シャリバテにならないために
山でのエネルギー関連の用語は、
「シャリバテ」、「行動食」、「非常食」、「休憩」などでしょうか?
一番聞くのがシャリバテで、きっとエネルギーの一時的な枯渇のようなイメージを持たれているのではないかと思います。以前マラソンをやっていた時期があってそこで考えていたエネルギーマネジメントを登山にあてはめて考えてみました。理論的に考えて山をいっぱい歩きたい方の一助になれば幸いです。
1.トータルバランス
マラソンの必要エネルギーは体重✕距離といわれており、60kgの私だと2531kcalが必要でそれに一般的な成人男子の一日生活エネルギー2400kcalの6時間分(私のマラソン時間)を加えると3131kcalが必要です。これをぜんぶおにぎりで補うためにはおにぎり17個必要ですがそこまで食べなくても走り切れます。
実際は、
1.筋肉などにあらかじめ蓄積されているグリコーゲンによるエネルギー
2.憎き脂肪の燃焼によるエネルギー
3.新たに食べた食物が消化されてつくられるエネルギー
の3本だてでエネルギーがつくられています。
シャリバテは1の下限値に達すれば起こります。これは内蔵などの活動に使われているのでこれ以上なくなると生命維持があぶなくなって、もう運動はやめようと身体がストライキを起こしたという状況かと。
そうならないための方法は3つ
1.もともともと蓄えられるグリコーゲン量を多くする
2.脂肪をしっかり燃焼させる
3.定期的に食べる
です。
周囲が寒かったりするとさらに体温維持で多くのエネルギーを消費したり
急激な運動は1を多く使ったりするし、人によっては運動中はあまり食べられなかったり消化しなかったりしてエネルギーになりにくかったりと環境変化や個人的な要素が関係します。なので原理や自分の特性を理解してマネジメントすることが必要と考えます。
それではそれぞれの対策の方向性を書いてみます。
1.グリコーゲンの蓄積量を増やす
普段から毎日トレーニングしていると増加するといわれてます。またカーボローディングといってマラソン開始数日前から炭水化物を多めにとって蓄える方法も提案されています。日頃あまり運動していない方はためされてみるのもいいと思います。
山を数日歩く場合は夕食がとても大事です。グリコーゲンを復活させて次の日にそなえないといけません。
2.脂肪を燃やす
脂肪の燃焼エネルギーが非常に高く、これをうまく使うことがたぶんエネルギーの中で一番の課題です。これがうまく燃やせないとグリコーゲンがどんどん減っていきます。
その燃焼特性は、
◯運動をはじめて20分後から燃焼開始
マラソンの時はじわっと身体があたたまってきたら燃え始めたと。
そこまでは急激な運動はグリコーゲンだけを消費するので控えたほうが
よさそうです。まあコースにもよりますが、、。
◯有酸素運動
燃焼なので一定量の酸素が必要です。
◯水が必要
体内の代謝活動の多くに水が関与しており、不足状態だと燃焼速度がおち
るそうです。トイレの心配もありますが定期的な水分補給大事です。
◯運動後も30分くらいは燃焼が続く
ではしっかり脂肪を蓄積しておけば、、
そんな必要はほぼありません。脂肪1gで9kcalのエネルギーが発生します。最初は内蔵脂肪から。300gも燃えれば2700kcalと十分です。
そのくらいの余裕はみなさん十分あるはずです。
少しの運動ではお腹周りがすっきりしない原因でもありますね。
また脂肪燃焼サポートサプリや栄養成分があるとネットには書かれています。さて効果はどうなんでしょうか? お金かかりそうなので試してません。
3.途中の栄養補給
エネルギーがどんどん減っていく中で定期的にエネルギーを少量でもつくっていくのはとても有効です。ただ食べてエネルギーに変えるためにはいくつかの工程が関与しています。
消化→吸収→変換→該当部署への移動
そしてこれらには時間が必要です。そのうち特に重要なのは最初の消化吸収です。なので消化が口で噛み砕くとすぐにはじまるおにぎりや吸収の早い単糖類を含むゼリーなどが一番最初の工程をスムーズに行えます。またお弁当を食べたらしばらく休んで消化吸収を助けてから歩き始めるのがオススメです。自分の消化能力や当日の体調にあわせて、食べ物や頻度や時間をうまくコントロールするのがとても大事です。
何度も山を歩いていると大体自分はこんな感じでコントロールすればいいかなとわかってくるものですがあまり歩かれてない方や久しぶりの方は身体も頭も慣れてないので大変ですね。
ちなみに私はこうしています。
1.前日や宿泊地ではしっかり炭水化物を補給する。
消化能力が低く、寝るまでに消化したいので消化薬を服用してます。
特に山小屋では食事から寝るまでの時間が短いので。また寒そうな時は
お酒等を飲み アルコールで体温維持のエネルギーを一部負担しグリコー
ゲンの消費を抑えてます。単なる言い訳かも(笑)。
あとビタミン錠剤は回復が違う気がして必ず補給、アリナミン頼りです。
2.最初はゆっくり登りだし、息切れするような激しい歩きにしない。
最初ははりきってやたらと早いリーダーさんとか、歩くの早くて休憩いっぱいのリーダーさんとかと一緒に歩くこともあります。そんな時はできるだけ後ろにいてマイペースで歩くようにしています。
3.ちょこちょこ食べません。
食べると脂肪燃焼が一旦とまると聞いたことがあるのと、それほど消化能力が高くないので4時間後(2回目の休憩)あたりにおにぎりを数個たべるまでは水は飲みますがちょこちょこ食べません。お菓子をいただいても。
4.朝食
よく朝ご飯たべないと登れないといっぱい食べられる方がいらっしゃいますが私は前日の夕食でしっかりグリコーゲン補給してるし、歩く前にそれでなくても弱めの胃にいっぱい食料をいれて消化の負担を負わせたくないのでいつも軽くあるいはなしです。
こんな感じです。
どこでなにをどれだけ自分の身体にいれ、どんな感じで使っていくかです。
山での経験を多くして自分によいコントロール方法を見出していってください。
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