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【上海電力】入札に関するあれこれ(6/15追記あり)

はじめに

久しぶりに記事を書こうと思いますが、本日の内容は特に真新しい事実関係等ではなく、これまでバラバラと出ていた内容について、私なりの考察や解説をかなり分厚くしつつ、事実関係をまとめた内容になります。
私自身も最近はTwitterで発信していますので、すべて読んでくださっている方には既知の内容がほとんどになりますが、どうしてもTwitterだと情報が断片化されてしまいますので、まとまった情報掲載という趣旨で主に入札についてお伝えしていきます。
なお、入札後について様々議論があることも承知していますが、本日は「入札」を巡る動きのみに焦点を当ててお話します。


入札に関する各種時系列の整理

最初に時系列を整理しておきましょう。すべて証拠となるリンク(太字)を繋いでいますので各自クリックしてお確かめください。


2012年10月10日 副市長会議開催(①)     速報リンク 確報リンク
     同日 毎日新聞による報道(下画像)(②)

なお上記については画像であるため、厳密にはエビデンスになり得ません記者名(津久井氏原田氏)が出ており、日付も内容も符号することからほぼ間違いないと思われます。「毎索」という過去アーカイブがありますが、有料ですので毎日ガチ勢の方検証お願いします・・

6/9追記  本毎日新聞のアーカイブをいただきました。  
       これで本記事の存在は確定です。  リンク

2012年11月 8日 入札案の起案    (②)        決裁文リンク
2012年11月12日 上記案決裁【港湾局長】 リンク同上
2012年11月16日 HPにて入札公告開始(②) 公告HP
2012年12月  5日   入札及び開札(③)    リンク同上
2012年12月12日 入札結果公表(②)    リンク
2012年12月26日 報道発表         リンク

その後は入札後の契約の話になりますので今回は割愛します。

上記の項目の番号と関連させて、次のような見出しにしてみました。

①副市長会議について<副市長案件への格上げ?>
②入札と公告について
③入札当日について(1円入札の怪)

順番に見ていきましょう。


①副市長会議について<副市長案件への格上げ?>

これは前回記事でも取り上げましたが、今回はここをめちゃくちゃ掘り下げたいと思います。本日のほぼメインの内容です。

記事の中で、山口氏はこう述べられています。

咲洲メガソーラーは、外形上は「月額55万円の市有地賃借契約」である。それなら、通常なら「副市長案件」ではなく、「局長案件」だったはずなのだ。

(略)

金額的には安い咲洲物件が「局長案件」ではなく「副市長案件」に格上げされたのはなぜなのだろうか。
それはもちろん、金額以外のことが考慮されたからである。その決め手となった人物こそ、2011年12月に市長に就任した橋下徹氏だった。

https://hanada-plus.jp/articles/1055

これに対し橋下氏は北村氏との対談でこのように述べられています。

2:20~あたりから橋下氏がご自身の見解を述べられています。
注:内容は一言一句再現ではありません。

本来は局長決裁で済む話だがなぜ副市長が入ってきたかというと、意思決定を透明化する流れの中で、局をまたがるような案件の場合、副市長に入ってもらってフルオープンでやろうということになった

これに対し、山口氏は意義を唱えます。

・上記は真っ赤な嘘。咲洲メガソーラーは局をまたいでおらず港湾局単体の案件である。
・港湾局が単体で慣れない事業をやらされたために、予定通り発電できないというミスが起こった。
・ではなぜ副市長会議にかかったのか、その理由は橋下氏本人にある。
・橋下氏は9月に議会でも発言しており、ベイエリアのメガソーラーは市長の肝入り案件だから副市長案件に格上げになった。

上記を検証してみます。
まず副市長会議ですが、設置されたのが2012年6月からなので、橋下市政下(2011年12月~)で設置されたのは間違いありません。
副市長会議のトップページにはこう書いてあります。

市政運営の基本方針、重要施策、その他の市政の重要事項について、関係者意見の聴取や重要な政策判断を要する事項に関する情報や課題認識の共有化の場として、開催しています。

ここだけを読めば、必ずしも局横断案件を扱うというわけでは無く、他の案件を見ても確かに局単体の案件もあります
ただし、副市長は3名いらっしゃり、それぞれが複数の局を担当しており、その局間の横断的な調整を行う役割をしているというのは一般的な認識として間違いはありません。

では、今回の咲洲メガソーラーは港湾局の単独案件だったと言えるのでしょうか? 今一度当該会議の議事録(2012年10月10日)を見てみましょう。

この会議中では港湾局・環境局が共に参加し、2局で説明を行っています。なぜでしょうか?

