バレンタインで姉がやらかす
私には、似ても似つかぬ、メンタルが強い姉がいる。
3歳年上の姉だ。
この物語は、20年ほど前の話である。
当時、私が小学6年生のころ、姉は中学3年生だった。
姉は、2月14日のバレンタインデーに備え、張り切っていた。
彼氏がいないことは、私の顔立ちからも容易に想像でき、
姉の張り切る理由が全くわからなかった。
だが、応援していた。
これが家族愛だ。
そして、来る2月14日
姉のチョコは完成し、家族・親族に配られた。
待ちに待ったチョコ。
早速、箱を開けると、ただの分厚い板チョコだった。
今でいう、スマホケース並みの厚さだった。
そんな飾りも何もない板チョコで
私の前歯が欠けた。
硬い板チョコ
全く割れない。
例えるなら、
中国のテレビショッピングで、
チョコがハンマーの代わりになると、紹介されているだろう。使う用途は、食用ではないことは、言うまでもない。
そうとも知らず、勢いよく噛みついた結果、
私の前歯が欠けた。
後日、親族から連絡があり、
従兄弟の兄ちゃんは、
歯が折れたそうだ。
真っ二つとのこと。
サバ折りと言ったところか?
歯は、人間の骨の中で一番固い。
だが、姉のチョコは歯の硬さを超えた。
以降、私はバレンタインチョコが苦手になり、青春時代は大変に困った。
貰ったらどうしようと、常に考えていた。
だが、それは杞憂だった。
私とは縁が無かったからだ。
果たして、今年は、バレンタインチョコを貰えるだろうか。
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