一人で生きたい

神奈川に上京して、約1年半。

友達だと思ってた子と疎遠になり、今度は別の友達が出来て、

多分、大学の頃よりも外で遊ぶようになった。

なのに何故か心が晴れない、自分は独りなんだという気持ちが拭えない。

それはきっと、親友だと思っていた友人が、だんだんと、目に見えるように離れていったからではないだろうか。

心の拠り所にしていた友人は、新しいことにハマると同時に、どんどん私への扱いが雑になり、新たにできた友人とずっと楽しそうにしている。

それは決して悪いことではない。結んだ縁を大事にすることは悪いことではない。

ただ、私だけだったのだと思ってしまうのだ。私だけが彼女とずっと仲良しでいられるのだと信じて、暇なときは連絡を取り合い、くだらない日常を笑い合えるのだと、そう考えていたのは私だけなのかと。

彼女という友人がいなくなると他に話す人がいなくて、元々独りが得意ではない私は、ものすごい虚無感と孤独感に苛まれた。

そんな中で別の友人ができた。独りが嫌で、せめて逃げ場所を作ろうと必死に探した友人だ。

その子は本当に優しくて、いつだって話を聞いてくれた。出会ってまだ半年ちょっとなのに、多分めちゃくちゃ遊びに行った。いろんなことを教えてくれて、いろんなものを与えてくれた。彼女は人づてに紹介されて知り合った子だけども、本当に、出会ってくれて感謝している。

同時に、多分、というか絶対、めちゃくちゃに甘えてしまった。それが申し訳なくて仕方ない。

彼女は友達が多い。というか、たくさんのグループに所属しているようだった。彼女と遊んでいると、たまにLINEが鳴る。私以外の別の友人からだ。

私は彼女以外に連絡を取り合うような友達はいなくて、だから、そのLINEの着信が鳴るたびに心がざわついた。紛れもない嫉妬だ。

しかも、「彼女を取らないで」ではなく、「私も誰かからLINEが欲しい」という類の嫉妬。もっとめんどくさい嫉妬。

境遇に対する嫉妬だ。自分にはないものを持っている者への。どうしようもない。

高校時代にはそれなりにグループに所属していた。でも大学進学と同時にほとんど縁が切れた。当時、スマホを持っていなかったために連絡手段が取れず疎遠になった子たち、あるいは単に相性が合わなくて疎遠になった子たち。

どちらにも未練は無い。けれど、「グループに残れなかった」という事実だけが、私の首をゆるやかに締め上げてくるのだ。「お前はグループに残れないような、はみ出し者だ」と。

そんなわけないのにな。グループに所属することが大事だとは思わないから。

そう、グループ云々は多分悩み、というか心のわだかまりの1割にも満たない。

問題は、「連絡を取り合う友達が少ない」さらに言えば、「連絡を取り合う友達が少ないことを気にかけている私がいる」ということで。

さきほどの彼女は、よく友達からLINEが来るが、軽く中身を確認したら放置する。LINEの中の友人を後回しにして、今、目の前にいる私を優先してくれるのだ。

嬉しい、とかそういう話ではなく、「友人への連絡をさほど重要と思っていない」その姿勢が、あまりにも羨ましいのだ。

聞けば、「来る者拒まず、去る者追わず」の精神らしく、ぐいぐい入り込まれるのも嫌いなようで、基本的に「他人の動向に興味が無い」という。

それはとても、羨ましかった。だってとても生きやすそうではないか。

自分のしたいことを最優先にして、友人とのやりとりにさほど執着をしない。

友達に依存していない。

私はというと、友達に依存している。連絡が来ないとそわそわする。嫌われたのかと思う。わかっている、そんなことないって、だって私も、今、これを書いている間、LINEの着信を無視している。都合のいい時、気分の乗る時に返したいからだ。なのに人がそれをすると、自分は蔑ろにされていると感じてしまう。依存だ。

休日、誰とも話さずに1日が終わろうとすると途端に焦る。声を出さなければいけないような気がするから。

「ねばならぬ」って何だろう。生き方に正解は無いのに。喉を休める日があったっていいのに。

落ち着いて考えれば、私には友人が増えた。どこかに遊びに行きたい時に誘う友人。悩みがあれば相談できる友人。趣味がはかどって興奮した時に感情をぶつけられる友人。暇だなと思った時に電話をできる友人。考えてみれば、たくさんいる。

だけど不意に、孤独になる。

頑張って作った友人を指さし、「必死になって独りを避けてバカみたい」と嘲笑う私がいる。「そうまでして誰かを作って、その人達無しでは生きていけなくなったらどうするの?また依存するの?」と不安に嘆く私がいる。

「友人は作るものじゃないのに」と蔑む私もいる。

正しい生き方がわからない。

誰かに縋ることは、正しくないのだろうか。

独りではないのに、一人でいることを怖がるのは、間違っているのだろうか。

生まれてから23年目。

ようやく、たった一人の足で自分を立たせて生きて行く方法を模索しだした。

何も考えずに、ただ心を平穏にして生きていきたいだけなのに。

なかなか方法が見つからない。

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