ひっかけ問題?「総額は指数ではない」から

「本事業における土地評価の手法でございます。本事業における整理前の宅地及び整理後の宅地、換地ともいいますけれども、この評価につきましては、国土交通省が監修した土地区画整理事業における土地の評価基準の標準案である区画整理土地評価基準(案)(改訂版)で示された手法を採用し、評価を行ったところでございます。
土地区画整理事業における土地評価につきましては、事業以外の社会経済情勢等を要因とする土地価格の変動は排除し、事業により生じた宅地の施工前後の価値のみの比較を目的としたものであるため、金額ではなく指数という形で表示されるものでございます。
一方、固定資産税の土地評価は、固定資産税を算定するための価格であり、土地区画整理事業の土地評価のように、事業以外の社会経済情勢等を要因とする土地価格の変動を排除するといった制約はありません。そのため、土地区画整理事業における土地評価と固定資産税を算定するための土地評価は、算定における目的、条件、表示の方法等が異なることをご理解いただければと存じます
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保留地面積の算定方法について~本事業では、整理前後の宅地価格の総額を算出するため、事業計画策定時を基準として不動産鑑定を実施した結果、整理後と整理前の差はプラスの値となったため~。
 最後に、これまで説明させていただきました土地評価の手法につきましては、さきに述べましたとおり、国土交通省が監修しました、土地区画整理事業における土地の評価基準の標準案であります区画整理土地評価基準(案)(改訂版)で示された手法を採用しております。これらの手法は、他自治体においても広く採用されており、非常に一般的な手法であると認識しております。」

 令和 5年 3月建設常任委員会-03月06日-03号 (gijiroku.com)

区画整理土地評価基準(案)(改定版)は公の資料ではないのに、法的な根拠となるのでしょうか?その内容が確認できないのですが、本当にこのように書いてあるのでしょうか?
でもひとまずこの説明をそのまま検証すると・・・・・

上記の説明はなんとな~く、
「保留地設定の為の宅地の総額も、<区画整理土地評価基準(案)(改定版)>(事業以外の社会経済情勢等を要因とする土地価格の変動は排除し、事業により生じた宅地の施工前後の価値のみの比較)によって評価する。それによれば事業後の総額が事業前の総額を上回っているから違法ではない」


という印象を与えます。
しかし、この太字部分に注目してください、「土地区画整理事業における土地評価につきましては~金額ではなく指数という形で表示されるもの」と。
一方、市側が総額の算定のために設定した宅地の事業後の予定価格は「25万9千円」という金額で示されています。
あ、指数じゃないから、これには当てはまらないね?ひっかけ問題みたい。

そして宅地の総額次第で設定された保留地は、売却して事業費用にあてる仕組みです。売却する土地の評価をするのに、「事業以外の社会経済情勢等を要因とする土地価格の変動は排除」するわけがないですよね。整合がとれませんから。

また、市側の説明は「土地区画整理事業における土地評価では、事業以外の社会経済情勢等を要因とする土地価格の変動は排除しなければならない」ように感じさせます。しかし、この意味は「社会経済情勢等を要因とする土地価格の変動は、おのずと排除される」といった性質の説明にすぎないのでは?
「同時点の相対的な評価(いわば”横”の比較)であれば、「社会経済情勢などは同条件である」=相殺される=排除されるからです。

国土交通省は「周辺地域の地価動向や経済・社会情勢を踏まえ、土地の利用価値が的確に反映されているとともに、合理的な説明により、地権者等の理解の得られるものでなければならない」(土地区画整理事業運用指針|渋沢 @okashitoiumono #note https://note.com/jolly_plover845/n/n28592f731ba5 )
という指針を示しており、そういう意味じゃないと矛盾します。

本当は、市側の説明とは異なり、「まず客観的・公的な評価によって算定された宅地価格の総額を前提とする。その枠内で、相対的指数によって戸別の評価を行えば事業により生じた宅地の施行前後の価値のみの比較ができる」ということなのでは?これなら指数の平均の上昇率は宅地価格の総額の上昇率によって抑制される(市の裁量の幅が制限される)ので、様々な点がうまくおさまりますから。

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