門とするグループ会社、株式会社博報堂DYデジタル(現在はデジタル・アドバタイジング・コンソーシアム株式会社に統合)に在籍していました。そこで大手飲料メーカー・自動車メーカーのデジタルマーケティングや広告制作に数十年携わっておりました。

ジョリーグッドへの参画は、当社CEOである上路を含め、前職で共に働いたメンバーがジョリーグッドに在籍していた縁がきっかけです。ジョリーグッドのオフィスを訪れることになり、初めてVRを体験する機会を得ました。

当時、広告業界でのキャリアを続けていくことに私は迷いを感じていました。「顧客の顔が見える状態で、近い位置で人のためになっていることを実感できる仕事がしたい」と強く思っていました。そんな折、ジョリーグッドの取り組む社会課題の解決にVRが活用されると知り、特に発達障害者向けの支援や介護現場の人手不足解消などに取り組んでいる姿勢に魅力を感じました。社会課題への貢献と革新的な技術の融合が私の志向に合致していたため、ジョリーグッドへの参画を決断したのです。

ーJOLLYGOOD+が向き合っている社会課題を教えてください

JOLLYGOOD+は、医療業界が抱える課題に医療従事者の教育という観点から向き合っています。日本の医療は世界トップレベルの技術を持っているものの、医療従事者数が不足しているということがコロナ禍で顕在化しました。これは重い責任を伴うハードな仕事であることや、少子高齢化が背景にあると思っています。

そのような中で、JOLLYGOOD+は、医療教育の質や学習効率を向上させる教育ツールとして提供しています。

ーより具体的な例を教えてください

JOLLYGOOD+は教育をサポートするプロダクトで、2つの側面を持ちます。

一つは学校教育の側面です。

医療現場を見たことのない医学生・看護学生に対し、VR技術を通じて早期に医療現場を擬似体験してもらうことで、医療人になる覚悟や思いを高めてもらいます。

医学生・看護学生は、学年が進むと座学だけでなく、実際の医療の現場に実習に行くことになります。病室で患者さまと接点を持ったり、時には手術室に入ったります。しかし、学生の中にはリアルな医療現場に圧倒されてしまい、何が起きてるのか分からないまま実習から帰ってくるということが起きていました。本来は、座学や映像で学んできた知識と、現場で起きていることとを繋げることで医療現場の理解を深めることが狙いであるにも関わらず、自分の理解が及ばない、何もできていないことで自信を失ってしまうような学生もいました。
このような課題に対して、JOLLYGOOD+を活用することで、事前にVRで擬似体験し予習をすることで、実習の学びを深め本来の狙いを得られるように支援しています。その意味では、JOLLYGOOD+の存在は、教室と現場をシームレスに結ぶものと言えますね。

もう一つは、臨床教育の側面です。

医師や看護師といった、まだ経験の浅い医療従事者に、自身が所属する機関では通常体験できない症例や状況をVRを通じて体験してもらうことで、教育の一環として活用いただいています。同じ医療従事者であっても、所属するクリニックや病院の規模によって直面する症例には大きな差が生じます。JOLLYGOOD+が提供するVR体験を通じて、多様な症例への適切な対応を学ぶことが可能です。

また、昨今の医療は一人の凄腕の医師がいれば治療できるというものではなく、医師や看護師などの異なる専門職が一体となって患者を支える「チーム医療」が主流となっています。チームとして最適な医療の在り方を模索する上での振り返りにも、JOLLYGOOD+の活用が有益だと多くの方からお声をいただいています。

また、これまで手術後に実施されていた振り返りは、個々の記憶に依存しており、チームのメンバーが意見を出し合う形で進められていました。しかし、各々の記憶に食い違いが出ることで議論が噛み合わないケースが多く、正確な振り返りが難しいことが多々ありました。そこで、JOLLYGOOD+のVR技術を活用し、より正確な情報を元に振り返りができるようになりました。

ーJOLLYGOOD+によってどういう世界を作っていきたいですか?

