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fug
黄昏
「じゃあね。絶対に遊びに来るからね。」
「連絡も絶対にするから。」
「うん。待ってるよ。あっちでも頑張ってね。」
駅のホームで親友と話していた。私の就職先が地元だったため、進学先から帰省せねばならなかったのだ。
堪らなく辛い出来事だった。
大嫌いな地元に帰らなければならない。
大好きなもので溢れかえった楽しい進学先を離れなければならない。
其れより何より辛いのが親友との別れだった。
大学でできた一番の親友。何時だって優しく凡てを包み込んでしまうような優しい笑顔だった。
彼女が居てくれると、私の哀しみや不安が半分になり、歓びは何倍にもなった。
彼女は私にとって心の救いとでもいうべき存在であった。
別れの刻、最後の最後まで彼女はその優しい笑顔のままだった。
電車内で私は沈んでいた。どうしようもなく哀しく辛かった。まるで全身が鉛でてきたかのように重い。
自分ではどうしようもないほど辛いというのに、何時も元気付けてくれる彼女とはもう傍に居られない。何も永遠の別れではないと解っているのにまるで半身を奪われたような辛さだった。
きっとその辛さは、自分の前には二度とあのような子は現れない、と解っていたからなのだろう。
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