予備校教材についての個人的な感想(修了考査、講義・答練を除く)

こんにちは、ユーです。

今回は修了考査における予備校教材について個人的な感想を述べたいと思います。

非常に長い体験記を書き終えて、次は得点戦略や科目別の考察等に触れようと思っていましたが、
令和3年度の成績通知書がまだ来ていないのと、そろそろ予備校を検討し始める時期かと思ったので、予定を変更してこちらのテーマに先触れたいと思います(⇒ 結局アップが遅くなりました。ごめんなさい。)。

はじめに

まず始めに注意点を述べます。

① あくまで自分の好みに基づいた主観(感想)であり、各予備校を評価したり貶める意図は一切ないこと
② 最新の教材ではないこと・CPAは未所持であること
③ 講義・答練は含まないこと

①ですが、今回の記事はこの後述べる私にとっての理想の教材像に照らし合わせての感想であり、各予備校を評価したり、貶める意図はありません。

というか、それをやってしまうと営業妨害になりかねないので、かなり気を使っている部分になります。

とは言え、どの予備校にしようか迷っている人もいるので、営業妨害とならない程度に情報提供をしたいという一心です。

そもそも、

どの予備校を選んでも、その教材・カリキュラムをしっかりこなせば、総合点で合格レベルに達することはできる

と思っていますので、自分に合うと思ったものを選択すれば良いのではないかと思います。

②については、私が所持している教材は、大原は2019年度、TACは2020年度のものが一番新しいものになります。

よって、当然と言えば当然ですが、最新版とは異なる部分もあると思いますので、その点はご了承ください。

また、CPAについては、教材を保有しておりません。

従って、CPAについては情報が薄めとなりますが、公開されているサンプルや、Twitterの情報をもとに、分かる範囲で書いてみようと思っています。

③については、私は体験記にも記載したとおり、勉強時間が思うように取れなかったこともあって、テキスト及び問題集の読み込みにフォーカスし、講義と答練を切りました(このあたりについては、次回の記事あたりで再度触れます。)。

よって、講義や答練については、基本的に今回の記事の対象外となりますので、何卒ご了承願います。

理想の教材像

まず、自分にとって理想だと考える教材(テキスト・問題集)を掲げた上で、そこと照らし合わせて感想を述べていきたいと思います。
(よって完全に主観となります。)

【理想の教材像】
① 出題範囲が網羅されていること
② 出題可能性の高いポイントについては、強調表示されていること
③ 体系が捉えやすいこと

①については、修了考査で出題範囲として掲載されている論点は、網羅的に取り扱ってほしいということです。

この論点は答練で触れるからテキストには載せないというのもあまり好まず、なるべく情報をテキストに集約してほしいと思っています。

なお、単元や論点ごと省くといったことは避けてほしいという意味で、各単元の些末な論点も全て詰め込んでほしいという意味ではありません。

②については、私は元来テキストにマーカーを引きまくって、そこだけを読めば重要なポイントを押さえられるように加工する人間なのですが、それはそれで面倒ですし、講義は受けないので、最初から重要な点について強調表示してくれていたらとてもありがたいなと感じます。

③については、章立てにせよ、論点にせよ、体系的に整理がされていて、インプットしやすくなっているかという点になります。

問題集も論点ごとにタイトルを付与して区分けし、体系的に構成してほしいなと思っています。

私の基本的な勉強スタンスとしては、テキストの重要な部分を理解して、理解したところをできる範囲で覚えて、あとはそれを応用して問題を解いていく(問題の丸暗記はしない)というところになります。
テキストをまるっと頭に放り込めたら理想的だと思っています(なかなか難しいですが)。

それではまず、科目別に振り返っていきます。

会計

・CPA
会計については、受講したことはないですが、サンプル等を見る限りCPAにかなりの魅力を感じます。

私は会計士試験に合格したのが8年以上前だったので、当時とは会計処理や開示もだいぶ変わっていますし、実務においてもしばらく離れていて知識が抜けていますので、基礎から復習したいと思っていました。

この点、CPAは会計士試験用のテキスト+αという構成のようですので、基礎から復習できるかと思います。

他の科目にも共通していますが、重要度のランク付けをしてくれているのは助かりますね(修了考査用に重要度を変更しているとのことです。)。

また、サンプルで掲載されているIFRSのテキストはかなり良いように見えました。市販の本と比べても良い部類に入りそうな気がしますし、正直これだけは今からでも欲しいです。笑

・TAC
TACは、修了考査のためのテキストを一から作成したような内容だと個人的には感じており、重要論点をコンパクトにまとめたテキストと、別途計算問題集がありました。

理論については、出題の多い適用指針や実務対応報告の内容も、いくらか触れていたように思います。

出題傾向の高い連結・企業結合は問題集において結構厚めに取り扱っていますし、体系的に整理されていた印象です。

よって、構成としては満足できるものでしたが、強調表示があまりなかったのと、疑問系で終わっている部分(※)があるので、この点は個人的に改善を希望する部分でした。
※ 解答については講義で取り扱っていると思われる。そして、この部分からも出題された(コンサル業務の収益認識時点)。