これは、資料を読めば本事業が港湾局の事業でありつつも、「おおさか環境ビジョン」に基づき、「咲洲地区スマートコミュニティ実証事業」に協力して実施する、というものです。だから環境局が加わっているわけですね。
これらは何でしょうか?

まずは「おおさか環境ビジョン」

大阪市では、昨年11月に総合的・戦略的な環境政策の方針となる「おおさか環境ビジョン」(中間とりまとめ)を策定し、本年2月には平成23年度に取り組む具体的施策を明記した「おおさか環境ビジョン」(案)をとりまとめましたが、このたび、平成23年度予算の成立を受けまして、「おおさか環境ビジョン」としました。

これは、大阪市の環境政策の大方針2011年3月に成立しました。こういうものこそが「市長案件」といえるようなものです。なおこのときは平松市政であったことに注意です。一部内容を紹介します。

この中で、夢洲・咲洲はエネルギー産業を集積させるようなまちづくりを行うと明記されています。これを受けてすぐに夢洲メガソーラーも進みだすのです。重要なのは夢洲だけでなく、咲洲も含めて環境政策にカジを切るよとなっている点です。

他方で、2011年12月22日(橋下氏当選直後)大阪市では先んじて申請していた「関西イノベーション国際戦略総合特区」というものにも指定されています。

この中でも夢洲咲洲エリアが環境施策の目玉地域であることが大々的に謳われています。


次に「咲洲地区スマートコミュニティ実証事業」です。

こちらは2012年4月3日に公表された環境局の事業になります。

東日本大震災を受けての内容になっている点が当時の雰囲気を思い起こさせます。

色々あって複雑な事業なので各自ご確認いただければと思いますが、一部だけを紹介します。これを見ると、太陽光発電やら下水発電を利用しつつ、咲洲内のATC、コスモスクエア駅、インテックス大阪、咲洲庁舎の4つの施設の中でエネルギーを融通し、最適化を図りましょうという施策が含まれているのがわかります。

重要なのは、平松市政よりあらゆる場面において夢洲・咲洲が重点的な環境政策エリアであるとガチガチに固められてきたという点でしょう。

ここまでが環境局です。

さて、他方で、港湾局です。現在渦中のソーラー発電の場所は、当時「コスモスクエア海浜緑地計画地」と呼ばれており、緑地として整備していくことが検討されていました。
緑地計画についても色々当時の事業資料は探せますが、ここは割愛します。代わりに、この緑地計画について副市長会議の直前の市会で次のようなやりとりがありました。

平成24年9月28日 平成23年度決算特別委員会(公営・準公営企業)

◆片山一歩委員 (略) 次に、なにわの海の時空館周辺の未利用地についてお伺いします。  時空館の西側に、コスモスクエア海浜緑地の計画地といたしまして約5ヘクタールの広大な空き地があります。財政状況が厳しい中、当面、緑地としての整備は難しいということをお聞きしております。  しかし、このまま何年間も空き地のまま放置するとなると、コスモスクエア地区のまちづくりにとってもイメージダウンになるのではないかと思います。  この土地は、将来的には緑地として整備するにしても、当面は賃貸して有効活用するなどの方法を考えるべきではないか。これについて港湾局のお考えをお聞きいたします。


◎松井港湾局営業推進室開発調整担当課長兼計画調整局夢洲・咲洲地区調整担当課長 
お答えいたします。
 本市では、市域の温室効果ガス排出量の削減並びに分散型電源の確保に向けて再生可能エネルギーである太陽光発電の導入拡大を図ることとし、平成32年度までに市域の太陽光発電の導入量18万キロワットを目指しております。
 国際戦略総合特区の指定エリアである夢洲・咲洲地区におきましては、再生可能エネルギーの積極的な導入やスマートコミュニティ実証事業の推進などにより環境・エネルギー関連産業の集積と拠点形成を目指し、その先導プロジェクトとして夢洲1区のメガソーラープロジェクトが来年夏の運用開始を目指して動き始めております。
 このため、コスモスクエア海浜緑地の計画地につきましても、環境局と相談をしながら、咲洲スマートコミュニティ実証事業との連携も視野に入れた太陽光発電事業で当該用地を活用できないか検討を行っているところ
でございます。

https://ssp.kaigiroku.net/tenant/cityosaka/SpMinuteView.html?power_user=false&tenant_id=357&council_id=1355&schedule_id=4&view_years=2012


ここから、港湾局は財政難もあり、当該土地の緑地化が思うように進んでいなかったことが読み取れます。

したがって、この後すぐの副市長会議において港湾局は「これからも咲洲の緑地整備を進めていきたいが、いつになるかわからないのでそれまで有効活用したいここに太陽光パネルを置けば、大阪市全体の環境方針にも合致し、環境局の事業にもアシストできるじゃないか」と提案してきた、という経過です。
だからこそ2局での説明となっていてかつ、そのうちの咲洲での環境施策は大阪市全体の大計画に位置付けられるものです。

