見出し画像

インドネシア語 他動詞の形(接頭辞による分類)

 これまで他動詞をつくる接尾辞について、いくつか説明してきました。
 今回は、それら他動詞の接頭辞の形について、簡単にまとめておこうと思います。
 具体的な意味の説明は別にしますので、今回はmeN 形、ゼロ形、di 形という呼び方とその示す形がどういうものかだけ理解していただければ結構です。

 他動詞の形には接頭辞の有無と種類について、3つの形があります。meN 形、ゼロ形、di 形の3つです。
 これらは他動詞の語幹に接頭辞があるのかないのか、あるとしたらどの接頭辞がついているのかでつけられた呼び方です。

 少し煩雑になりますが、できるだけ簡潔に解説してみましょう。
 まず、terima を基語として説明します。
 このterima は他動詞をつくるときの語幹(接辞が付く前の状態、つまりまだ他動詞ではない状態)が基語と同じ形をしていてterima のままです。
 そこでこのterima を他動詞にすると
 1)接頭辞meN をつけてmenerima とする
 2)接頭辞をつけないでterima のまま
 3)接頭辞di をつけてditerima とする
 の3つの形があります。
 この1)接頭辞meN をつけた形をmeN 形といい、2)接頭辞をつけない形をゼロ形といい、3)接頭辞di をつけた形をdi 形といいます。
 ですから、terima のmeN 形はmenerima 、ゼロ形はterima 、di 形はditerima となります。
 意味はどれも「~を受け取る」となります。

 今度はmasuk を基語としてみましょう。
 masuk は他動詞をつくる語幹になるときに接尾辞kan が付いてmasukkan となります。
 このmasukkan をが他動詞になる時に、
 1)meN 形 memasukkan 
 2)ゼロ形 masukkan
 3)di 形  dimasukkan
 の3つの形をとります。
 意味はどれも「~を入れる」です。

 nikmat を基語としたらどうでしょうか。
 nikmat が他動詞をつくるときの語幹は接尾辞 i がついてnikmati となります。
 このnikmati が他動詞となる時は、
 1)meN 形 menikmati
 2)ゼロ形 nikmati
 3)di 形  dinikmati
 の3つの形をとります。
 意味はどれも「~を楽しむ」「~を味わう」です。

 今回は冒頭に書いたとおり、この接頭辞の有無、種類で他動詞をmeN 形、ゼロ形、di 形の3つに分類できることを理解してください。
 接尾辞での分類ではないことに注意してください。
 これらの形は(毎度のことですが)会話(特にくだけた会話)ではほぼ意識されません。実際、例に挙げた単語も基語のままterima 、masuk で使われます。
 nikmat は例に挙げた単語の中では例外的に基語のままで使われません。他動詞語幹(接尾辞 i をつけた形)のnikmati の形またはmenikmati の形でよく使われます。
 ではmeN 形、ゼロ形、di 形の3つの形は何のために理解するのかといいますと、文章(文語)では主語と動作主・動作対象の関係によって、他動詞がこれら3つのうち、どの形になるのか決まるためです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?