【マット運動】前転について②バリエーション
はじめに
前転に関しては複雑な構造を有していないためつまづく学習者はそう多くありません。しかし、発展技にいくと急につまづきます。そういった学習者には、バリエーションのある前転をすることをお勧めしています。
前転のバリエーション
①片足踏切と両足踏切
1番単純なバリエーションです。開始や終わりの体制を片足か両足にすることで多くのバリエーションが作れます。
②初めの体勢の変化
開始姿勢を変化させることで難易度が変化します。
③着手のバリエーション
手の甲をつくのか、手をグーにして行うか着手の変化で前転のバリエーションを増やします。手の甲の場合には、順次接触がうまくいかないといけません。手をグーにする場合には、手支持がしっかりできない場合は難しいです。前転〜V字バランスは回転制御など発展技につながる多くの技術を内包した素晴らしい課題です。
④前転の最中の動き
足を叩きながら回る、両足踏み切りでカエルの足打ちをさせるなど前転させます。手支持ができないとつぶれた前転になるので、私が行わせる場合には相当慎重に行います。この手支持の感覚は倒立前転につながります。
⑤終末局面の変化のバリエーション
前転の立ち上がりがスムーズか確認します。前にとんだり、とんで1回ひねりなど、立ち上がった際に手を振り上げながらスムーズにジャンプに移行できるとよいでしょう。
おわりに
よく、前転はできるけどその先の発展技でつまずく学習者をみます。発展技につながらないのは、発展技につながらないような前転だからです。学習指導要領には、基本的なベースとなる技しか示されていませんので、バリエーションを増やしたりするのは、学習者自身から出てくればいいですが、なかなかそう上手くいかないことも多いです。間違ったやり方を繰り返せば、間違ったやり方が上手くなります。学習者があきないよう、なじみを持てそうな多くの課題を示してあげてほしいと思います。戦争中のシベリアで一番キツかった労働は「朝掘った穴を昼に埋める労働」という話を大学院の時に聞きました。つまり、「何のためにやっているのかがわからない労働が一番つらい」ということです(詳しくは覚えていませんが、そんな感じの話でした。本当かどうかわからないのですが、確かに!と思っていまだに覚えています)。なんのためにやっているのか学習者がわからない前転をさせないよう、様々なパターンの前転をさせてあげましょう。
参考文献
金子明友(1982)教師のための器械運動マット運動.大修館書店.
三木四郎(2015)器械運動の動感指導と運動学.明和出版.
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