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       暗 闇

 案外、夜でも部屋の中は暗くない。

 蝋燭に火を点け、灯りを消してもどこかから光がもれてくる。暗くならない。

 くらやみなんて、、本当のくらやみなんて、、私は見たことがあるんだろうか。

 朝の光を美しく感じるためには、本当のくらやみが要る。
 カーテンの外の街頭から、どうしても光が届いてしまう。

 くらやみで過ごしたことがない。
 光のないところに行ったことがない。

 くらいって、 まっくらって、 どういうものなんだろう。

 夜空って?

 本当のくらやみの中で一番美しく、夜空の星を見られるんじゃないだろうか。

 まだ飴屋法水の「たんぱく質」をちゃんと読んでないけど、主人の話では、本当のくらやみの中で星を見るところが書かれているんだという。

 くらやみが要る。 光のないところ。

 このケージから出て、 灯りのないところで、 その時はじめて本当の光を感じられるのだろう。

 くらいところへ行かなくちゃ。 音もしないところへ行かなくちゃ。

 冷蔵庫の音も、何の音もしないところへ、くらいところへ、そしたら朝日が昇るときの、鳥の声を、風の音を、みどりがゆれる音とその姿を、

    真実を   本当のことを  知れるのだろう

  今電車が通った。

 外の街頭は  夜道をゆく車や人のためについているんだろうけど この道、夜はほとんど車も人も通らない。

      何のための灯りなのか、私にはよくわからない。

        本当の眠りは  くらやみの中にある
 

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