そもそも、テキストだけの学習では不十分であり、原典にあたることが重要である旨の記載もありましたので、至極正論ではありました(ただ、個人的にはテキスト・問題集だけでなるべく完結させたい。)。

あと、IFRSについてもテキストがあり、日本基準とIFRSの比較表形式となっていました。

かなりの論点を取り扱っていただいていますが、講義を聞かないとなると、重要論点のあぶり出しと処理が異なる部分の理解は自ら行っていく必要がありました。
(基準によっては、IFRSの日本語訳が難しくて分かりづらいものもありましたね。。。IFRS独特の言い回しなんでしょうか。)

・大原
大原は会計士試験合格時にお世話になっていたので、とっつきやすさはありました。

記載している内容もわかりやすいですし、問題集(総まとめテキスト含む)もしっかりあります。

会計士試験用のテキストを修了考査用にアレンジして作成してそうな印象があり、計算を重視している感じがしました(あくまで印象です。また、おなじみステップ答練もあります。)。

ただし、あまりに基礎的な仕訳や会計処理については、問題集のみで取り扱い、テキストでは省略されているケースもありました。

また、現時点では分かりませんが、他校にあるような、IFRS用の厚めのテキストはなかったと思います。
(補講的な感じの薄めのテキストはいつぞやに見たような見てないような…?基本的には答練で補っているのかもしれません。)

監査

・CPA
監査も会計と同じく、会計士試験用のテキスト+αという構成のようですので、基礎から復習するのには良さそうです。

サンプルを見ても、重要度区分や強調表示があり、私好みで良さそうに見えますが、他との比較でどうかというところまでは読み取れなかったので、ここまでとします。
(以降、他科目についても同様の感想につき、省略します。)。

・TAC
監査基準改正の変遷、委員会報告書(要約)、個々の監査手続(ポイント)、科目別論点、その他、不正リスク対応基準のような感じで整理されていて、監査のテキストとしては初めて見る構成でした(実施論、報告論みたいな構成ではない)。

財務同様、修了考査用に重要な論点を網羅しつつもコンパクトにまとめたテキストという感じがしました。

色々な意見が聞かれますが、個人的には委員会報告書の要約を集中的に勉強したいと思っていたので、使い勝手が良くそれなりに満足しています。
(大昔に見た南先生レジュメを思い出しました。)

また、冒頭に、「監査実務経験がない人でも、監基報を中心にしっかり押さえれば合格できますからね」的なことが書いていて、精神的に救われました。

・大原
実施論、報告論、委員会報告書(まとめ)から構成されており、修了考査で出題されやすそうなポイントを中心に編集された印象です。

会計士受験用テキストと似た雰囲気ですが、私が会計士受験をしていた頃よりだいぶ分かりやすくなっていた印象で、とっつきやすい感じはありました。

理論科目ですが問題集もちゃんとありましたね。

・TAC
ここまで、TAC教材については、コンパクトにまとめられている印象があると述べましたが、税についてはかなりのボリュームがあり、網羅的に対策されている印象です(出題実績が少ない地方税法、国際課税含め、しっかりと対策されています。)。

また、各節ごとに、これでもかと過去問の抜粋が掲載されており、テキストを回すことで、問題にも数多く当たることができます。

一方で、出題実績表もありますし、まとめテキスト的なセクション(大原で言うポケットコンパスに近いもの)もあるので、網羅的な学習も、出題実績に応じた絞り込みもやりやすくなっています。

ここ数年、税についてはどの分野から出題されてもおかしくない状況ですし、加えて、個人的に採点が一番厳しく、修了考査において要(鬼門)となる科目であると考えておりますので、TACさんの手厚い対策は非常に満足感のあるものとなっておりました(欲を言えば、別冊の問題集が欲しい気もしましたが)。

テキストの分厚さが他科目とは全然違うあたり、税は気合い入れろよというメッセージなのかもしれません。

・大原
「戦略科目の税務実務に自信があります!」のキャッチコピーのとおり、税を売りにしているものと思われます。

元々税理士講座での実績が豊富であり、会計士や修了考査のテキストも税理士講座のテキストがベースになっているような印象があり、分かりやすく読みやすい構成となっています。

また、TACにはない別冊の問題集、総まとめテキスト(問題集含む)があり、会計同様ステップ答練もあり、計算問題については結構なボリュームとなっています。

会計士講座に比べ、理論のセクションはそこまで多くなかったので、計算をしっかり固めることを意識した構成となっている印象です。

ただ、現在は異なるかもしれませんが、地方税法(事業税)はテキストにおいて取り扱いがなかったように思います。国際課税についても、「国際課税」として取り纏めたセクションはなかったと思います。
(これらも答練においては取り扱っていたのかもしれません。答練を解いていないこともあり、平成30年度の事業税の問題は全く分かりませんでした。)