以上を踏まえると、この案件が副市長会議に諮られていることは何ら不思議では無いと私は思います。

さて、副市長会議の様子は皆さまにもぜひ丁寧に全文を読んでいただきたいのですが、ハイライトはこのあたりです。

【都市改革監】
 2点確認したいことがあるが、1点目は賃貸料が「太陽光発電事業に限定した土地評価額以上」となっており、今の全量買取価格に基づき土地評価額が出てくると思うが、20年間という長期契約において、5年後・10年後には買取価格が変わる可能性がある中で、土地賃貸料が変更される可能性を契約条件としてどのように盛り込もうとしているかを確認したい。2点目は、20年間という契約期間を設定した根拠について確認したい。(略)、今はよくても、長期で見たときに、そのような環境変化に、どのように柔軟に対応していけるようにするつもりか。
【港湾局】
 前提は賃貸料を20年間固定とすることを考えており、20年間変えないことがインセンティブになると思っている。しかし、その時の採算性にあわせた柔軟な対応が必要ということなら、課題として検討する。基本は20年間、賃料についての流動性はいらないと考えている。
【都市改革監】
 心配しているのは、買取制度が広まると価格が下がって、賃借料が高いと事業者から言われるのではないかということである。
【港湾局】
 国の買取価格は、今年度内に電気事業者との特定契約を締結すれば、一定期間その価格で買い取る形となっていたと思うので、今年度内に特定契約を締結すると、そのままの価格でいけると思う。
【都市改革監】
 そういうことであれば、契約条項の問題なので、具体的に弁護士などと詰めて、弾力条項や事情変更の原則をどう入れるのかを検討してもらいたい。
【田中副市長】
 20年間という期間設定をしているのは、設備の更新サイクルが理由だと思う。ただし、賃借料をどうするかは別の問題である。
【都市改革監】
 多分、設備投資の関係が理由だと思うが、買取料と太陽光の効率性の関係で20年以内に更新することになる恐れもある。技術力も年々進歩するので、うまく対応できるようにしてもらいたい。

【田中副市長】
 今回の議論内容で公募要件を詰めたうえで、改めて意思決定をするのか。

【港湾局】
 本日の議論内容を踏まえて、港湾局長を決裁権者とした局内の決裁として、公募要件や契約条項の内容について意思決定を行いたい。

(略)

【財政局長】
 20年間は長い。都市改革監の発言とも関連するが、太陽光発電の活用を20年後も同じようにやっているのか疑問がある。事情変更要素を踏まえた契約の変更を誰の責任で行うのかについては、検討しておかなければならない。
【港湾局】
 わかった。
【政策企画室長】
 コスモスクエア海浜緑地計画地における民間太陽光発電事業の活用については、説明のあった方向で決定する。ただし、契約の条件については、引き続き検討を行うこととする。

要約すると、港湾局はおそらく設備の耐用等を考えて「20年の契約」と企画案を会議に上げたわけですが、都市改革監は「20年の長期間土地を固定の賃料で貸し出せば、環境変化に対応できるのか?弁護士と相談して契約書の中に弾力的に運用できるような条項を入れなさい」、とツッコミを入れています。
その上で、副市長から「改めて会議の場ではかるのか」をきかれ、港湾局は「港湾局長を決裁権者とした局内の決裁として、公募要件や契約条項の内容について意思決定を行いたい。」といっています。
そして、その言葉通り後に決裁文は港湾局長決裁となっています

「文書管理システム」による決裁。電子決裁なのがわかる。

さて、かくして私が言いたいことは次のとおりです。<以下私の意見>

  • 咲洲の土地は空き地であり、港湾局は緑地計画が思うように進んでいなかったため、土地を利用できないか思案していた。

  • 咲洲は国際戦略総合特区のエリアに指定(平松市政)され、夢洲・咲洲エリアは市長方針で環境政策の目玉地であった。

  • 港湾局は環境局の既存計画のアシストになる「太陽光パネル」を設置する条件での賃借を企画(本事業は両局の利害が一致)。(なおこの間「メガソーラー」という言葉は一切出ていないことに注意。メガソーラーという言葉は12月の報道発表で取ってつけたようにいきなり出てきます。

  • 副市長会議の中の企画案について、ずっと固定価格で行きたいという港湾局に対し、環境変化に対し契約賃料が変更できるようにしろとツッコミが入る。仮に特定事業者に取らせるために周到に計画された市長の直轄案件であったのならば、なぜ下の人間が色々事業に注文をつけているのだろうか?

