土曜の昼寝と悪夢と膝枕

 変わるー!変わるー!全部グチャグチャだぁ!あぁ!足がぁ!あぁ!手がァ!全部変わっていくよー!うわー!
 ひえっ!三角形の足場だ。角がとんがっているよ。この角を踏まないといけないの?土踏まずに突き刺さるよォ!痛い!痛い!痛い!痛い!歩かなきゃ!テクテクテクテク!テクテクテクテクテクテクテクテク!!痛いよぉ!!うわーん!!谷の底が見えないんだ。落ちたら戻ってこれないよ。嫌だ。歩き続けなきゃ。

 ビートたけし「今から君には殺し合いをさせてあげる。」

 「だれぇ?」
 ビートたけし「ほらこれ拳銃ね。わかるでしょ。あげるから。これで人撃ってきなさい。」
 「足痛い!足痛い!足痛い!」
 ビートたけし「人のお話をちゃんと最後まで聞けない子だなぁ。ブチ殺すぞ!ほら拳銃貸せよ。それ。頭撃ち抜いてやるよ。」
 「三角形の足場の角が踏まないと渡れないよ。土踏まずが痛いよ。」
 「痛いの可哀そうだなぁ。ほら。じゃぁ平行棒ね。」
 「あっ・・・ありがとうございます。足が・・・ジンジンする・・・。」

 はい、じゃあこれ熱せられた平行棒ね。「ビートたけし」
 「熱い・・・。熱い・・・。」
 鉄だからなぁ、そりゃ熱いよ。熱いでしょうとも。鉄だからなぁ。熱いでしょうとも。そりゃ熱いよ。鉄だからなぁ。 

 「足痛い・・・」

 でもさ、周り見てみなよ。
 「うわぁ真っ暗ぁ。」
 下見ろよ。
 「下なんか霧みたいななんかかかっててなんか下見えないよ。」
 ・・・歩けよ。ほら。歩けってば。

 「怖いよぉ、うわぁ。歩かなきゃ。歩かなきゃ。歩かなきゃ。」

 ずっと歩いてろ。でもほら!こうやってさ!

 「え!?あっ、押さないで!押さないで!本当に!・・・あ。」

 「ほら、谷なんかじゃなかっただろ。君の気のせいだったんだね。」
 「全部黒い床じゃん。黒いクレヨンじゃん。どうりで霧がかかる訳ダァ。」

 ビートたけし「それじゃあ出口はそこだから。足が大丈夫そうなら出てっていいよ。」
 「あ、はい。今日はなんかありがとうございました。」
 「いいって、こちらこそ。じゃ。」

 「・・・」
 「よっこいしょ。」

 ガチャ・・・。キィィ。


 「・・・」
 「・・・。あ、起きちゃった?」
 「・・・」
 「まだまだおねむかにゃぁ?」
 「・・・あ、夢か。」
 「そうです、夢でしたぁ。」
 「・・・僕寝てたの・・・どれくらい・・・」
 「わかんなーい。」
 頭を撫でてくる。僕の首は今、今、膝の上?
 「いつから・・・」
 「うーん、5分くらい?ごめんね、起こすつもり無かったけど、やっぱり起きちゃったかぁ。」
 夢を見るのは覚醒の直前。
 「・・・」
 「ふふ、どうですか寝心地は。」
 「気持ちいいけど・・・」
 「ふふふ、じゃあもうちょっと眠っちゃいますか?」
 「・・・!いや!もう起きる・・・」
 「お?おぉ。・・・うわ!!お!?おぉ!?おぉ・・・。」
 「・・・あぁ」
 「どうしたの?疲れてる?」
 「ごめん」
 「いいだよ~。ほら、ぎゅーって。」
 「うーん。」
 「離さないぞ~!」
 「・・・あぁ!また寝ちゃう!また寝ちゃう!また寝ちゃう!」
 「!?」
 「・・・あれ足ジンジンする。痛い?いやでもここ今夢!?あれ!?あれ!?」
 「お!落ち着いて!」
 苦しい!苦しい!苦しい?
 「ふー。ふー。」
 「落ち着いてー。落ち着いて―。」
 「・・・」
 「ごめんね。ひょっとして凄い悪夢見てた?もう起きてるよ。足痺れたんじゃない?」
 「うーん。」
 「ぎゅー。」
 「あぁ・・・。」

 「夕飯の買い物行きたいんだよね。」
 「じゃぁもうちょっとしたら。着替えて待ってるよ。」
 「わかった。」


 土曜の真っ赤な夕暮れ。もう暗い東の空に向かって。今日の夕飯は・・・。

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