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近交係数について思うところ

昨夜、事務所で写経をしたためていると普段鳴かない子牛が小さい声でモーって言ってるのが微かに聞こえてきました。
それくらい子牛の鳴き声には異変が含まれています。出て見たら柵を破壊して母牛が2頭外に出ていました(その音には全く気付かなかった(笑))。
異変とは違うところから教えてくれる場合があります。ちなみに写経ではなく子猫と遊んでいました。

ある農家さんから赤牛の近交係数を出せるアプリを作って欲しいとご依頼を頂きました。その時点でボクが持っている赤牛のイメージはボクが子供の頃の赤牛はとても大きかった。途中で近交退化が起こり母牛が小さくなった。このままでは非常に不味い状態になる可能性が高いってものでした。
農家さんも遠い血ってのが分からないって仰有ってました。なるほど、ボクもよく分かりませんと言う事でスギコさんに作って貰いました。

出来るまでは見たことがないような近交係数が出るのかな?と思っていました。そもそも作る意味があるかなと思いましたが農家さんが困っているなら協力するがモットーのくまテックなので作ってみました。

市場に運ばれて行く子牛をたまに見るとめちゃくちゃデカイんだがあれは何でやろうか?って思ってもいましたのでそれを確認する為に。

結果から言うと作って良かったなと思います。赤牛に対してとても理解が深まりました。

赤牛と言うのはそもそも過去に100頭ほどしか種雄牛がいなくて一度爆発的に近交係数が高まった過去があります(間違えてたらごめんなさい)。その時に北海道に別系統がいてそれを交配する事で難を逃れたらしいです。

その間に各系統(赤牛にも系統があります)の純血に近い種雄牛を造成していまして今では黒毛和牛より近交係数が低いです。
しかし種雄牛数が少ないので交配を間違えると爆発的に数値が上昇してしまいます(近交退化が起こる)。

ほへー、と感心しました。

赤牛農家さんやこれから赤牛を飼いたいって農家さんがおられましたらご相談ください。

こういう風に種雄牛からのアプローチで危機を回避する事が出来ます。

黒毛和牛で考えてみましょう。

くまごろが考える名牛の条件はいつの時代もその時の母牛の近交係数を下げる事が出来た牛が名牛として世の中を席巻してきたと思っています。

昔は種雄牛は純血種が殆どでしたね。今はゲノムの登場でハーフ(交雑)の種雄牛が多くなって来ています。

福之姫は芳之国ー勝忠平ー金幸とあまり母として保留されていない系統ですからやはり全国の近交係数を下げるのに役立ちました(体型は好きではないけどね)。

赤牛を危機に陥れた犯人はハーフの種雄牛の登場でした(間違えてたらごめんね)。

現在の和牛界はハーフの種雄牛がとても増えています。そもそも純血種で母牛造成している繁殖農家がとても少ないのも一つの要因ですが。

ハーフってのは麻薬みたいなものでサシは入るのです。しかし必然的に近交係数が上がる事により近交退化が起こります。

近交退化って言うのは枝重の低下と繁殖能力の低下です。これが顕著に現れます。

しかし、枝重は肥育技術が上がった事やモネンシン等もあって極端に出現しては来ません。

被害が出るのは繁殖農家です。

ボクは昔から種雄牛の選別が得意ですがこの辺をベースに考えて取り入れています。もちろん、他にも色々ありますが最も重要なのは近交係数を下げる事が出来るのかです。

今日はうちの町の学校は全て臨時休校みたいですね。寒くなりますので皆さん風邪をひかないように暖かくして作業されてくださいね。

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