  • 副市長やその他メンバーは特定事業者に有利になるようなことは全く示唆しておらずかなり真面目に議論が交わされている。

  • 当然市長の意向等の忖度を示唆する発言や議論誘導も無い。

  • 局長の申し出で最終的にこれは局長決裁となっているが、仮にヤバい案件ならばなぜ港湾局は副市長へ押し付けずに自ら局長決裁でやりたいと申し出ているのか?

  • もちろんヤバい案件でもなんでも無く、単純に契約のレベルが局長決裁事項で、これは横並びで見たとき他の事業と変わらない。

  • 単に、咲洲での環境事業が市の大方針とも関わる重要案件であり、複数局にまたがる事項があったため、副市長会議に諮られた。

以上が「副市長案件」と呼ばれていることの次第である。

橋下氏がやりたかったメガソーラーだったから「副市長案件」に「格上げ」となったという話ではなく、本件が副市長案件となっているのはのはあくまで「環境局が策定する大阪市の大きなエネルギー方針に絡む咲洲の案件だったから」です。

<追記:市会での議論について>


山口氏は9月での市会の議論についてお話されていましたので、この件も触れておきたいと思います。

月刊Hanada+での「定例会常任委員会(民生保健)2012年9月19日」の引用

蓄電池、それから太陽光発電等について、今非常に喫緊の課題となっている電力の問題について、ベイエリアを中心にしっかり国際戦略総合特区の中でアジアの拠点になるように引っ張っていこうと思っています。ですから、あの地域にメガソーラーを引っ張ってこれることになりました。(中略)
本来あれはもうどこでも貸せば、みんな借りたい借りたいという業者が山ほど出てくるんですよ。ただ、以前もうある業者に決めてしまってたので、それをひっくり返すことはできないということを、僕は報告聞きましたから、それだったら、今やもうその業者にしなくても、どこでもみんなが賃料を払ってでもやりたいとかいろいろなことを言ってくる中で、もう既に過去に決まってたからといってその業者にするんだったら、地元還元か何かするような仕組みを考えてよと。
要はあれ、もうかるんですよ。メガソーラーをやればもうかる仕組みになってます。その利益をやっぱりそれは地元還元するような仕組みを考えてということを担当部局に今指示を出しています。
僕は一般財源から特定の配慮ということではなくて、此花と言うところは環境都市、夢洲・咲洲・舞洲は環境都市、そういう軸でくくっていこうという中で、メガソーラー、一方、これはプラスのある意味環境戦略ですね。
(2012年9月19日、橋下市長発言)

https://hanada-plus.jp/articles/1055?page=6

山口氏のご意見

新しい市長が咲洲や夢洲など大阪湾でのメガソーラー事業について熱く詳細に語っていたのである。
この橋下市長の発言を精査すれば、咲洲の隣の「夢洲メガソーラー」については、大阪市の幹部が橋下市長に詳細に説明していたことがわかる。
これに対して橋下氏も
「いったん決まった業者を変えられないのか」とか「地元還元するように考えろ」など、非常に細かい要求をしていた。
それなのに南隣の咲洲メガソーラーについては、田中清剛副市長だけがすべてを決め、橋下氏には一切相談もせず、橋下氏からも何の指示も出なかったというのか。
そもそも、書類上の決裁が副市長だからといって、重要な案件なら市長に「報告」「連絡」「相談」するに決まっている。「決裁が副市長だった」ということを盾に、「橋下徹氏は咲洲メガソーラーについて何も知らず、何も指示を出していない」という証明にはならないのだ。
松井市長・吉村知事の「全ての決裁は田中清剛副市長」という弁明は、「橋下徹氏は何も知らなかった」ということの証明にはまったくなっていない。

https://hanada-plus.jp/articles/1055?page=7

夢洲と咲洲のソーラーの案件の性質の違いは、以前にもお伝えしましたが、改めてお伝えします。

夢洲メガソーラーはメイン局である環境局が「国際戦略特区・おおさか環境ビジョン(市長レベル計画)⇒再生可能エネルギー⇒夢洲メガソーラー」と超王道ルートで進められて来たものであり、当然注目の的となります。

実際山口氏が引用されている市会のさらに前の7月の市会においてこの件直球で質疑が出ています。

2012年7月11日 臨時会

◆30番(辻義隆君) 
(略)
次に、新エネルギー政策についてお聞きします。
 まず初めに、市長は、太陽光発電補助を打ち切る考えを示されましたが、地産地消の地域分散型のエネルギー供給システムの構築を目指していくためにも、大阪市内では太陽光発電が有望なエネルギー源であり、普及拡大を図るべきであると考えます。
 去る7月6日に我が会派は、再生可能エネルギー導入促進に向けた環境整備を求める意見書を政府に提出することを提案し、全会一致で可決されたところです。
 そこでまず、夢洲1区で進むメガソーラー事業の今後の予定についてお聞きします。
 (略)

