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なぜ、マッキンダーは「ハートランドを制するものは世界を制する」と説いたのか

ハートランド理論という言葉、聞いたことがあるだろうか。この理論は、20世紀初頭の地政学の中で非常に重要な位置を占めている。私がこの言葉を初めて聞いたとき、古びた地図や歴史の教科書のページが頭に浮かんだ。地図の歴史は意外と古い。古代バビロニア時代には、粘土板に地図が描かれていたという話もある。そう考えると、人々は昔から広い世界を知りたがっていたのかもしれない。

さて、ハートランドという言葉。直訳すると「心の土地」となるが、この「心」とは、ユーラシア大陸の中央部を指す。具体的には、マッキンダーは、ユーラシア大陸の中央部、特にロシアとその周辺の領域を「ハートランド」と呼んだ。この地域は、地理的に他の国々からアクセスが難しく、自然的な要塞のような役割を果たしていると考えられた。

20世紀初頭、鉄道は最も重要な輸送手段であった。この時代、鉄道の重要性は極めて高く、ハートランドは鉄道のネットワークによって他の地域と繋がれることが予想された。この鉄道ネットワークを制することで、ハートランドはユーラシア全体に影響を与えることができるとマッキンダーは考えた。

さらに、ハートランドは、豊富な農地と天然資源を持っている。これにより、経済的にも非常に重要な地域であると見なされた。食料や資源は、国家の発展や維持に不可欠であり、これらを持つことは大きな利点となる。

また、ハートランドは、防御的優位を持っている。海からの侵攻が難しく、陸路からの攻撃も自然の障壁によって難しいと考えられた。この地域を制する国は、外部からの攻撃に対して有利な立場に立てるとマッキンダーは考えた。

最後に、ユーラシア大陸は、世界の人口や経済活動の中心であり、ハートランドはその中心部に位置している。この地域を制することは、世界の中心を制することと同義であるとマッキンダーは見なした。

まとめると、ハートランド理論は、地理的位置や資源、交通ネットワーク、防御的優位性など、多くの要素が絡み合って、世界の政治や経済の動きを形成していることを示している。マッキンダーのこの考えは、今日の地政学や国際関係の研究においても、非常に重要な意味を持っている。


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