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FP1級実技面接への準備編③

(前回までの振り返り。FP1級実技面接試験を2月の頭に控えた私は、その情報の少なさと、問題集の激ムズ具合に、心を打ちひしがれながらも、Twitterで同期受験者の仲間から情報を仕入れ、何とか勉強を続けていた。受験票も届き、ホテルも新幹線も取ったある日、カミさん(配偶者)が土曜に会った人がコロナ陽性で、保健所の指導によりカミさんがPCR検査を受けることになった。そして職場に連絡するも、PCRの検査結果がわかるまで出勤するなと言われてしまい・・・その続き)

 帰宅したカミさんに話を聞く。
 土曜日に仕事で会った人なんだけど、感染経路がわからないから、PCR検査を明日受けてくれ、と言われたとのこと。
 子供の学校も感染者が出たのか、休校が決まり、職場にそれも連絡する。

 我が家の初のPCR検査であり、明日の午後に病院の駐車場でドライブスルー形式で検査をするとのこと。家族が陽性だと、当たり前だが、私のFP1級実技試験は、キャンセルせざるを得ない。そして私も検査をしなくてはならなくなる。

 わかっている。試験よりも家族の方が大事だということは。でもここまでやってきて、こんな感じで諦めなきゃいけないのか。次は6月に試験があるとはいえ。あまりにも残酷すぎるな。

 まず、買い物に行けない。外に出るな、というのである。当たり前だが家族全員が陽性であることを前提として行動する。家にあるもので食べるしかなくなる。

 そしてPCR検査を受けたのが火曜日だが、すぐに結果は出ず、翌日の水曜日にわかるというのである。当然私も会社を休んでいる。
電話で連絡が来るそうだ。しかし水曜のお昼を過ぎても電話連絡なし。カミさんがついにキレ始める。

「まだなのかよ」

「やっぱり陽性なのかな」

「もういやだ。こんなのいやだ」

「どんだけ待たす気なんだよ」

「あー気が狂いそうだわ」

 色々言われているが、私はそんな中、一縷の望みを託して、赤本を開くもあまり勉強が身に入らない。でも平日堂々と休めるので、これは勉強するには大チャンス、と思って、勉強を進めていた。

ちなみにうちの子供は普通に学校の宿題を終わらせ、進研ゼミの勉強をして、終わったらいつも通り遊んでいる。感情の起伏は、ほぼない。顔はカミさん似だが、こういう所は私に似ている。

午後13時過ぎカミさんの電話がなる。

緊張の一瞬。

「はい。」

「あ、なんだお母さんかよ!今電話してこなくていいから!」

拍子抜けして、子供と一緒に笑う。

しかしタイミング悪いな。
計算しているのか?
義理のお母さん最高かよ。


しばらく待つ。

まだ電話来ず。数分後

電話が再び鳴る。

ついに来たか。相手は保健所のようだ。

結果は






陰性。いんせい。

ということは首の皮一枚つながった。受験できるか。
ホテル予約も新幹線も予約しているからキャンセル不要。
私も子供も検査不要。
学校は明日より開始。

職場の上司に、陰性だったと告げる。

「あーそうですか。よかったですね。
ところでRohan君。君が火曜水曜と二日も休んだせいで、他の人が休めていないんだよね。明日から来てもらうとして、金曜日に計画年休取っていたようだけど、それ無くして、他の人休ませていい?というか俺も明日休みたいんだけど」

「え?そうなんですか。はい。構いませんが。明日から出勤ですね。
わかりました。」

まあ大体こんな感じで事は進む。

しかし来週東京に行くぞ、となった際に
カミさんから次のようなことを言われる。

「本当に受験しに行くの?私は接触者になっただけで、あれだけの思いをしたんだよ。今の東京の感染者みてみ。2万人超だよ。必ず行かなくてもいい試験なんでしょ。延期にならないの?感染したら職場にも私たちにも、実家にも迷惑かかるのわかっているでしょ?」

職場の女性の方からも、次のようなことを言われる
「東京に出張とはいえ、この時期に行く人の気が知れない。それを翌週普通に出勤されるんですか?それなら私月曜日から休んでいいですか?」

 否定である。こんなことを平気で言ってくるのである。
まあ気持ちもわかる。2月頭にはコロナの第6波がピークで2万人を超えていた。収まるどころか感染者数は広がっていたのである。
 あくまで東京に行く=感染しに行くの構図である。
 でも現実の東京は、リスクがありながらも、外で生活している人だらけな訳だし。都道府県の人口に対する感染者の割合が違う。重症化率も2020年の時とは違う。何よりここまで頑張ってきて、ふいにしたくない。でも家族や職場を巻き込みたくはない。
 迷った末、私は上司に相談した。
上司はこう言った。
「君は受けたいの?受けたくないの?」

最初にFP1級に挑戦しようと決意した、あの日を思い出す。
面接を受けて、合格しなきゃいつまでも2級。
今まで必死にやってきたこと何だったの?6月9月を待つの?
忘れちゃうよ。
早く行こうよ次へ。
覚悟はいいか。俺はできてる。
私は上司にこう答えた。