◎市長(橋下徹君) まず、太陽光発電のことなんですが、家庭の屋根に設置するパネルについての補助金というものは、一たんちょっと見直しをしました。といいますのも、太陽光発電については、固定価格の全量買取制度が始まりまして、メガソーラーの動きが一気に動いておりますので、ちょっとそちらのほうに太陽光発電、家庭用パネルの普及ももちろん重要なんですけども、メガソーラーの普及ということも見ていかなければいけないのかというふうに思っていますし、家庭用のパネルについても、今、ある程度の普及というものも進んできておりますので、こちらについては、税を投入せずに普及・拡大が図れる仕組みについて、これを考えていきたいと思っています。
 大阪府では、その融資について、その利率を下げるというような、預託金、制度融資みたいな形の制度もつくっておりますので、そういうこともあわせて考えていきたいと思っております。
 夢洲1区でのメガソーラーは、約3,000世帯分の使用電力に対する10メガワットの太陽光発電設備について、今秋に着工する予定で、来年の夏に発電を始めることを目指しておりますが、これはまた議会の皆さんと議論したいところではあるんですが、夢洲の住友商事株式会社と三井住友ファイナンス&リース、ここが落としてますから、これはこれでいいんですけども、その当時は赤字になることが前提で、この固定価格の全量買取制度が始まる前に、この住友商事と三井住友ファイリンス&リースが落とした。これは赤字事業だったことが前提だったので無償で貸与したんですけども、これ制度が変わって、今やみんな、どの事業者もやりたくてしようがないんですね。
 住友商事と三井住友ファイナンス&リースは、赤字事業で、いろんな制度がはっきりしなかったので、一回事業をとめてたと思うんですよ、事業にめどが立たなかったから進まなかった。だから、大阪市のほうは、それで契約の延長みたいな形をやっているんですが、実は今となっては、土地、貸してくれ、貸してくれというような状況になってるわけなんです。ですから、僕は前提条件が変わったのに、同じ無償貸与でいいのかということを局に確認したんですが、契約を延長しているとかいろんな理由で、しかも報道発表もしちゃって、住友商事と三井住友ファイナンスリースがいろんな事業を20社程度集めるということですから、民間の契約を阻害するわけにはいかないので、これはもうしようがないなと思っているんですが、そうであれば、確実に利益になるんです。確実にもうかるわけですから、それはやっぱり市民還元というものはしっかりやってもらうような、そういう仕組みにしてほしいということを局に伝えましたので、この点についても議会でのチェックといいますか、また局に対するチェックもしっかりお願いしたいと思います。

 当初は、三井住友ファイナンス&リース、住友商事がやったときには、赤字前提でやってた事業だったから無償貸与だったんですが、今回はだれがやっても利益が出るような状況になりましたから、今もしこれ公募にすれば、お金払ってでも借りますよというところが必ず出てくるというふうに思ってるんですが、ただ、そういう状況があるので、市民還元についてはしっかりお願いしたいということを局にお願いしております。

通常であれば個別の事業について、事業者が誰だとかいう細かいレベルの報告は市長には上がりません。しかし、市会の質疑となれば別です。
答弁調整会議」というものが開かれ、市長へは事細かにレクがされます。そこで橋下市長は夢洲メガソーラーに関して、事業者と現在の問題点など詳しく説明を受け、理解されたものだとわかります。
この後の9月市会は山口氏が引用されているとおりですが、答えている内容は上記とほとんど同じであり、夢洲メガソーラーの件を念頭に置いて話をされていることがわかります。

さて、咲洲ですが、これは説明してきたとおり、港湾局が緑地計画していたものを有効利用したい、ということで後から環境局にアシストする形で合流した事業です。先ほども述べましたが、そもそもこれ、最初から「メガソーラー」という言葉は無く、事業者が決定した後に報道発表でとってつけたように「咲洲メガソーラー」と呼ばれています。
メイン局では無い、港湾局が後から始めた55万/月の事業です。鳴り物入りで始まった夢洲メガソーラーとは全くことなるものです。
当然市会質疑にも発展せず、市長へわざわざレクが入れられるようなこともなかったわけです。

以上により、「橋下市長が夢洲メガソーラーについて詳細に知っている一方、咲洲メガソーラーについては知らなかった」という事実が、資料のみをもってして矛盾なく説明可能なのです。


