お笑い芸人になって
僕は芸歴5年が経ちそろそろ6年選手になる。
あーもうそんな経つかぁ。
多分大半の若手芸人がこう思う。
「こんなはずじゃなかった。」
少なからずもっとTVに出て、劇場で活躍をして、
街では声をかけられる人気者。
そこら辺のレベルには達しているだろ。
芸人始めたての頃は大体の見積りをこのくらいに設定をしていた。
実際はTV出演はなく、事務所にも所属出来ず、
活躍という活躍はできていない。
人気のある同期はどんどんいいライブに出て、
単発ではあるがネタ番組やバラエティに出演をしたりする。
賞レースでは結果が出初めて差が開いてる状態なのかもしれない。
卑屈になればいくらでも卑屈になれる。
それが大半の芸人の意見だろう。
それでも卑屈に見えないのは職業柄なのか、覚悟なのか、はたまた未来を諦めていないのか。
真相はその人次第。
僕がそれに関してどう思ってるかは一旦置いといて
最近なぜお笑いをやっているかと考える時がある。
元々お笑いを見るのが好きだった。
満遍なく色んなお笑いを見ていて、深夜やゴールデンのネタ番組を見ていた人。
年末年始はずっーとTVの前から離れない。
そんな子供だった。
ひたすらにどの芸人がどの事務所にいるかを把握して、マイナーなお笑い芸人はネットでひたすら探すみたいな学生時代だった。
僕のことを知っている人はなんとなーく分かるかもだけど、好きな物にはとことんのめり込んでしまう。
お笑いも例に漏れずのめり込むうちに段々と作家のような目線でお笑いを見るようになった。
自分ならこうする、ここがもっとこういう発想ならいいのに〜と頭で考えるうちに
「あれ?これ俺がお笑いやればいいんじゃね?」と
大半のネタ書く芸人はこれが始まりのきっかけになっているだろう。
恥ずかしいがみんな野心家。
常に自分を面白いと思って芸人を続けている。
ウケないのは時代のせいにして。
だから辞められない人は辞められない。
辞めることも立派な決断だと芸人たちは口にする。
それはその通りだと思う。
辞めることにも勇気はいる。
自分が負けを認め別のステージで生きていけるか?と考えて次の一歩を踏み出すことができるのは賢い人間のやること。
ただ分かっていても挑戦をしなければならない。
そういえば聞こえはいいだろう。
芸人になろうと思ってじゃあ就職しません。
あとは過酷な道へ行くと決めた時から
「あーもうお笑いは好きになれない」と感じた。
好きだったお笑いを今までのように見ることはできないんだなと覚悟を決めた。
実際あんだけ結果が気になっていた賞レースを見る気もなくし、ネタ番組も見なくなった。
一応自分は後からどんなネタをしたかを確認はする。
ただ、それは勉強のためにであって、純粋に楽しいや面白いではもう見れない。
でもそれは仕方ない。
分かっていたことだし、これからもそうであると思っている。
じゃあ君はお笑いを見ないの?と聞かれたら答えは
NOと言える。
ライブでは他の芸人のネタを袖や裏で見させてもらっている。
面白い時は笑うし、いいネタだなぁと思ったら感心もする。
ただはっきり言う。
こいつ面白いか?と思うこともある。
仲良い人や先輩なら全然思わないが、
すげーいいライブに出てるが本当に面白いか?
面白いと言わないといけない空気があるだけではないか?と思う時がある。
まぁお笑いなんて人それぞれの感じ方だから正解はない。
ただ.そんな奴が賞レースで良いところまでいく。
でもすごく思う。
それは賢明ではないと。
悪貨は良貨を駆逐するとは言うが、
良いお笑いがその人たちの空気感だけで何が正しいお笑いか分からなくなる。
正解がないものに無理やり正解を出そうとしている自分が悪いし理想の押し付けに過ぎないとは思う。
ただそんな言い訳にも似たしょうもない考えで
理性を保ているのかもしれない。
そんなことはどうでもいい。
5度目のM-1グランプリが今日ありました。
結果は敗退。
うーん。
なかなかこれが難しい。
もちろんベストを尽くし、感触も悪くなく、手応えも感じた。
そこで下される敗退の2文字。
うーん。
素直に飲み込めという方がキツイ。
なんで?とかは?とか思うが、そもそも至らない部分があったとしてこの4年間の成長がここで示せないのは辛い。
だからといって時間が止まるわけでもなく、また新たな時間が僕たちも刻まれる。
でもさすがにここまできたらセンスないだろ。何のためにやってるの?と考えたくなる。
まぁそう聞かれたら漫才が好きだし笑ってくれる人がいるから。と答える。
でもいつか花開く。なんてことは思わない。
よっぽどの運と好かれ具合じゃないと無理無理。
あと遅咲きって人も大体エリート。
こんな下の世界で悩んでる人なんていない。
ただ、時代は変わった。
と思っている。
僕が子供の頃のようなお笑いブームはもうこない。ネタ番組が当たり前にゴールデンや深夜で爆発的な人気をもったあの時は来ない。
よりニッチな知識やキャラ。あとは人との触れ合い、キャラクター。そこら辺が求められる。
ロケ番組やユニークな情報番組。こういう所がどんどんテレビには求められる。いや、テレビじゃなくても仕事をもらえ人気者になれる時代だ。
お笑いに固執することはない。優勝するに越したことはないがそれでも一握り。
少し前から言われてる何でもいいから1番になれ。
それが今まさに取り合いになっている。
あとは火をつければいい。
そこからお笑いは認められればいい。
その舞台は残しておけばいい。
いつだって浅草にあるじゃないか。
事務所を辞めても拾ってくれた協会があるじゃないか。
そこでやりたい事やればいいじゃんか。
もう負けたんだ俺達は。
たとえ芸人を休んだとしてもいつか復活すればいい。
今勝ち上がってる奴らのほとんどが2回戦で落ちて3回戦で上がるのはほんの少し。
って言うと負け惜しみなんだけど。
とにかく他にやることはあるし、その道は作っていかないといけない。
たとえお笑いで認められなくても他で認められるように頑張ればいい。だって現にYouTubeの活動で沢山の人が応援してくれてんだろ。
いつだって居場所はある。
だからもう少し頑張らせてくれ。
勝ちたいのか、楽しみたいのか?
どっちもだよ。
だけどいつか踏ん切りをつけるべきなのかもしれない。それが明日なのか10年先なのか?
それは俺も分からない。
でもこれだけは言う。
YouTubeと演芸協会がなければとっくに辞めてた。
まぁこれがいいんだか悪いんだが。
何かしらの形で還元はしたい。
とりあえず明日からYouTube頑張ります。
面白いことになりそう。
追加合格を祈って。
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