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インドネシア語 他動詞構文(2) 主語と動作対象が同じである場合


 主語が動作対象である場合、他動詞の形はゼロ形、またはdi 形になります。
 どちらになるかは、動作主(この場合は主語ではありません)の人称によって決まります。
 動作主が1人称または2人称ならば他動詞はゼロ形、3人称ならばdi 形をとります。

動作主が1人称または2人称の場合 (ゼロ形)

 主語が動作対象であり、さらに動作主が1人称または2人称の時は、ゼロ形の他動詞を使います

 Buku ini saya beli kemarin.  この本は(私が)昨日買いました。
 この例文では、動詞はbeli (買う)です。
 その動作をしている動作主はsaya (私)で、動作対象(beli の目的語)はbuku (本)またはbuku ini (この本)です。
 あわせて主語はbuku またはbuku ini で、動作主であるsaya は1人称です。
 ということは、主語と動作対象が同じであり、さらに動作主が1人称の文になりますから、他動詞の形はゼロ形のbeli になります。

 Buku itu sudah Anda baca ?  この本は(あなたは)すでに読みましたか?
 この例文の動詞はbaca (読む)になります。
 この例文では、主語であるbuku またはbuku ini が同時に動作対象であり、動作主はAnda (あなた)で2人称です。
 先ほどの例文との違いは動作主が2人称ということだけです。主語と動作対象が同じであり、さらに動作主が2人称の文になりますから、他動詞の形はゼロ形のbaca となります。

動作主が3人称の場合 (di 形)

 主語が動作対象であり、さらに動作主が3人称の時は、di 形の他動詞を使います

 この時、動作主を明確にするために「~によって」という意味の前置詞oleh を使うこともあります。

 Buku ini dibeli suami saya kemarin.  この本は私の夫が昨日買いました。
 動作主のsuami saya (私の夫)は3人称ですから、他動詞はdi 形のdibeli となります。
 さて、この文の動作主をよりはっきりさせるために「~によって」という意味の前置詞oleh を使うと
 Buku ini dibeli oleh suami saya kemarin.  この本は私の夫が昨日買いました。(この本は私の夫によって昨日買われました。)
 この( )内の訳でもそうですが、di 形の動詞は受け身(受動態)として訳されることが多いです。

 また、動作主が彼または彼女の場合には、dia や ia を使わずにdi 形の他動詞にnya を付けて表現します。
 前置詞oleh を使う際には、他動詞ではなくoleh の方にnya を付けて、olehnya となります。

 Buku ini dibelinya kemarin.  この本は彼(彼女)が昨日買いました。
 Buku ini dibeli olehnya kemarin.  この本は彼(彼女)が昨日買いました(この本は彼(彼女)によって昨日買われました)。

 動作主が明白な場合や、あえて言及しない場合にも他動詞のdi 形が使われます

 イベントや会議などが行われる際に、動作主が明白であったり、明白でないとしてもいちいち言及しなかったりすることが多いはずです。
 例えば、「2022年サッカーワールドカップはカタールで開催された」とはいうかも知れませんが、「2022年サッカーワールドカップはFIFA によってカタールで開催された」とか「選挙が選挙管理委員会によって実施された」とは言わないはずです。

 Konferensi Asia-Afrika diadakan di Bandung pada tahun 1955.  1955年に(インドネシアの)バンドン(バンドゥン)でアジア・アフリカ会議が開かれました。
 少し長い例文ですが、動作主(会議の主催者)が文中にないことに気づいていただければと思います。

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