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ウツボグサ

 令和3年6月23日の大分合同新聞「豊の国植物便り」で、ウツボグサが紹介された。一昔前は、普通に目にしてた草花である。
「そういえば、最近見てないな」と思い、以後散歩中、運転中、道路わきの草むらに目が行くようになった。1時間近くかけて、徒歩で探して歩いたことも2度あったが、全て徒労に終わった。
 日がたつにつれ益々、ウツボグサへの恋慕の情が募り、8月下旬、苗1株と種を取り寄せた。9月に入って種を直播したが、うまくいかず、10月中旬、育苗ポットに播種したら発芽した。合わせて4株が、冬を超すことができた。
 治療にみえたご婦人にこの話をしたら、ウツボグサの愛好者が他にもいたことを大層喜ばれた。山香町を流れる川沿いの道路脇で、ウツボグサの群落を見つけ、数株を持ち帰ったのが増えたからと、今年4月10日に、2株家まで届けてくれた。
 その後、ウツボグサの群落が気になり、彼の場所へ行ってみたら、路肩が奇麗に整備され、跡形もなかったと惜しまれていた。
 5月に入り、元々の4株は元気よく四方に茎を這わしている。いただいた2株は移植により、一旦踟蹰ちちゅうしたから、どうしても成長が遅い。6月には花を見ることができるだろうか。待ちきれない思いである。

 5月25日、苗で取り寄せた株が、待ちに待った開花。長く伸びた茎の先端の花穂に、紫色の小さな花を下から上へと順に咲かせてくれた。花が終わると、茎にある2対の葉の付け根からそれぞれ脇芽が伸び、それに小さな花穂ができた。1本の茎に5個の花穂ができたことになる。

 春の若葉は食用に、夏には花を愛で、夏の終わりに枯れた花穂(夏枯草)は生薬に。ウツボグサを増やして、その全てを堪能したいと思っている。                                 

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