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17.ポミスでストライプを紐解いた日のこと

ポミス(Paul Smith)の展示会に行った話を今更書きます。

こちらのイベントの開催期間中、某所で行われる手帳のイベントで、大ファンのムーンプランナーさんが登壇されるとのことで、「両方行けるじゃん!!!」と勇んで東京に行ってまいりました。

ストライプを紐解いてきたよ!!!

昔から、黒っぽい服に鮮やかな差し色を入れるのが大好きです。
その辺の流れからか、Paul Smithのお洋服やストライプの感じがめちゃんこ好きで、私の妄想のクローゼットには、Paul Smithのお洋服がたくさん入ってます。
ポール氏のインタビューや講演の記事なども読み漁り、胸をギュギューーーン高鳴らせていた頃に行われたこのイベント。
滅茶苦茶ウキウキと行ってまいりましたが、到着直前に、実家から「詐欺にあったかも……( ;  ; )」みたいな電話がかかってきてなんかもう、なんかもうね……という感じでした。
道端で、あちこちに連絡したり調べ物をしたりで、結局、予約時間ギリギリに、充電3%のアイヒョンで予約券のIDを提示して入場するという有様でした。悲しい。

ションボリかつソワソワしながらの入場になりましたが、展示はめちゃくちゃ素晴らしかったです。
会場内のモニターで、ポール氏のメッセージが上映されているのですが、私はかなりの時間
モニターの前で半泣きになってました。
半泣きっていうか、泣きました。全泣きです。

メッセージの内容は、Paul Smithのブランドコンセプトや、なぜストライプがブランドのシグネチャーになったのか?と、その歴史やマインドを紐解くような内容です。

その中で特に印象に残ったのが、
「色彩をとても繊細に使うことは、気分を良くしてくれるのです」
という言葉。
これは、ストライプの色合いを決める時の心掛けみたいなものを語られている時に出てきた言葉です。

「繊細に使う」ことで、「気分が良くなる」。
なんか、めちゃくちゃ良くないですか???
何かを真剣に選ぶことを、「とても繊細に使う」と表現することも、その結果で得られることが、完成度が高まったり、何らかの価値が高まる方向性でなく「気分が良くなる」ということも、なんとも朗らかで、あたたかで、でも忘れがちなすごく大切なことで、この言葉を聞くたびにモニターの前で涙ぐんでいました。

何度も何度もこのメッセージを見ながら、「私にとって『繊細に使いたいもの』『繊細に使うと気分がとても良くなるもの』とは何だろうか?」とずっと考えていました。
そうしたものは沢山あるけど、特に言葉のリズムは、とても繊細に大切に使いたいものだなあと思ったりしました。
そこからまた、しばし自分のファッションコンセプトについて思いを馳せ、小一時間はモニターの前に立っていたような気がします(長)

また、ブランドコンセプトの『捻りのあるクラシック』を説明するのに「内側に小さな秘密があります(ベーシックなシャツでも、裏地の色が独特)」とお話しされていたのもとても胸に来ました。

Paul Smithというブランドを表現する時によく使われる「遊び心」という言葉は、この「内側の小さな秘密」に掛かっていることが多いんじゃないかなと思います。

期待を裏切るのでなく、二面性で他者を脅かすでもなく、ただ驚いてハッと目を見張り、もっと楽しくなれるような「意外性」。
そんな「遊び心」は、なにか、他者や世界への愛おしさを新鮮に思い出せるもののような気がします。
意外性は、安心感とは真逆なはずなのに、それでもどこかホッとできるのは、『クラシック』という、安定感のあるものを下地にしているからでしょうか。

こうした不思議な心地は、展示されていた気球の映像ですごく感じました。
フワッと、なんの憂いもなく楽しげに漂う気球の映像と、轟々と圧倒してくる風の音。
空から眺める美しい景色と、気球が飛ぶに至るまでの過酷な工程。

その両極端の映像を全身で浴びて、言葉も無く、ひたすらに圧倒されながら、ただ「私はPaul Smithが大好きだ」と、ポロポロ涙を流していました。


あ、家の詐欺の件は、全て丸く収まってます。

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