愛兎が、亡くなった。

愛兎が、亡くなった。

突然のことだった。数日前まで元気だったのに。
まだ7歳、もう7歳。
数週間前に体調を崩したけれど、病院に行ってすぐ回復したし、まだ大丈夫だと思っていた。最近はフードの品種改良や環境の変化でうさぎの寿命も伸びてきて、10歳くらいまで生きるだろうと言われてきた。
だんだん若いうさぎさんよりおっとりしてきたとは思うけれど、それでもまだまだ元気だった。

元気に、みえた。

月曜日、私もあの子も体調が悪くて病院に行った。私は日曜日にあった子の風邪?がうつったんだろうね、と薬をもらった。
 あの子は、病院で点滴をしてもらって、青汁や薬をもらって帰ってきた。病院から帰ってきたらいつもなら数時間で元のあの子に戻るのに、その日は夕方も夜も元気がなかった。

どこかで覚悟はしていたけれど、ほんの少しの覚悟だった。
まさか私が寝て、慌ててお父さんが私とお母さんを起こしにきて、そこですぐお別れの時間が来るなんて想像もしてなかった。

---ちゃん、-------ちゃんと、何度も声をかけた。手を握った。頭を撫でて背中をさすった。何度声をかけても反応してくれない。

早朝なのか深夜なのかわからない時間。お父さんはたまたま起きていて、あの子が急に暴れ出すのをみた。これはおかしい、いつもと違うと急いで私たちを起こしてくれたのだ。

まだあたたかくて、しばらくずっとあたたかかった。深く深く眠っているようにしか見えないのに、もう心臓の音は聞こえない。

悲しくて悲しくて、きっと思い返せば人生で1番寂しくて辛くて泣いた日だったと思う。でも、あの時はあまりにも突然で、現実味がなかった。これは全部夢で、寝て起きたらあの子が私のところに擦り寄ってきて、撫でを催促してきて、ごはんの催促をしてくるんじゃないか。

 私は母が泣いているのをこの日初めてみた。母が悲しんでいる、泣いていることもショックで悲しくて、もう誰にも傷ついてほしくなくて、大切な人を失いたくなくてどうしていいかわからないほど不安で悲しくて涙が止まらなかった。

なんで、なんで、病院の先生は大丈夫って言ったのに。数日前まで元気だったのに。なんで。なんであの子がいなくならなきゃいけなかったんだろう。

それでも、どうしても休めない事情がある。代わりが聞かない仕事があるからだ。お医者さんが学校にくる日で、私が行かないわけにはいかない日で。不幸中の幸いといっていいのか分からないが、午前中にどうしても私がいないといけない用事は終わったので、その日の午後と次の日の午後はお休みをもらった。前の職場の人なら「ペットが死んだくらいで休むなんて」と私を小馬鹿にしたんだろうな。今の職場の人は私のことを心配してくれて、快く休みをくれて、「しっかりお別れしてきてね」「それはつらかったね」と優しい言葉をかけてくれた。泣きそうだったけれど、できるだけ平静を装って仕事をした。

今まで生きてきて、そしてこの仕事をしてきて、さまざまな人間を見てきた。

子どものことを顧みない親、歩きタバコしてるおじさん、私に嫌なことをしてきた前の職場の人は元気に生きているのに。性犯罪者もよくわかんない気持ち悪いことばかりする人たちも生きているのに、なんで何も悪いことをしていない、可愛くて優しくてあたたかい、あの子が突然亡くならなければならなかったのか。

あの子が何をしたというのだろう。全部私のせいだ。もっとちゃんとよくみていたら、昨年度のブラックすぎる職場なんてすぐにやめて、引き留められたのも無視して労基行ってやめて、そばでずっとみていればこんなことにはならなかったんじゃないか。仕事で自分のメンタルをすり減らして、時間もなくして、大切なあの子と過ごす時間を失って。
失ってばかりじゃあないか。泣きながら、心身のバランスを崩しながら自分の命と有限な時間を削ってまでいる場所なんかじゃ絶対なかった。

あの子も、大切な家族だから、お葬式をした。私とお母さんとお父さんで。もう泣かないと思っていたけれど、眠っているようにしか見えないあの子が、ゆりかごの中に入ってお花に囲まれて寝ているのを見て涙が止まらなくなった。

火葬して小さくなってしまったあの子の一つ一つを、葬儀場のお姉さんが説明してくれた。私はお葬式に行った経験が少なく、その日初めて知ったのだが、人間含む動物は火葬したら骨以外にも悪い部分は焼ききれず残ってしまうのだそうだ。火葬の後に残されたのは、小さくなった白いあの子と大きな黒い塊だった。おそらく、何らかの腫瘍だろうと。

早くもっと気づいていたら。もっと大きな病院に連れて行っていれば。一つの病院だけ行かずに他に病院にも連れて行っていたら。

せめてゴールデンウィーク前に時間を巻き戻せたらどんなにいいか。どれだけ何度も願っても、ここは漫画でも小説の世界でも無いから、この文章を書いている間にも時間は進んでいるし、もう戻ることはできない。わかっていてもどうしても受け入れられない。病院の先生ですら見過ごしてしまうのだから、素人の私がわかるわけがないとは分かっているけれど、未来がわかる今の状態でやり直したいと何度も何度も願っているが、いまだに戻れずこの文章を書いている。

 忙しい日や目の前に子どもたちがいる時は涙は出てこないのに、ふと保健室で1人になると涙が溢れて止まらなくなって、もう会えないのかと思うと寂しくて、心と頭の中が紺色になる。

 少しのことでも涙が出る。それに付随してあの子のことを思い出してしばらく涙が止まらない。それでも子どもたちはけがをするし体調を崩すし、保険関係の書類提出も日々あるし、仕事はしなくちゃいけない。

私はまだ生きていきたいし、やりたいこともやらなくちゃいけないこともたくさんある。あの子のいない世界がまだ受け入れられなくて寂しすぎて、消えたくなる瞬間もあるけれど私は誰よりも生きたい。

そして、もう誰も私より先に死なないでほしいのだ。

心の整理をしたくて区切りをつけたくて(そんな簡単に割り切れるものでは無いとはわかっているけれど)、今この文章を書いている。インスタもLINEもSNS系は基本的に全然更新していなかった。なんて言葉を使えばいいか分からなかった。ごめんなさい。
今から少しずつ元気になったら、たくさん大切な人にも会いたいし、お話ししたいです。もしかしたらふとした瞬間に泣いちゃうかもしれないけどまた泣いとるーん、大丈夫よー、元気だしなーみたいな感じで軽く声をかけてもらえたら助かります。多分もう大丈夫。

両親も落ち込んでいて心配で、私も今年はできるだけ家族親族との時間を今まで以上に大切にしたい。命は、何が起きるか分からない。会える時に会える人に会っておきたい。

7年も一緒にいてもらったから、きっとすぐには受け入れられなくて、またふとした瞬間泣いてしまうだろうけれど、どうにか踏ん張って頑張って生きていこうと思う。

まとまらない文章だけれど、また心が落ち着いてきたらしっかりと何かを残したいと思う。セルフグリーフケアとして。
 あの子のおかげで私も高校時代生き残れたし、あの子が私をここまで生かしてくれた。あの子との思い出は消えない。私はこれからも生きていくのだから、泣くのは後少しだけにして、前を向いて進めるように頑張りたいと思う。

.

.

.一度も推敲していない文章なので読みにくかったことでしょう。最後まで読んでくれてありがとうございます。あなたと、私がもっと幸せになれますように!!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?