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インドネシア語 指示代名詞


指示代名詞とは

 指示代名詞は、こそあど言葉ともいわれる何かを指示するときに使う代名詞のことです。
 たとえば、「これ」や「それ」、「あれ」、「どれ」が日本語の指示代名詞になります。先に書いた「こそあど言葉」というのは、その頭文字をつなげた呼び方です。
 指示代名詞には、「これ」や「それ」「あれ」「どれ」以外にも
 「この」「その」「あの」「どの」
 「ここ」「そこ」「あそこ」「どこ」
 「こちら」「そちら」「あちら」「どちら」
などがあります。

インドネシア語の指示代名詞

事物を指し示す代名詞

 インドネシア語の指示代名詞には、まず場所以外の事物を指すini とitu があります。
 日本語の「これ」「この」に相当するのがini で、「それ」「その」または「あれ」「あの」に相当するのがitu です。

 Ini cabai. これは唐辛子です
  cabai 「唐辛子」
 Itu saus tomat. あれはトマトケチャップです
  saus 「ソース」 tomat 「トマト」 saus tomat 「トマトケチャップ」

場所を指し示す代名詞

 場所を指すときは、sini 、situ 、sana を使います。
 「ここ」に相当するのがsini で、「そこ」がsitu で、「あそこ」にあたるのがsana です。

 Sini panas. ここは暑いです
  panas 「暑い」
 Dia duduk di situ. 彼(彼女)はそこで座ってます
  duduk 「座る」 di 「(場所に対して)~で、~に」 
 Di sana ada yoshinoya. あそこに吉野家があります
  ada 「ある、いる」 yoshinoya 「(牛丼チェーンの)吉野家」(インドネシアにも吉野家はあります)

 なお、ジャカルタ近辺やジャワ(ジャワ島全域ではなく、主にジャワ島東部の地域を指す)ではsana のかわりにsono またはono という単語を使うことがあります。sono もono もジャワ語由来の単語で、意味はsana とおなじく日本語の「あそこ」に相当します。
 ジャワ語に由来する単語なので、ジャワ語を使う地域ではsana とsono (ono)の両方が使われます。
 また、テレビ番組などで出演者が使うことがあるので、ジャカルタ近辺やジャワ以外の人でも、自身はsono (ono)を使わなくても、聞いて理解できる人は多いです。これは日本でも例えば関東の方や東北の方が、関西弁を話せなくても(使わなくても)、テレビなどで使われているため、関西弁を聞いて理解できることとおなじです。

 特に説明もなくジャワやジャワ語という単語を使いましたが、いつかそのあたりの説明もしたいと思います。

「こちら」「そちら」「あちら」について

 インドネシア語には「こちら」「そちら」「あちら」に対応する単語はありません。文脈に応じて、場所以外の事物を指すときはini またはitu を使い、場所を指すときはsini 、situ 、sana を使います。

 Ini guru Ueda. こちらは上田先生です
 Mobil itu lebih mahal. あちらの車はより高価です(あの車はより(値段が)高い)
  mobil 「車、自動車」 lebih 「(比較して)~より、もっと~」

 Sini panas. こちらは暑いです(ここは暑いです)
 Situ juga panas ? そちらも暑いですか?(そこも暑いですか?)
  juga 「~もまた」
 Katanya sana lebih panas. あちらはもっと暑いそうです(あそこはより暑いそうです)
  katanya 「(伝聞では)~だそうだ」

「どれ」「どの」「どこ」「どちら」について

 こそあど言葉の「ど」にあたる「どれ」や「どこ」などはmana という単語を使います。代名詞が示すものが場所であっても、場所でない事物の場合でもmana を使います。
 その際、mana の前に前置詞を置いてどのような意味かはっきりさせることが多いです。
 前置詞については改めて説明しますので、ここでは例文をあげるだけにします。

 Kamus kamu yang mana ? あなたの辞書はどれですか?(あなたの辞書はどちらですか?)
  kamus 「辞書、辞典」 yang mana 「どちらの?、どの?、どれ?」
 Anda datang dari mana ? あなたはどこから来ましたか?(あなたはどちらから来ましたか?) 
  dari mana 「どこから?」
 Dia mau pergi ke mana ? 彼(彼女)はどちらへ行こうとしていますか?(彼(彼女)はどこへ行こうとしてるのですか?)
  mau 「望む、~しようとする」 ke mana 「どこへ?、どちらへ?」

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