②入札と公告について

さて、上記が終わり、次はいよいよ入札ですが、上記のAbemaTVで、橋下氏と北村氏の議論です。

北村氏が「当該入札が市のHPに掲載されていなかった」と主張(6:20~)し、橋下氏も事実関係があいまいなまま、その後HPが載っていない前提で議論が進んでしまいます。
しかし、これは2人とも明確に誤りで、当時のHPにしっかり記載されています。

なお、他の入札案件も同様に同じ階層のページに公告はされています。
北村氏はこの案件だけが民間の入札ページに引っかからなかったといった主旨のことをおっしゃっており、後にTwitterでも同様のことを述べられており、私もやり取りさせていただきました。


しかし、まず大前提として、行政には民間の入札ページに確実に載せなければならないという決まりはありません。

大切なのは、市のHP内において他の案件と横並びで見たときに同条件で掲載されているかどうか、です。

その観点で見たときに本案件は他案件と同じ場所で同じ形で掲載されていると私は思います。ぜひ皆様でもご検証ください。


なお、民間の入札ページにおいても掲載されているという情報もTwitterでいただきました。


また、さらに言えば本案件は①で述べた副市長会議の直後に毎日新聞に報道されています。

<再掲>

おもいっきり「競争入札を実施し、20年間貸し付ける」と書いていますね。
したがって、特定事業者のみが得られるような情報であるということは全くなく、むしろ通常の入札案件より拡散されているとも言えるような状況でした。

他方で、本案件は公告期間が短いのでは無いかという指摘もあります。私としては問題無いとの立場ですが、この件はまた今度お話します。


6/9追記

副市長会議の直後に、公明党市議の辻先生(①で紹介した7月市会での質疑者)がつぶやかれているという情報もありました。
  (秘密裏に進められたはずなのになぜ・・・)



そして最後に入札結果です。


そうです、2社が申込をしています。入札こそ1社でしたが、2社が申し込んでいるという時点で、特定事業者のみに便宜を図ったというストーリーに無理がありそうなことはわかるかと思います。

なお、仮に入札で特定事業者のみに便宜をはかれば、これは談合とかいう話になり、実際に入札を行う担当職員は最悪逮捕です。また組織的にやっていたのであれば根こそぎ逮捕&地方公務員法違反で懲戒処分ということになるでしょう。
本件、「違法性が問題では無い!そんなことは問題にしていない!」とかおっしゃる方もいますが、これが事実なら明確に違法でありアウトです。入札の不正とはそんな軽々しい話ではないのです。
仮に橋下氏が指示していたのであれば・・・もうこれはどうしようもない大事件です。無論、現状その証拠は何もありません。

ちなみにもし私が市長からそんな指示を受けた末端の職員なら絶対に即通報します。市長のわけのわからない指示で人生終わるとかまっぴらですから。

【補足】
以前の記事にも、公務員は自身の身を守るためにも、市長からの指示は公文書に記録しておく、といった主旨のことを言ったかと思います。一応ここについて論を補強しておきます。


大阪市には公文書の作成指針があります。

こちらは2006年に策定され、順次改定されているものです。ここから一部抜粋です。

(2)  作成、保存管理にあたり特に徹底すべき視点
 市民に対する説明責任を果たすためには、特に次のア~ウについて徹底しなければならない。

 ア 意思形成過程文書を確実に作成すること 
 決裁による意思決定を行うまでの過程においては、意思決定の方向性が決められるなど意思形成に大きく影響を与える会議、市長・副市長に対する重要な報告等が行われている場合がある。公文書管理条例においても意思決定の過程に関する事項に係る公文書の作成について規定されているところであり、これらの意思形成過程においても確実に文書を作成し、決裁手続を経て意思決定がされた文書(決裁文書)と同様に、公文書として適正に保存管理しなければならない。

(略)
 
ウ 意思決定と同時に公文書を作成することが困難な場合は事後に作成すること

 意思決定と同時に公文書を作成することが困難である場合は、当該意思決定をした後速やかに公文書を作成しなければならない。
 例えば、施策決定が当該決定権限を有する者のトップダウンによる方式で行われた場合においても、事務事業の実績を合理的に跡付け、検証をし、市民への説明責任を果たすために、決裁文書等の公文書の作成が必要なことは当然である。

つまり「市長から指示があった場合、その意思決定過程を明確に公文書に記しておきなさい」と書いてあるわけです。
これは個人の自己防衛のためだけではなく、市民への説明責任として行政内に求められていることであり、市長が部局を通じてそうしなさいと言っているわけです。
この間、本件は市に多数の問い合わせがあり、市会でも追求されてきました。しかしながらそこに「橋下市長」の文字は一度も出てきません。
もし、本件を橋下市長が主導したにも関わらず、その件を市が故意に隠してきたのであれば、これは市民への背信、議会への虚偽答弁といった話になります。


さて、皆様にここで問いたいです。
あなたがもし、大阪市職員であったとして
ある日いきなり市長から呼び出され、直々に
「〇〇にメガソーラーを作れ!」
とか言われました。

あなたならどうしますか?


