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【バーナム 人心操作の修辞学】1836年2月26日新聞

<ジョイス・ヘスの解剖> ―稀代のペテン師暴かれる―

昨日、シティー・サロンで行われたジョイス・ヘスの死体の解剖学的検査は、信心深い地域社会を狙った〈稀代のペテン師〉を暴く結果となった。私たちは、このような公開解剖が提案されたことにいささか驚き、それを促した科学的好奇心の妥当性を半ば疑いたくなった。われわれは、哀れなジョイス・ヘスという老人が、その世界一の高年齢や誰かの利益のために満足させてきた世間の好奇心よりも、不朽のワシントンの乳母であったという高い名誉のために、見世物や傷物にされないよう保護されるべきであったように感じた。しかし、公開解剖を実施した目的は、一般の人々にとって有益な結果であると同じくらいに価値のあるものであった。

解剖学的な知識と技術で著名なチェンバーズストリートのデビッド・L・ロジャーズ医師は、ジョイス・ヘスがこの街に到着して間もないヘスと応対したことがあった。そのときの診察からはヘスが一般に言われあるいは考えられているような百六十一歳ではなく、彼女は最大でも八十歳を超えることはないと完全に確信した。彼女の脈拍は、言われていたような高齢であればおそらく百を超えたはずであるが、ほとんど常に七十五だったことを確認した。これに加えて、医師には、一世紀半以上の冬と夏を経験した年齢に見られるような徴候は全く見られなかった。彼女の聴覚、声、知性、身体機能の全ては、その半分の年月しか生きていない一般的な人のそれよりも損なわれていなかった。また、長い間視力を失っていたのは、もっと早い時期から罹患していたと思われる病気の影響だと彼は確信した。このような印象のもと、彼は何人かの友人に、もし彼女がこの街かその近辺で死んだら、解剖学的検査で自分の意見を検証してみるつもりだと伝えていた。そのような解剖をしてみれば一般大衆を欺くことはできないと考えたものである。果たして、この機会が巡り、彼はシティ・サルーンで遺体の公開解剖を行う手配をした。

予定の十二時、好奇心に駆られて出席してみると、すでに多くの開業医や学生が集まっていた。遺体はかなりやせ細っているように見えたが、六十、七十歳の人によくある事例ほどではなかった。切開する前に、ロジャーズ博士は、極めて高齢であることを解剖学的で最も普遍的に示す証拠は、軟骨である身体のある部分が骨化(または骨に変化すること)であると述べた。イタリアで診察した百十五歳で亡くなった女性の例では、心臓がほとんど完全に骨化しており、胸骨とその他の胸部の骨の軟骨の塊もすべて骨化していた。そして、まず腹部の内臓を検査することを提案し、その結果、完全に自然で健康的な状態であることを確認した。胸部の臓器も概して健康で、肝臓は適切な大きさで病気もなかった。心臓を解剖したところ、心臓動脈はまったく骨化しておらず、弁も全体的に骨化していなかった。

肺を調べると、左側に非常に広範な癒着があり、おそらく長く続いているものと思われた。開頭してみると、脳は健康で、頭蓋骨の縫合部は非常に明瞭であるだけでなく、手で簡単に切り離すことができた。

このような証拠やその他身体の病理解剖学的な全体像に見られる他の多くの証拠から、われわれの不完全な知識では説明しきれないが、、ジョイス・ヘスは七十五歳以上、高齢であったとしても八十歳以上ではありえない!というのが、その場にいたすべての紳士たる医者の一致した意見であったようであった。したがって、彼女が百六十一歳という驚異的な長寿を自認しているのも、ジョージ・ワシントンに乳を飲ませたという話も、「幼いご主人様ジョージ」を愛しんでいたという話も、すべて興行者の利益のために、稽古の中で教えられたものであることは道徳的に確かである。しかし私たちは、この街で彼女を展示した人物はペテン行為に加担したのではなく、ほかの誰かがいうことを信じ込んで彼女を高値で引き取ったのだと信じている。それでも、今日で最も貴重なまやかしで、一万ドルを儲けたことは間違いないだろう。

『ザ・サン』一八三六年二月二十六日号

出典:https://lostmuseum.cuny.edu/archive/dissection-of-joice-heth-precious-humbug


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