なお、大原で一番うれしいのは、各税法の暗記ポイントをB6サイズにまとめたポケットコンパス(通称:ポケコン)の存在です。

会計士講座でも重宝しましたが、修了考査においてはさらに範囲が拡大されているので、宣伝文句どおり、実務でも役に立っています(小さいので持ち運びしやすく、試験前日・当日においても重宝する。)。

経営

・TAC
IT以外(財務分析等)については、各論点をコンパクトに分かりやすくまとめられている印象です。

例題もテキストに盛り込まれており、良かったですが、欲を言えばもう少し問題を盛り込んでほしかったです。

ITについては、過去問の出題内容を踏まえつつ、その分析や強調表示等がなされており、非常によくまとまっている印象があります。

また、IT以外・IT共に、過去問の出題実績表があります。

・大原
IT以外については、TACと同じような印象です。

ただ、TACでは取り扱っていなかった、資金繰りの分析(資金繰り表等)やデリバティブについて取り扱いがありました(会計士講座と同様のものかも)。

ITについては、基本的には原典を読めのスタンスで、主要な原典(IT委員会報告等)がそのまま掲載されており、末尾に補助資料としてパワポのまとめ資料のようなものがありました。

倫理

・TAC
監査テキストと統合されており、30数ページのテキストとなっておりますが、ここ2年はこの30数ページから結構出題されている印象で、とてもよくまとまっているなと感心しきりです。

テキストをしっかり勉強するだけでも合格点を狙える感じがしますし、近年頻繁に出題されている、各事例においてどの基本原則や阻害要因に該当するかという点を追加で押さえておけば、十分かと思います(近年の傾向どおりであれば。)。

・大原
経営におけるITと同様に、原典を読めが基本スタンスで、原典の掲載と参考資料として30ページ程度のテキスト部分がありました。

テキスト部分については、会計士講座で学習した内容とほとんど同じものだった印象です(テキスト部分については、個人的にはTACの方が好みでした。)。

まとめ

ここまで非常に長くなりました。

各予備校教材(テキスト・問題集)の全般的な印象を言うと、

CPAは、保有していないので詳細は分かりませんが、構成としては、重要度区分や強調表示がどの科目にもあり、私好みの教材となってそうな雰囲気です。

開講一年目にも関わらずこのクオリティであり、今後有名講師陣を揃えて更なる改良を目論んでいる雰囲気ですので、今後も期待できそうです。
(ちなみに、昔も教材だけ販売していた時期があったような気が・・・。)

TACは、修了考査の出題傾向をしっかりと分析し、合格に必要な論点を漏れなく無駄なくコンパクトにまとめた修了考査専用の教材を作成している印象です(ただし、税はボリューム大)。

長年実績のある予備校ですので、安心感がありますね。

大原は、会計士講座を受講していた身としては、懐かしい感じというか、大原らしいなと思います。

会計士講座同様、計算重視の印象ですし、もしかすると出題可能性の低い論点はあえて取り扱っていないのかもしれませんし、原典を読むべきと判断したものについては、原典を読ませる等、独特の感じがあります。

印象(総括)としてはこんな感じです。

ちなみに、仮に今年も修了考査を受験しないといけないとなったら、会計と監査についてはCPAの教材で勉強してみたいですね。

もし、どれか一つの予備校の教材でしか勉強ができないとすると、自分のスタイル及び好みと照らし合わせると、CPAかTACで悩むでしょうね。

ただ、冒頭でも述べましたが、どの予備校の教材でも、与えられたものをしっかりこなせば合格は可能だと思っていますし、予備校教材も毎年そこそこ変更がある印象なので、↑の感想は、今現在の教材には当てはまらない可能性があります。

また、講義と答練については全く触れていないので、総合的な評価を行うことはできません。

しつこいですが、この記事はあくまで私の感想であり、何かしら参考になればという程度のものです。

月並みですが、最新の情報は各予備校に直接確認していただき、自分に合うと思ったものを信じて、学習していただけたらと思います。

大変長くなりましたが、以上になります。

最後に(そもそも)

各予備校教材の感想を長々と述べてきたわけですが、

本音としては、第三次試験ではなく、あくまで修了考査である以上、補習所の教材で必要十分であってほしいです。

もっとも、補習所としても、受験生が予備校頼みとなっている状況は良く思っていない節があり、最近の補習所教材については、過去問を取り入れるなど、工夫している点も見受けられました。

ただし、修了考査の合格率が芳しくなかった年度において発せられた運営側のメッセージにおいて、「補習所の学習だけでは不十分である。」、「あらゆる原典を読んで時間をかけて勉強しろ。」、「実務の中で勉強しろ。」的な発言があったように思いますが、

補習所で勉強したことを復習すれば合格できる試験であってほしいですし、全ての原典に目を通す時間はとてもじゃないけど確保できないですし、実務経験は人によって異なるので(私のように監査実務経験のない方も一定程度いますので)、この辺りは運営側におかれましても、よくよくご検討いただきたい部分です。

受験生側と運営側の双方において、より納得のいく制度になっていくことを期待したいですね。