③入札当日について(+1円入札の怪)

さて、最後は入札当日についてです。
「なぜ+1円入札なんだ、怪しい」という声をたまに聞きますので、知っている方も多いと思いますが一応解説しておきます。

まず、前述のとおり、入札は公告され、予定価格は事前に550,000円だと出ています。

なお、この予定価格は市会質疑でもありましたが、不動産鑑定士により鑑定され、積算された額です。要は「この額より高い値段でみんな札を入れてね、一番高い人が落札だよ」というものです。
さてここで入札の要項を見てみましょう。

これによれば入札するためは、まず、11月26日~12月3日の間に、ATCビル10階の港湾局計画整備部緑地管理担当まで、いくつか必要書類をもって申込を行う必要があります。これに2社申し込みがあったということです。


次に、入札当日です。

平成24年12月5日(水)にATCビル10階の同じ場所において、上記で申込した業者が13時~13時30分までに受付を行い、「入札書」というものを受けとり、入札室という部屋へ通されます。
そこで13時45分までに受け取った「入札書」に金額を書き込み、入札箱へ放り込み13時45分になるとその場で箱が開けられ、勝者が決定します。

業者は当日まで他にどれだけライバルがやってくるかわかりません。
しかし13時30分になると受付が締め切られ、業者は入札室にいるライバルの数がわかります。
さて、業者の立場になりましょう。13時30分になり受付が締め切られました。周りを見渡しても自分しかいません。予定価格は550,000円です。

「550,000円を上回る価格?・・・せや!」

なんということは無く、これが1円入札のメカニズムです。

実際は予定価格を下回る金額でなければOKなので550,000円ちょうどでも大丈夫です。でもなんか+1円にするという、謎の文化があると聞いたことがあります。

当たり前と言えば当たり前なのですが、事前に予定価格がわかっている部屋で行うアナログな入札というのがミソですね。
なお、最近は電子入札という形態も多いのでこういったことも起こりにくくなっているのかも知れませんね。


6/15追記 小切手に関する記事へのご批判

私のTwitterを荒らされていた方がいたのでブロックしようと思っていた矢先、面白いご質問をいただきました。ブロック前の最後のお土産にお答えしようかと思います。


どうやらこちらの動画で私の記事が間違っているというご批判をいただいていたようです。

ご批判は 2:25~10:00 くらいです。

ぜひ見ていただいたらと思いますがご批判内容を要約すると

受付で受付時間内(13:30まで)に入札保証金を小切手で納付しなければならないと書いてある。しかしジョリーは入札室でライバルがいないのを確認して+1円にしたと説明しているが、一度入札室に入ったら出られないじゃないか!仮に受付で見ていたとしても、550,001円×6カ月の小切手を急いで用意なんてできるわけない!
もしくは、複数の小切手を事前に用意する必要があるが、そんなこと実際できるのか?

といったところでしょうか。

ありがとうございます。記事へのご批判は大歓迎です。
この点、しっかりお答えいたしましょう。


まず、今回入札要領の中にはこう書いてあります。
(リンクはHPですが記載内容は要領と同じです。)

「入札参加者は、入札書に記入する賃貸借料(月額)の6か月分以上の入札保証金を入札当日受付時間内に受付場所(港湾局計画整備部緑地管理担当)で納付してください。なお、入札保証金の納付は、本誌の発行する入札保証金納付書により、銀行振出小切手で行ってください。


<入札保証金とは?>

まず入札保証金とは何でしょうか?
これは、悪く言えば、「入札前に取っておく身代金」のようなものです。

行政「入札前にお金を徴収します。これから入札するけど1位の落札業者は、必ずうちと契約してね。ちゃんと契約してくれたらお金は返すけど、落札したのに契約してくれなかったら返さないよ。2位以下は開札後すぐに返すよ。」

というものです。
行政としては、とにかく落札したのにトンズラされるのは困るのです。なので、身代金を予め徴収しておきます。

入札保証金についての詳細は大阪市契約規則第19-21条をご覧ください。http://www2.keiyaku.city.osaka.lg.jp/help/kiyaku/03keiyakukisoku.pdf



