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【2024J1⑬vs名古屋レビュー】スペイン風味のウノゼロ。

1.はじめに

 ウノゼロで2連勝!2試合連続のウノゼロでございます。ウノゼロで連想するのがイタリアサッカー。カテナチオでゴールに鍵をかけて1点をひたすら守り切ると思われがちですが、ガンバのウノゼロはスペイン風味でございます。

 イタリア風味のウノゼロは塩っぱいですが、スペイン風味のウノゼロは素材(選手)と味付け(監督)がマッチした奥が深い味わいでございます。

 我らの指揮官ポヤトスの哲学は【ボールを保持して試合を試合する】です。試合を支配して勝てば良いんです。相手陣内でボールを保持して相手を自分たちのゴールから遠ざけるんです。そうすれば失点の機会も減るっていう算段です。

 では、ガンバのウノゼロをみていきましょう。

2.名古屋に対するプラン

 さて、名古屋戦のスタメンです。移籍加入してから出ずっぱりだったウェルトンがメンバー外になり、岸本が右WGで先発しました。

名古屋戦スタメン

2−1.名古屋のプレスとガンバのオーガナイズ

 名古屋はパトリックを頂点にシャドーに永井と森島を配置しました。名古屋は後ろの3人でボールを回しWBにボールを届ける戦術です。WBがボールを運んでパトリックにクロスを合わせてきます。プレス回避で永井を相手DFの裏に走らせるロングパスも出してきます。

 名古屋は守備時には【5−2−3】を採用します。シャドーの森島・永井はガンバのダブルボランチのコースを消すというタスクを与えられているため、中央に初期配置されているため、ガンバのCBからSBにボールが展開されるので前半から結構守備に走らされていました。

走らされる森島

 システムのかみ合わせでガンバの両SBの前にスペースがありました。ガンバはボール保持時の初期は【4−2−4】から【2−4−4】(厳密には一森を加えての【1−2−4−4】です)に可変してボールを前進させます。

ガンバの可変

 あえて一森を加えての【1−2−4−4】と表記したのは、名古屋のプレスにハマったときにプレス回避として一森を使っていたからです。一森まで戻して、ビルドアップをリセットしてスタートする場面が多くみられました。【一森でリセット】という表現は、らいかーるとさんのポストより拝借(無断ですみませんm(_ _)m)させていただきております。

2−2.ガンバのプラン

 ポヤトス監督はアライバルインタビューで「相手を後ろ向きに走らせる」と話していました。相手を後ろ向きに走らせるプランとして長短のパスを使い分けてチャンスをクリエイトすることができました。

 前半33分はガンバは準備してきたものが出せました。ビルドアップで長短のパスで相手を後ろ向きに走らせたプラン通りのものだと思います。まずはロングパスです。

ロングパスで後ろ向きに

 名古屋のプレスを一森を使って回避し、中谷から右WGの岸本に向けてロングパスで名古屋のDFラインを後ろ向きに走らせることができました。名古屋のプレスを一気にひっくり返す中谷からの良いパスでした。

 そして、プレーの流れから短いパスでも相手を後ろ向き走らせることができました。右の大外レーンでボールを保持したガンバは岸本・鈴木・半田のユニットで名古屋DFラインを3人め(半田)の動きで突破しました。

3人めの動きで相手を後ろ向きに

 一発で相手をひっくり返す裏へのパスを出せた良いのですが、そうはいっても相手がいることですので毎度毎度そうはいきません。そんなときには、丁寧に後ろからボールを前進させます。名古屋相手に最終ラインからボールを前進させた例が次のとおりです。

 相手をガンバ陣内に誘導して名古屋の前後が分断したスペースに一森・福岡からミドルパスが届けられます。これの状況で名古屋の第1列・第2列を突破し、残っているのは名古屋の最終ラインだけです。疑似カウンターのようなビルドアップで、カウンターではボールをもっている方が有利だという原則を意図して作った良いビルドアップでした。 

疑似カウンターっぽい

 相手を分析し準備してきたプランを意図した形で表現できるのをみるとサッカー観戦が楽しくなりますね。

3.ガンバのウノゼロ。

 ポヤトス監督の哲学は、「ボールを保持してゲームを支配する」です。そのために、ピッチの上のスペースを見つけること・スペースを創ること・スペースを共有することをベースに攻撃・ネガトラ・守備・ポジトラをオーガナイズしています。

 攻撃をしながら守備を整える

 同じ列車で前進すれば、たとえボールを失っても即時奪回できるとこに味方が立っているよね。という哲学だと思います。スペイン流だからといって決してショートパスをチャカチャカ回すのではなく、スペースがあればロングパスも織り交ぜながらチームで前進するのがポヤトス監督の哲学です。

 また、公開練習でポヤトス監督の指示でよく聞くのが「パスリピート」です。無理にボールを回すのではなく、だめならもう一度ボールを戻してやり直しです。一森が今季復帰して、一森からやり直し(リセット)ができているのが、ガンバのボール保持が安定している大きな要因だと思います。

 ですので、試合結果こそ1−0のウノゼロですが、内容は全然塩っぱいありません。一森からのビルドアップ、中谷・福岡両CBからの配給、鈴木徳真のアンカーポジションでの経由と前進、そしてファイナルサードに位置するウェルトン、宇佐美、坂本にクリーンかつ前向きにボールを届けることがきています。その結果、シュート数も増えかつ枠内シュートもかなり多くなっています。

 さらに、去年からの積み上げでいうと、相手の立ち位置をみてボールを届ける先をいくつかの選択肢の中からベストの選択ができています。まさにスペースの共有がピッチの11人全員でできているのではいでしょうか。

 選手(素材)を生かした味付けをポヤトス監督がしています。ミシュランガイドのお店でいうと星2つはあるのではないでしょうか。 

 ですから、ゴール前をがちがちにかためて、カウンターやセットプレーから1点をもぎ取ったあとは、さらに人数かけて守るだけとは全く違うのがガンバのウノゼロです。

4.おわりに

 後半は名古屋の左WBから攻め込まれるシーンがありましたが、今節もダービーに引き続き相手に決定機をつくらせない守備ができていました。今節終了して失点10はリーグトップタイ(神戸・町田と同数)の数値です。(ダービーのレビューも書いています)


名古屋の出口

 昨シーズン60失点オーバーのガンバがここまで失点数が大幅改善されたのは、中谷の加入と一森の復帰が大きいと思いますが、それだけではなく昨シーズンからのボール保持時の立ち位置の上積みと新加入選手に引っ張られて、既存のメンバーが今年こそはやってやろうという前向きの気持ちへの変化が大きいと思います。

 次節は鹿島相手に0−3から3−3に追いついた、ヴェルディです。なかなか手強い相手だとおもいますが、首位と勝ち点5差のガンバ。上位に居続けるためにも中3日のアウェイとはいえ、勝ち点ゲット必須です。

 ガンバれ!ガンバ大阪!!
 ではでは~

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