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第15夜【クライマーズハイ】

試写会の連絡が入り、自宅から電車で上井草に向かった。

駅前の酒屋で一升瓶の酒を買いサンライズスタジオに差し入れた。
(自分は下戸なんで酒の何が美味いかはわからない)
Uプロデューサーが「仙波さんから差し入れ入りましたー」
「…うおおおお…」という力なくどよめく声。
あっちも、こっちも、疲れ切ったスタッフの顔…そのほとんどが初対面。

そこから、どっかの試写会場に制作進行の車で向かったとは思うのだが…。
何処だか記憶が無い。

照明が落ち、上映がはじまった。三枝の音響…自分の名前がOPで出てる…。
その感想が一番最初でその後は、やはり作画に目がいく…。
原画のバーニア噴射炎内に実線で丸が描かれてる。
それは透過光マスクの意図かと思っていたらフィルムを見てちがってた。
「あちゃー」と思った。

ビデオ鑑賞だけの人にはわからないかもしれないが、大画面での劇場物としては、やはりメカ作画が荒い…あそこも、ここも、自分が無理をしてでも直したかった。と後悔の念が噴き出る…監督のカメラワークの凄い部分も目についた…。
エンディングが流れる…TMNか…金かかってんだろうな…。

試写が終わり、照明が戻り、キョロキョロ知り合いを探したが特にいない。
しばらくボーっと座席にもたれかかった。「終わった…間に合った…」。
達成感が来た。今でいえばクライマーズハイに似た感覚だろうか?

「しかし…!」その後に、もう一つのマグマのような波が込み上げる…。

試写会場のドアを開け、出ると、一つの部屋から監督の怒声が響いていた。「あれ?反省会やってんのかな…?」その部屋に向かおうとすると、
制作ディスクの人が大の字になって自分の行く手を塞いだ。
「何処に行くんです?」
「いや?なんか反省会みたいだから…」そのまま外へ案内された。
「何を監督は怒ってたんですか?」
「現像とか、そういうことです…」そう返答をもらった。

反省会なら言いたい事もあったが…出なくてよかったかもしれない。

結局、私は監督と一回の会話をした事すらない…。

これは色見本という物です。カラーコピーが高額でプリンターも無い時代。写真を撮り分類小分けし、フォトアルバムに一枚一枚、制作進行さん達が手詰めして作成されたと思います。本来は仕上げ担当者(セル画作業)に配られる物ですが、作画担当にまで届いた例は、経験上、この作品のみ。ブラックアウトした体制に当たり「出来る事は何でもやろう」という意思を受け取りました。

制作進行に方南町まで送られる道中は反省会に出ただろう、作業途中から
加わったキャラのMさんとメカ影等を直したIさんと、初めて出会った。
Iさんとは「O作画監督のレイアウト修正はよかったね」などと後部座席で雑談を交わしたが…、
助手席のMさんは黙っていた。


以下から有料記事になります。ガンダムは関係ないと思いますが、確かそっち系で演出されてた方とやったプロゴルファー猿もあるので紹介です。
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