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【2024J1⑯vsFC東京レビュー】ガンバは最強の盾を2つ持ってますねん。


1.はじめに

 メディアに「矛と楯対決」と煽られたFC東京との一戦。リーグ最多得点である「矛」のFC東京とリーグ最少失点である「盾」のガンバ。どちらが最強なのか。

 で、この矛盾(ほこたて)対決の結果は、盾の尖ったところでFC東京をぶっ叩いたガンバの勝ち。スタッツでもシュート数こそ負けているけど、ボール支配率(57%‐43%)・枠内シュート数(5‐3)・パス本数(522‐432)・パス成功率(81.2%‐76.6%)とその他の数値はガンバがホームチームを上回りました。

 では、ガンバがどのようにして最強の盾を手に入れたのかをプレビューしていきたいと思います。

2.最強の盾

2−1最強の盾(防御用)

 FC東京戦のスタメンは次のとおりです。ガンバは前節からネタ・ラヴィ→ダワンに変更です。

FC東京戦スタメン

 まず、ガンバの守備です。スペイン出身のポヤトスガンバの守備(ボールを奪う)は【4−4−2】で、相手によってプレスの仕方を変えています。FC東京戦では相手SBに対してガンバのWG山下とウェルトンがプレスをかけるプランでした。FC東京のボールの動かし方は「縦→縦」の縦志向でCBからSBへ、SBからWGへと縦パスの連続でガンバからすれば、ボールを奪うのに狙いがつけやすいFC東京の前進でした。

縦→縦のFC東京

 縦志向のFC東京は、スピード&パワーの質と人数で相手ゴール前にせまる戦術でリーグ最多得点をあげることができていると思います。ディエゴ・オリヴェイラのようにパワーがあるFW、仲川・遠藤・俵積田のスピードとドリブル、推進力のあるSB長友・白井・佳史扶とこれだけの選手がいるので、質はかなり高い。前半8分には、オリベイラの裏抜けから福岡がパワーで負けてゴール前でチャンスを作られますが、俵積田の至近距離からのシュートを一森が神セーブで失点回避。

 もう一つガンバの守備は、宇佐美と坂本が縦関係になり相手のアンカーをマークし、中盤の底を経由させない外方向へ誘導するプレスもかけます。このとき肝になるのが、ガンバのWGの横(ななめ後ろ)スライドです。ウェルトンも山下も守備でもスピードを生かしたスライドで守備に綻びを作りません。前線からのプレスであいてビルドアップのコースを限定することで、ガンバはリーグ最強の盾を手に入れています。

WGの横スライド

 FC東京は前半にSBからWGまでボールを届けることができたのですが、WGで深さ出せずガンバの第2列を突破することができせんでした。ガンバの守備陣形がコンパクトなのとディエゴ・オリヴェイラと荒木が裏抜けを頻繁にしないので、ガンバは前向きの守備の機会が多く、DFラインが混乱することはなく決定的なピンチも前半8分の福岡がディエゴ・オリヴェイラにふっ飛ばされたところくらいでした。

 FC東京は後半になると、ボランチの高や前線の選手がガンバのSBとWGの間に立ち、ボールを引き出して俵積田や佳史扶がガンバDFラインを裏抜けすうように修正しましたが、ガンバのボール保持の時間が増えると自陣に押し込まれ前へ出れなくなりました。50分〜60分の10分間くらいがFC東京のペースだったかなと。試合のインタビューで宇佐美が「これじゃ、あかん」と後半途中でチームに喝をいれたとのこと。

後半のFC東京

 ただ、FC東京の立ち位置は属人的な感じでチームとして整備されているのか疑問です。というのも、再現性が乏しく攻撃が単発すぎるからです。これがクラモフスキー監督のサッカーなのでしょうか?今季のFC東京をちゃんと見たのがこの試合だけなので、わたくしには分かりませんが。

2−2最強の盾(攻撃用)

 上記のようにFC東京のペースは後半の15分間くらいで、前半から終始ガンバがボールを保持し、幅と深さ保ちながらボール・試合・相手を支配しました。わたくし好みの【ボール・試合・相手】の3つを支配するやつです。選手たちも充実感と自信を手にしたのではないでしょうか。

 ガンバがボールを支配できたメカニズム(論理)についてです。2つあって、1つはFC東京の守備の拙さ、もう1つはガンバの前進ルートの確保です。

 1つめのFC東京の守備の拙さについてです。FC東京の守備時は【4−4−2】なのですが、前線2枚がガンバCBに対してプレス強度が低く、またプレスバックが速くないので、ガンバのCBとダブルアンカーが余裕をもってボールを前進させることができました。FC東京は連戦の疲れだったのでしょうか?ミッドウィークにアウェイ鳥栖で120分(PK戦)を戦っています。

CBの選択肢が豊富

 2つめの前進ルートの確保です。試合後のインタビューで黒川が「CB2人と徳真くんで相手の第1列を突破し、SBは高い位置を取る準備をした」(ガンバTVより)と話していました。上の図のように、黒川が高い位置を取ることでFC東京の安斎と高の門を開くことができ、福岡からハーフスペースの選手へ縦パスをつけることもできました。また、FC東京がボールサイドに寄ればアイソレーションで逆サイドのWG山下にボールをクリーンに届けることもでき、ガンバはFC東京の第2列も突破し相手陣内へ押し込む時間が長くなりました。そして、FC東京は一旦ひくとなかなか前へ出てこないので、ガンバはいつもより高い位置でボール保持することに成功しました。

 また、得点不足のガンバは週の練習で取り組んできた【相手DFラインを突破する】動きも随所にみられました。前半早々に、ラインブレイクが2つありました。1:55に黒川が宇佐美とワンツーでラインブレイク。6:05に山下が宇佐美とワンツーでラインブレイク。開始まもない時間での裏抜けによって、FC東京のDFラインを後重心にできることもできました。

2−3今節のええやんか〜

 それでは、「今節のええやんか〜」のコーナー!!に行ってみましょう。このコーナーでは、わたくし好みのビルドアップを紹介します(初めてコーナー化してみました。ネーミングがいまいちなんで随時変更していきます)。

 今節はこちらです!!前半15分です。

今節のええやんか〜

 GKからデザインされた良いビルドアップですねー。ダイレクトパスがつながる良い立ち位置、複数人が連動して矢印が前方向、前向きのウェルトンにボールを届けることができました。長友をぶっ飛ばしたウェルトンが山下にラストパスを送りますが、少し流れてしまい山下のフィニッシュは枠外。

 そのほかにも前半34分のビルドアップや、後半の宇佐美のボレー、そして山田康太のゴール時の立ち位置など今節のベストを選ぶのは難しかったです。

3.まとめ

 最強の盾をガンバは手に入れましたが、その盾はボール保持によるものが大きく、ボールを保持しながら相手を自陣に押し込めることでガンバゴールから遠ざけることができているからガンバの失点はリーグ最少といえます。

 今は、最強の盾を防御用と攻撃用で持っていますが、複数得点の試合が重ね矛を手に入れることができれば、最強ガンバの誕生です。

 次節は1週間あいてアウェイ湘南戦です。良いトレーニングをして4回めの3連勝チャレンジを成功させましょう。

 ガンバれ!ガンバ大阪!!
 ではでは~


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