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爆発音と追い焚き

湯船に浸からなくなったのはいつからだろうか

確かそれはまだお酒もギャンブルも覚える前の

純真無垢な高校生の頃だったと記憶している


その頃はバイトをしたり

友達と遅くまで遊んでいたりで

お風呂に入る時間が遅くなっていたが

ちゃんと追い焚きをして湯船にも浸かっていた


ただお風呂が古かったせいか

ぬるくなったお湯を追い焚きをすると


「ぼこ、、ぼこぼこぼこ、、」

「どん!どんどんどん!!」

「どっかーーーーん!!!」  


何かが爆発したかのような湯沸かし器の音


それが3日に1回の確率で鳴り響くようになり

純真無垢(2回目)な僕は

もうお風呂には入らない!

と、固く決意をしたのであった


大学生になると朝にシャワーを浴びるようになり

社会人になってからもそれは続いていたが

「外から帰ってきてお風呂入ってない人と

一緒のベッドで寝たくない」

その一言でそれまで10年以上続いた

朝シャワーの習慣は結婚初日にあっさりと

夜シャワーに変わったのであった


それでも湯船には浸かることはなく

家で湯船に浸かるくらいなら銭湯に行くという

意味不明な思考だった僕も

子どもが産まれて半ば強制的に

一緒に入るようになった


基本的にお風呂を入れるのは僕の役目なので

毎日一緒に湯船に入るのだが

ついこの間は奥さんが入れてくれて

入り終わって出る時に

「お湯抜いとくよー」

それを聞いた瞬間

「いや、浸かりたいからそのままおいといてー」

まさか自分の口から湯船に浸かりたいという

感情が出てくるなんてと

思わず耳を疑った


自分では子どものためにと

しぶしぶ湯船に浸かっていたと思っていたのに

湯船に入るとこが心地よいと感じているとは


純真無垢(3回目)な高校生の頃のトラウマを

気付かずうちに克服できていたのは

ほんとうに純真無垢な子どものおかげなんだと

思わされた夜だった


しかし追い焚きした時に鳴る湯沸かし器の

爆発音を聞いたことあるのは僕だけで

家族からはそんな音がする訳ないと

何度も言われていたのため

あれはなんだっんだろうと

謎はいまだに残ったままである

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