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第5夜【作画監督作業へ】

夜、Uプロデューサーの車で、O作画監督のスタジオに向かった。
なんか居心地が悪かったが車はスタジオに到着した。

到着して驚いたのは、その作画スタジオのテナントのでかさだった。
待合室に通されると、スタジオ開設記念の集合写真。
やがて作画監督の部屋に通されると個室で内線電話まで付いている。
…方南町のスタジオはボロアパートの一室だったし、
スタジオZ5も一軒家を、みんなで家賃払って賄っていた。
「よく作画で、これだけのスタジオを維持できますね…?」
自分の口からでた第一声は、ガンダムの事でもなく…それだった。

O作画監督は笑っていたように思う。
自分の事を忘れているようだったが「猿の劇場2の打ち上げでご一緒してました」というと「ああ」と思い出してくれたようで、ラスト対決シーン担当したんです」と話すと、そこからは打ち解けた話が出来た。

上がったばかりというパイロットフィルム分が収録された数カットのビデオを見せられ、率直な感想を求められた。

自分としては、サザビーとサーベルを合わせたリガズィのチョロチョロした
バーニア表現は、目がそっちにいってしまい肝心の芝居を殺すし、
真空間で戦艦から発射されるミサイルは、例え少量でもフォルムを持つ煙がでるのは、おかしいんじゃないだろうか?
アクシズ前の大核爆発は…アニメだから最高表現かもしれない?
など伝えた。
(でもね…核使えるのヤバイです(汗;ガンダム世界で艦隊戦可能条件失っちゃう…核禁止の南極条約が前提で、それは成立していた。
全てのコンテが届いてから残念な思いは増す。
ブライトは核を使ってシャアの艦隊全滅させてから、悠々アクシズに乗り込めばいい。シャアがロンドベルに核ミサイル使わないのも変だ…;)

内心のもやもやは置き、仕事打ち合わせに意識を戻す。
O作画監督の意思としては、ビーム発射時などに黒影を使ってみたいとの意向が話された。また修正参考としてアクシズに集中砲火させるコンテを見せられ、動画用紙にその場でラフ描きの説明を受けた。
「艦隊のミサイル集中砲火だから派手目に描いてほしいんだ」
全般的に、ファンネル、ミサイル、レーザー、バーニア、ビーム、機関砲、メカの影を、仙波君に修正して欲しいとの事だった。

自分の描いたシャトルを超えてくるνガンダムのビームは「みんな、おお…と驚いたんだよ」と言う。(このカットは、この後に予告編で流す予定のアルパアジールの吐き出すビーム以上に、にディティールを入れていたのだが、全作業期間中判まで何処にしまわていたのか?セル化されず、フィルムとなった物は描き込みが大幅に省かれてしまっている)

とりあえず10カットほど直して欲しいと一通りの修正の主旨を聞いた。
「仙波君のやってる作画のままでいいから」月に10カット程度だし、
メカ慣れしてる作画陣だろうし、肩の荷は降り、甘くみた。

今、担当してるシーンを自分としては貫徹したかったが、それらはスケジュール事情から引き揚げ、翌日にも方南町のスタジオに修正作業担当原画が届くとの事となった。

当時、メインの仕事の一つだったギャラクシーハイスクール。たぶんアメリカ人SBによる指導書き、あんまりつらい思い出の仕事以外は多数だし記憶にもあまりなく、資料出しては「何だったっけ?」という感じです。                                    


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