JOLLYGOOD+はユーザーの皆さんと共に創り上げていくプラットフォームです。ユーザーである医療従事者の皆さんがコンテンツを作り、プラットフォームにアップロードしてくださることで初めて医療業界の課題解決だけでなく、その発展とJOLLYGOOD+の成長につながります。

JOLLYGOOD+上で表示されるコンテンツも、医療従事者のニーズを吸い上げて順序を変えています。最近では在宅医療や、看護の学生教育に関する問い合わせが増えているので、上位に表示するようチューニングしています。

こういった表示の工夫も含め、ユーザーの皆さんが主体となるようなプラットフォームを創っていきたいと考えています。

医療従事者の声で生まれ、医療従事者と共に作るプロダクト

ー改めてJOLLYGOOD+とは、どういうプロダクトですか?

医療福祉に特化したVRコンテンツが定額で体験できる、VRのサブスクリプションサービスです。

現在は、500本を超える医療福祉のVRコンテンツが体験できます。これらのVRコンテンツは、全国の医療機関が自ら作り随時アップロードし拡充されていくことで、よりプラットフォームとして価値が高まるような仕組みになっているサービスです。

ーどういった経緯でJOLLYGOOD+が作られることになったか、これまでの流れを教えてください

実は弊社は創業当初、医療福祉に限らないVR関連の事業を展開していました。様々な領域でVR制作を行っていく中で、障害者支援施設の方から問い合わせがあったことがきっかけで、VRで支援できる課題があることに気付かされます。そこから、発達障害者支援のサービスや介護福祉士向けのサービスなどをはじめていくことになります。

このように、問い合わせやヒアリングを通し、その領域に深く根付く社会課題を発見し、VRを用いたソリューションをサブスクリプション型で提供する、ということを繰り返していくうちに、いつしか社内に医療・介護領域に対するソリューションが複数あることに気づきました。
点で分散していたそれらのサービスをプラットフォームとして統合することで、利用者の幅を広げ、社内のリソースを集中させてより良いプロダクトを提供する目的で、JOLLYGOOD+が誕生したという流れになります。

ーこれまでJOLLYGOOD+は高い成長をしてきました。どういった理由でここまでの成長が出来たのでしょうか?

大きく3つ成長のドライブとなったものがあると考えています。

まず第一に、医療従事者とともに創るプラットフォームであることです。
JOLLYGOOD+の明確な強みは、医療従事者自身がVRコンテンツを撮影しているという点です。プラットフォーム上には社内の制作チームが医療者監修のもとに提供しているコンテンツもありますが、それ以上にサービスの受け手でもある医療者自身が発信者としてコンテンツを作り、プラットフォームにアップロードしていることに価値があります。まさにいま医療現場が抱えるリアルな課題をダイレクトに反映したコンテンツがプラットフォーム上に集積され、受け手である医療者が価値を享受し、またその医療者がコンテンツを生み出していく。そのようなサイクルができることで、プラットフォームとして日々成長していると感じています。
このようなサイクルを円滑にしていくためには、医療従事者による映像撮影、コンテンツ投稿が持続的である必要があります。利用料に関する金銭的なメリット提供などを通し、コンテンツ投稿の仕組みを作っています。

二点目としては、実写映像をコンテンツとして提供していることです。
医療教育の課題を解決するには、360度の実際の現場の映像をVRで見れることが大きな意味を持ちます。しかしながら、医療の分野は非常に規制が厳しく、患者の映像などを医療機関外に持ち出すことには大きな制限がありました。JOLLYGOOD+では、病院内で倫理委員会と呼ばれる承認フローにかけ、患者に同意を得て、患者のプライバシーを守るための画像加工を行うなど、多くの手間と時間のかかる作業もしっかり行いながら、他にはない実写映像を使ったVRコンテンツを提供しています。

三点目として、時代の流れ、ニーズの移り変わりに合わせてサービスを適応させていることが挙げられます。
近年、医療や療養の場は病院に限らず自宅への移行が進み、在宅医療への注目が高まっています。一方で、在宅医療は今までになかった動きのため、医療者向けの教材が不足していました。病院とは異なり、自宅での診療はまったく異なるものとなるため、医療従事者自身も手探りで進められていたのです。こうした中でJOLLYGOOD+を通じて、医療従事者の方々から在宅医療に関わるコンテンツが展開されていくことで、多くの施設で活用されるようになりました。

ー実際に使ってもらったユーザーからは、どのような反応や声をいただいていますか?

