見出し画像

使いこなされていた

前に、一時付き合いのあった女性…所謂元カノという人物が、コスメの収集癖を持っていた。
その量は圧巻だった。
寒色からイエロー系、ピンク系統に諸々…
コラボ系からメーカーの一式、兎角目がチカチカする光景だ。

私は思った。

「な、なんだその色数と量はッ………君はJOJOの世界の住人になりたいんじゃあ〜ないだろうなッ…!?」

口にした事はない。それぞれの趣向と価値観に基づくものに下手な疑問を投げ掛ければ、否定と捉えられてしまう事もあるから。
しかし先日、長年の疑問が解決された。

場面に併せて使いこなしていた。

私のような「一回モノを決めたらそれ以外ほとんど使わない・リピらない着た切り雀のような奴」と違って、彼女は「使いこなす者」だったのである。

私にコスメの色のTPOや季節感などという難しい概念はわからない。
しかし、彼女には判るようである。
これはある種の知能の格差に違いない。

「自分の顔色と人相に併せたものを一度見つけたらそれ以外はもう要らんめんどくさい

この「めんどくさい」が彼女には存在しないようだ。
凄い事だ…


しかし、まあ確かにだが、色数が多くパッケージのデザインが凝らされているシャドーが届くと「物凄いパレットが届いた」感があってワクワクするのはわかる。
ただ、全て使うと舞台メイク或いはドラァグクイーンの完成になってしまい、TPOとの戦闘になるので…「普段使いのレベルに落とし込む」センスが私には存在しないらしい。

繊細な審美眼と分別に関して、一生彼女に私が敵う事はない。
というか、劣等生が誰に勝つわけもなかった。脳梁の細さを呪う。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?