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【新型感染症】認知症の患者さんに感染対策を理解してもらうために人々ができることまとめ

認知症患者の対応をしている施設では、感染症対策が大きな課題になっています。

看護師や介護士として働く職員が、昨今の新型感染症の対策をするために手を焼いているケースが多いのです。簡単にできる方法はないものかと、悩んでいる方も少なくありません。

認知症患者の感染対策は、どのようにして取り組んだら良いのでしょうか。

ここで感染対策における課題をおさらいし、認知症患者に感染対策について理解してもらうためのポイントを確認しておきましょう。

認知症患者さんの感染対策における課題

認知症患者の感染対策は、一般の人と比べてどのような点が難しいのでしょうか。

認知症になると、文字どおり認知機能が低下するだけでなく、気持ちが不安定になったり、物忘れが激しくなりがちです。

認知機能の低下が進み、記憶力が衰えてしまうと「感染対策をしましょう」と伝えても必要性を理解できなかったり、すぐに忘れてしまったりします

そもそも新型感染症の感染拡大が起こっていることが頭に入っていないと、どれだけ必死に感染症対策をやろうと言っても納得してもらえないでしょう。

・手洗いや手指消毒をしない
・マスクをつけてもすぐに外してしまう
・自粛が必要な時期に勝手に外に出てしまう

など、なかなかルールを徹底させられないのが課題点です。

また、認知症になると、環境変化に対して敏感になって、些細なことで心に不安が生まれる方もいます。

職員がマスクをして対応するだけでも抵抗感を感じる場合も決して少なくありません。感染が疑われて居室を隔離された場合には、取り乱してしまうこともあるでしょう。

このような現場の状況で、職員には何ができるのでしょうか。

患者によって認知症の進行具合にも違いがあるので、一人一人の理解度に合わせたコミュニケーションが必要になります。

そのためのポイントを詳しく確認していきましょう。

感染対策のポイント①無理強いはしない

認知症患者の感染対策は、何事も「強要しない」ことが大原則です。

ルールに従って手洗いや消毒をしなかったとしても、厳しくとがめてはなりません。本人はそれで良いと思っていて、なぜやらなければならないのかがわかっていないこともあるからです。

もし拒否が起こったときは、利用者の家族や他のスタッフに交代して再度説明してもらうようにしましょう。少し時間を置くだけで話がスムーズに伝わる場合もあります。

その場で無理強いをすると信頼を失ってしまって、今後のコミュニケーションが難しくなるので注意が必要です。

感染対策のポイント②本人の思いを受け入れる

「本人がどうしたいと思っているのか」を受け入れながら感染対策をするのも重要なポイントです。

強要せずにやり過ごすだけでは、感染対策を進められません。認知症患者自身がどうしたいと考えているのかを丁寧に聞いてみましょう。

話を聞いてみるのは、認知症患者のケアにおいて欠かせないことです。本人の思いを可能な限り受け入れ、その上でどうすれば良いかを考えて提案していきましょう。

感染対策のポイント③言葉がけを工夫する

言葉がけの仕方の工夫をすると、認知症患者の不安を軽減できます。

認知症患者の中には、マスクやゴーグル、防護服などを着用している職員を見ていると不安になってしまう方もいます。

ただ、不安の原因は装備そのものではなく、

・表情や目線がよくわからない
・言葉が聞き取りにくい

という場合もあります。

マスクを着用していないときよりも、はっきりとした声でゆっくりと話すようにしてみましょう。できれば身振り・手振りも交えてみてください。

少し大げさに思うくらいのアクションでコミュニケーションを取ると、話が伝わりやすくなります。

顔が見えなくてもジェスチャーで感情が見えてくることも多いので、不安を取り除くことにつながるはずです。

感染対策のポイント④予防行動を習慣化する

感染症予防のために必要な行動は、習慣化するように促していきましょう。

手洗いや手指消毒などは「食事の前」「トイレの後」といった形で、他の行動と紐づけていつ予防行動をするかを決めるのが良い方法です。

ただ、患者によってはルールを決めても従ってくれません。「○○しましょう」と誘導するよりも、本人が進んで「やりたい」と思えるように促すことが効果的な場合もあります。

歌や言葉遊びなど、楽しみながら予防できる工夫もうまく取り入れてみましょう。

感染対策のポイント⑤ポスターやステッカーの活用

物事を忘れてしまって覚えられないという認知症患者に感染対策をしてもらうには「常に意識させる」ことが肝心です。

習慣化に成功して、やってくれることが増えてきたとしても、その日の体調や気分によっては忘れてしまってできなくなることはあり得ます。

ポスターやステッカーなどを活用して「いつ・何をすべきか」が常に目に入るようにしておくのが効果的です。

感染対策が必要とされている事実は、特に忘れられては困るでしょう。やるべき予防行動だけでなく、新型感染症の感染拡大が起きていて対策が必要なことも、ポスターなどで意識させるのが大切です。

まとめ

感染対策は、認知症患者に正しく取り組んでもらうのが大変なケースもあります。

しかし、個々の患者を受け入れつつ、常に予防行動を意識させて習慣的にできるように促すようにすれば、きっと完璧な対策を行えます。

以下の記事では、もっと詳しい対策方法を解説しています。感染が広がらないようにするために取り入れられるものがないかを確認してみてください。


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