さて本題です。結論から言えば、上記のご批判に対しては要領内「入札書に記入する賃貸借料(月額)6か月分以上」というのがミソになります。

また、業者視点で考えましょう。
業者はあらかじめ社内でどれくらいの予算なら出せるかを当然考えているはずです。
例えば本件会社で出せる上限金額が700,000円/月だとかいった具合です。すると当日の入札について、業者は予め次のようなシミュレーションをするでしょう。


【シミュレーション(例)】
当日1社の場合:「俺たちだけだから入札書に550,001円と書こう」

当日2社の場合:「入札書には600,000円くらいかな~」

当日3社の場合:「入札書には650,000円くらいかな」

当日それ以上の場合「ええい、マックス700,000円betじゃ!」

といった具合です。


前述のように業者は当日までライバル企業が何社いるか分かりません。
であれば入札保証金はいくら払いますか? 
当然上限金額である、70万円×6か月=420万円でしょう。
ということで業者は420万円の小切手をあらかじめ用意しておき、受付で支払うわけです。

これ、結果的に550,001円が当日の落札価格だとしても、

420万円 >= 550,001円×6か月=330万6円

なので、入札保証金として何の問題もないわけです。
また、何パターンも小切手を用意する必要もありません。最大の金額×6カ月の小切手1枚を用意しておけば足ります。

そしてこの入札保証金は落札後きちんと契約さえすれば必ず返ってきます。落札できなくても返ってきます。

だから業者からすると落札してバックれでもしない限り必ず返ってくるお金なので別にいくらでもいいのです。適当に1,000万円とかでもOKなわけです。

また、この件、よくよく考えていただければわかりますが、もし仮に受付で「きっちり入札予定金額×6カ月」を支払わなければいけないのであれば、行政は開札時間(13:45)を待つまでもなく、どの業者がいくらで入札するか予めわかってしまいますね。こんなもの不正入札です。
入札は箱を空けるまで、誰がいくら入れたのか、絶対にわかってはいけません。だから要領では「6カ月ちょうど」では無く、「6カ月以上」となっているわけです。

この説明でわかっていただけましたでしょうか?

ただし本件、私の説明がこのあたりの説明を端折ったのでわかりにくくなってしまったものかと思います。ご指摘いただいた方につきましては、ありがとうございました。

最近はTwitterで私個人へのレッテル貼りばかりでしたので、こういった記事へのご批判はありがたい限りです。
(ただし私は橋下擁護ライターとやらではないので、YouTuberの方にはこの点修正いただきたいですが・・・お褒めの言葉は素直に感謝します。)

引き続きよろしくお願いいたします。


終わりに

今日は入札に関する記事でした。私の意見も多分に書いていますが、むしろ皆さんで共有したいのは事実関係の流れです。
前提事実が共有できていなければ議論はチグハグになります。ですのでまずはこれらの知識をベースにして、議論を進めていければいいと思います。

まだまだ検証すべき事項はあります。
現在、他にも大量に当時の文書を漁ってみていますが、調べれば調べるほど、大阪市政は複雑怪奇で難しく、橋下氏と上海電力を結び付けられるほど単純では無いと思い知らされます。
その野望を成し遂げるには無数の行政上のプロセスをクリアし、大量の人を懐柔する必要があり、はっきり言ってそんなことできるなら超人でしょう。

私が発信していることは皆さんに開かれたアクセス可能な情報です。
みなさんが自分自身で確認し、検証を進めていくことが望ましいでしょう。


長々となりましたが、今日はここまで。
ありがとうございました。


6/9 追記


今回、あらためて読み直していて、また別の動画等を見ていて、少し気づいたことがあります。最近橋下氏を批判していた方々が、「最初から違法性などは問題にしていない、ストローマン論法だ」、という趣旨の発言を良く聞きます。
しかし、入札のところでも書きましたが、「橋下スキーム」とやらが行政的に行われたのであれば、どこかで何かしらが違法になる蓋然性が極めて高いと私は思います。
今回は入札の話でしたが、このあたり、疑惑を主張されている方は丁寧に論点設定をしないと、仮に直接違法性を主張していないと本人にその気が無くても間接的に「橋下氏や行政が違法なことをしている」という主張になってしまうことをよくよく理解された方が良いかとは思います。

この点橋下氏の怒りは一定理解できます。

注:雑誌や特定人物への論評は氏のものであり、本引用はその点について私が理解を示す趣旨ではありません。


なお日本は法治国家です。仮に違法性が問題でなければ、「誰がどのように何に基づいて(何を根拠に)どう責任を取るのか」を論点設定しなければ、永久にこの議論は終わりません。
今後、私はこの点に焦点を当てこの上海電力騒動の収束に向けた記事を書いていきたいと考えています。



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