第16夜【共振】
初上映の日、時間帯も場所も忘れたが観客の一人として自分は劇場にいた。
空席もポツポツあり、熱い小中高生がいるだろうと自分を振り返り想像していたが、
「アレ?」って思った記憶だけが残ってる。
かつて、宇宙戦艦ヤマト劇場版やガンダム劇場版では、
汗臭くもある思春期の人間たちの熱意にあふれていた。
何か自分たちが時代を変えられる、アニメはバカにしたもんじゃないんだ!
みたいなエネルギーと世代の連帯を感じた。
それを全く感じず、冷めた雰囲気すら感じた。
上映がはじまる、苦々しい記憶の再現フィルム。
静まる会場…。
この人たちはTVと違って金を払って見に来てくれてる…どうなんだろう?
エンドロール…ポツポツ立つ人影…ほとんどの人が見ないスタッフロール…。
でも、ここには乗らない数多くのアニメーターや仕上げ者も携わったろう事は、自分の経験からも知っている…。
上映が終わる…特にざわめくこともなく、静かに出口に向かう人たち…。
やっぱり「アレ?」。