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結婚式ゾンビ②/毎週ショートショートnote

2xxx年、人類は人口減少の一途を辿り、滅亡という言葉がまことしやかに囁かれ始めるくらいには衰退していた。
そのためどこも慢性的な人手不足となっており、その対策に苦慮していた。その対策の1つとして世界各地でゾンビ研究が進められており、その技術は確立されつつあった。

そんな中、ある式場がその技術に目をつけ、話題になった。
それが結婚式ゾンビプランである。

参加者が少なく、どうしても寂しい式になってしまうのを盛り上げるために、ゾンビ技術を使い、亡くなった知り合いを蘇らせ、大昔のようにたくさんの人々から祝福されるという内容のプランだ。

人道的な観点から蘇らせるのは親族のみとなったが、生前と変わらない姿に整えられた家族の顔を見て、式に参加した人々は素晴らしい式だったと口にしたのだった。この話から火がつき、プランの予約が殺到。式場は勢いを盛り返したのである。

しかしこのプラン、すぐに廃止となった。
それはなぜか。ひとえにスタッフへの負担の増加にある。
先も行った通りの人手不足に加えて、当日までのご家族の保管、管理、保持。
当日の進行や運営にプラスして、ご家族のお世話にお化粧、移動やセッティングに至るまでを全て式場のスタッフが行ったのである。
一組終えるだけで生ける屍が出来上がるのは言うまでもない。
運ばれているゾンビよりも運んでいる生者の方がゾンビらしいという、なんとも皮肉な話の出来上がりである。

こちらの企画に参加させていただきました。
今週は二本出来ました!
やっとこさです。皆様のお話も楽しませていただきます🙇





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