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第9夜【初回ラッシュの衝撃】

第9夜【初回ラッシュの衝撃】

制作進行の車に乗せられサンライズへ向かった。
とりあえず今まで上がってる分の第一回上映(ラッシュ)だった。
寝てなかったが緊張で目は冴えていた。
照明が落とされフィルムが回され始めた。

「・・・・・・・???」

照明がつくと、いきなり大きな怒鳴り声がした。
「この噴射!ビーム!爆発!これでいいのか!メカ責任者は誰なんだ!!!」
監督の声である。自分は周囲をキョロキョロ見回した、O作画監督は?いない…?自分が手を挙げるべき???
監督の怒りは、さらにヒートアップしてきて身がすくんで手が上がらなかった。と同時に、自分が直さないと誰も直さない?もしかして自分が最終チェック者?とびびった。

その一方で、作画者として、もっと大きな問題を見つけていた。

●レズンのギラドーガは背景色に溶け込んでしまい、緑のギラドーガほど演技が見えない。

●自分担当原画のシャトルを超え手前にアップになるガンダムは、あれだけ原画枚数をいれたので、手前にきて盾を回転させるとこは矢印のみで動画に指示を与えていたが、盾は回転せず奇麗に中割されメタモルフォーゼしている。(今後、もっと中割ラフなりを入れる必要がある)

●マスクエアーブラシを想定していた物が、仕上げ(セル化)時、
トレース線として拾われてしまってる。

●ジェガンが手前来てやられるシーンで、一番手前の原画が影のみで本体が抜けていたので、確認にと送り返したカットが、原画抜けのままフィルムになっている。ヤクトドーガの大きさも直ってないと見た。

●O作画監督に回したはずの物は何も手を付けられた様子が無い。

●アクシズへの集中砲火は、色指定がミサイルもビームも、白に黄色のエアーブラシと同じ色指定で、黄色は色膨張を起こし、もうビームか?ミサイルか?全く見分けがつかない…。数も多すぎる…。これでは動画、仕上げ担当に無駄な苦労をさせただけだ…。
(このカットは今でも映像を見れば心が痛い)

その日は、そのまま家に帰り、泥のように眠った…。

翌日、O作画監督のところへ電話をしたがつながらない…。
「いったい何がどうなってるんだ…???」

グループDのリーダーに電話をかけた。
「実は参ってる…」と話すと「え?なんだ知らないのか?」と言う。
彼から事の顛末を聞き、脇の下から冷や汗がどっとでてきた…。耐えられない責任の重さ。


ここから先は有料、画部ですが。今回はガンダム関係ありません。
私のやった仕事スターザンスと合作で、爆発処理や日米の作画のちがいなど
の説明記事になります。

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