医療現場への立ち入りが規制されていたコロナ禍においては、実習の代替手段としてVRを活用したいという問い合わせを非常に多くいただきました。

また、コロナ禍も落ち着きをみせ始めている現在は、医師の働き方改革が主要テーマとなりそうです。働き方改革によって、「良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制の確保を推進するための医療法等の一部を改正する法律」を根拠として2024年度から医療従事者の時間外労働が規制されるようになります。一方で、時間規制によって自己学習の時間が奪われるという懸念を背景に、医療機関からの問い合わせが増えています。VRを用いて医療コンテンツを閲覧することで、隙間時間に自己研鑽ができるということで喜んでいただいています。
ある病院では、時間を規制されたことで先輩医師の指導を受けられない初期研修医の方々の自己学習用にJOLLYGOOD+を導入いただきました。

また、チーム医療で活用するという観点では、360度の診察映像を撮れるVRを喜んでいただける声が大きいです。医師は、1人の新人医師だけでなく治療に関わる看護師、臨床工学技師などの教育も同時に行なっています。ある救急医の先生から、「医療事故は、技術ではなく、チームにおいて、ノンテクニカルスキルと呼ばれるあうんの呼吸・コミュニケーションが崩壊したときに発生する。ノンテクニカルスキルの教育に360度映像は非常に役立つ」というお声をいただいたのは印象的ですね。

ひらけ、医療。一人ひとりが医療を学ぶ時代へ

ーJOLLYGOOD+の市場性をどのように見込んでいますか?

JOLLYGOOD+は、現在約100施設に導入されていますが、今後5年間で1,000施設に拡張していく構想があります。遠大な構想ですが、今の力強い成長から考えて無謀ではないと感じています。

JOLLYGOOD+は他にはないプラットフォームサービスですので、我々が新しい市場を作り、牽引していくつもりです。

ープロダクトとしてどのように発展させていくか構想を教えてください

現在はtoBでの利用契約が多いですが、今後はtoCでの契約も増やしていきたく水面下で動いています。
C向けの動きとして、プロダクトの機能追加が挙げられます。例えば”進行ガイド”という機能があり、これはVRコンテンツを用いた講義をどのように進めるとよいか、進行の手順を自動で生成してくれる機能になっています。これによって進め方の分からなかった教育者の方でも容易に講義ができるようになり、講義の準備負担軽減にも繋がっています。現在は教育者の方のための機能となっていますが、将来的には一人ひとりの自己学習ツールに利用するための構想なども考えています。
近い将来、現在のタブレット端末のように、個人一人ひとりが自身のVR/XR端末を所有する時代が訪れ、自分の好みに合ったVRアプリケーションやコンテンツをインストールし、必要な時に利用するというライフスタイルになると予想しています。また、今後の少子高齢化と医療従事者不足を補うという観点では、治療は病院という場から徐々に地域の医療機関に分散し、自宅での家族の介護、また最終的には個人が自身の身を守る時代になると思います。

一人ひとりがVR/XR端末を持ち、一人ひとりが医療を学習する。そのような時代を見据え、JOLLYGOOD+の個人への拡張を進めていきたいと考えています。
今後の生活に欠かせなくなる「人それぞれの医療」を、いつでも、どこでも、そして誰もが実行できる未来を作っていきたい。11月から開始したキャンペーン(https://jollygood.co.jp/hirake-iryou)で掲げている「ひらけ、医療。」という言葉にも、そのような想いを込めています。

正解がない道を一緒に楽しみながら歩めるメンバーと働きたい

ー最後に、どのような価値観を持った方と一緒に働きたいですか?

自ら考え、自ら動き、自ら形にすることを率先してできる、常にチャレンジ精神を持っている方に来ていただきたいです。ユーザーである医療従事者と一緒に成長していくサービスを創ることにやりがいを感じていただける方とご一緒したいなと考えています。

ジョリーグッドはまだ世にない市場を創造しながら事業を進めています。正解がない市場、かつ医療という難しいテーマで事業展開を進めていく中で、大きな壁に直面することもありますが、それも楽しみながら、ともに推進していける方と働きたいですね。