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ベンチャー資金調達の厳しい現実と2024年の光明

この記事は、2023年のベンチャーキャピタルの動向に焦点を当て、資金調達の厳しい現実を読者に示します。多くの要因から、昨年のディールメーキングと資金調達は低水準にとどまり、特に米国では10年ぶりの低水準となりました。しかし、記事は単なる現状の報告にとどまらず、2024年に向けての楽観的な展望も提供しています。インフレ率の沈静化や金利の低下、サプライチェーンの改善など、経済的な要因がベンチャー資金調達の環境を改善していることが示されています。これらの要因が投資環境に与える影響や、将来の展望について理解を深めることがでるでしょう。


ほとんどのベンチャー企業の創業者は、2023年の資金調達は控えめに言っても困難だったと言うだろう。多くの要因から、ベンチャーキャピタル投資家は投資を控え、資本を投下する場所に関してより戦略的になった。昨年何が起こり、それは来年について何を教えてくれるのだろうか?

2023年に何が起こったのか?

C.B.インサイツの最新レポート「State of Venture 2023」によると、昨年の資金調達額がどの程度減少したかが明らかになった。同レポートによると、2023年のディールメーキングと資金調達の合計は6年ぶりの低水準に落ち込み、第4四半期は世界のベンチャー企業にとって過去6年間で最も厳しい四半期となった。A.I.や持続可能性に焦点を当てた新興企業など、いくつかの分野は回復力を維持しているが、全体としては、世界のディール件数は大幅に減少した。

以下では、レポートから得られた主要な調査結果と、昨年のベンチャーキャピタルの全体的な状況について見ていく。

1.ベンチャー企業の資金調達額は2,484億ドルに減少し、2017年以来最低の数字となった。案件量も前年同期比で30%減少した。ここでの例外はフィンテックとリテールテックであり、2023年最終四半期にはわずかながら資金調達が増加した。

2. さらに大幅な落ち込みとして、米国のディールボリュームは10年ぶりの低水準となり、米国に拠点を置く企業は第4四半期に2,182件のエクイティディールを調達するにとどまった。これは2013年以来の四半期最低水準である。

3. 後期段階のディール規模は縮小している。実際、2021年以降50%以上減少している。2021年には5,000万ドルであったレイトステージ案件の中央値は、現在2,100万ドルである。メガ・ラウンドも2023年には減少し、2017年以来の最低水準に達した。

4. IPOはあまり芳しくなく、2023年は2013年以来最も少ない年間V.C.支援IPOとなった。昨年のIPO件数は世界全体で200件に満たず、米国は特に少なかったようだ。M&Aディール件数は2021年のピークから減少しているものの、2023年には8,351件と歴史的な高水準を維持している。

5. 2023年にはユニコーンもなかなか誕生しなかった。この年、新たに誕生したユニコーンはわずか71社で、7年ぶりの低水準となり、2022年から73%減少した。71社のうち35社は米国企業で、アジアと欧州がユニコーンの上位3位を占めた。

6. 明るいニュースとしては、ジェネレーティブA.I.とサステナビリティ・テックが昨年投資家を魅了した。投資家が長期的なリターンに目を向ける中、第4四半期の上位案件の大半を占めている。

この1年間、ベンチャー・キャピタルの動きを注意深く見てきた人々にとって、このレポートは驚きではないだろう。インフレ、金利、その他多くの経済的要因が、資金調達の減少や出口オプションの必要性の一因となっている。

2024年に向けて楽観視すべきことは何だろうか?

2023年の厳しいニュースにもかかわらず、2024年の見通しには明るい兆しが見えつつある。

・インフレ率は2022年12月の5%超から2023年12月には3%未満に沈静化している。

・インフレ率の低下は金利の低下を意味し、債券の新規発行プレミアムの低下を意味する。

・負債証券の金利低下は、投資家がより高いリターンを追い求める動機付けとなるはずだ。

・サプライチェーンはオンショア化され、強化されている。

・失業率は歴史的な低水準を維持している。

・ウォール・ストリート・ジャーナル紙によると、米国の航空会社の2023年1~10月期の乗客数は2022年同期比で13%増加し、航空運賃は5%下落した(米国労働統計局のデータを引用)。

・原油価格は下落し、米国の石油生産量は増加を続けている。

・新築住宅需要は高騰を続けている。

・半導体需要は伸び続けており、米国政府は新規製造工場のオンショアリングを奨励している。

これらすべては、ベンチャー・キャピタルにとって理想的な「リスク・オン・リスク」の投資環境を意味するはずだ。

今年のV.C.の状況は大きく変わる可能性がある。願わくば、12ヵ月後には、もっと励みになるような年末の報告書を見たいものだ。

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