「受験します。やります。必ず受かってみせます」

「Rohan君、真面目すぎるな。いちいち周りを気にするな。堂々と受けてきたらいいじゃん。会社が受験を認めている以上誰も止めないよ。東京に行かなくても感染リスクはあるし。会社から帰宅後の社員全員の行動を取り締まるわけにもいかない。そうだな。この前の金曜日飛ばした計画年休もあるでしょ。まずはそれで週明けの月曜火曜休んだら」

結果として私は試験後の1週間丸々休暇をもらえた。さらに上の上司がそう判断した。お礼を言いに行くと
 「滅多に受けられない試験なんでしょ。この辺で受けられた人がいない試験と聞いています。自信持って頑張ってきてください。こっちは何とかするから。終わったらゆっくり休んで。」

「ありがとうございます」
感謝である。

3日間の潜伏期間も考慮したのだろう。仮に私が感染してきてすぐ月曜から出勤させたら、会社的にもマズイと思ったらしい。そして、休みの間にできれば任意でPCR検査も受けてきてほしいと言われた。私は素直にわかりましたと告げた。計画年休と祝日の組み合わせとはいえ、1週間も休めるのはご褒美すぎると思っていた。

別な同僚が東京に行く前日に私にこう言った。
①コロナにかからない、試験は合格。
②コロナにかかる、試験は合格。
③コロナにかからない、試験は不合格。
④コロナにかかる、試験は不合格。

未来はどれかであると。だが、最悪④は避けろ、と。
いずれにしても受かるしか、君に残された道はないと。

何、この直前期のプレッシャーのかけ方・・・

試験受けて仮に試験の結果が悪くて帰ってきても
「あいつ試験落ちたのに、その後1週間休んでいた」と言われてしまう。
③の可能性が高いように思えるが、①しか選んでくるなよ、みたいな。

私は東京行きの新幹線に乗った。
前泊するホテルに着く前にやることは2つ。

試験会場の下見と職場へお土産を買って郵送すること。
下見は泊まるホテルとの距離と時間を確認するため。
お土産を先に送るのは、仮に私がコロナにかかっても、1週間も休む会社へのリスクヘッジであると考えた。郵送を済ませたら私の仕事は半分終わったような感じであった。

私はあることを決めていた。
試験が終わるまで、外食しないでおこう。
マスクは2重にして外出する。

ビジネスホテルに泊まるも、一日中引きこもり、部屋から出ない。
ずっと机の前に座り、一人ぶつぶつつぶやく。ノートに書く。Wifi通ってるからYOUTUBEをスマホで見ながら、ノートに文字を書いていく。

外食はマスクをはずすタイミングがあるから、ホテルで食事をとる。
ウーバーイーツは禁止のホテルだったため、結果として東京駅で購入したおにぎり等で昼も夜も済ませる。食事に時間かけない。
残された時間全力を尽くす。

夜になる。
テレビをつけると2022年の北京冬季オリンピックの開会式が流れていた。そうか、今日からオリンピックだったのか。アメリカの雇用統計も忘れていた。
試験は翌日13時~だからまだ時間に余裕はあるが、早めに寝よう。
0時になったら、あれから何日アプリが更新されるから、スクショにとり今の思いをツイッターに載せようとするが、試験前だから下書き保存してツイッターには載せなかった。今の思いをいつか懐かしく思える日が来るのだろうか。そう思って撮ったスクショがこれである。


旅が終わる。私は終着駅に着く。
最後まで全力を尽くす。
例えダメでも、全力を尽くしたならそれでいい。

後悔はしたくない。
出来る限り答えたい。堂々と答えたい。
すぐ持ち帰りますと言いたくない。
そして胸を張って帰りたい。

周りの受験生が、どうこうじゃない。
受験するのは私である。
旅の終わりを決めるのは周りじゃない。
私が決める。
私が面接を受ける。

私のFP1級受験が終わる。
1年半の戦いが終わる。
これがきっと最後になる。
そう思っていた。

今までの
苦しさも
悲しさも
楽しさも
コロナ渦での挑戦も
これで終わる。
全部終わる。

0時にベッドに入るも、緊張している。
寝なくては・・・ウトウトとしていたらいつの間にか寝ていた。

目が覚める。時刻は3時。
それ以降、目を瞑るも寝れない。
どうやっても寝れないのである。
体が、脳が、緊張してしまっている。
やばい。なんだこの感覚は。

諦めて4時半ころ起きる。
実質眠れたのは3時間。
7時から朝食なので、シャワーを浴び
ノートと問題集を見る。
話せるかを確認。話せる。

朝食後眠くならないか心配だったが
コーヒーを飲みながら、過ごすと時間だけが過ぎていく。
ホテルを11時にチェックアウトし、時間つぶしにカフェに移動。
2月頭なのに、桜が咲いている木を発見。

試験時間1時間前に会場入り。
貸会議室の場所で、午前の受験者がまだ終わらないのだろうか。
入れるのは12時40分からと書いてある。

試験は午前と午後同じ問題が出る。しかし試験問題の漏洩は不正になるし勿論SNSの書き込み等はできない。
午前の受験生と午後の受験生が会えないようにしているのだろう。
パート1,パート2の2つの面接が終わると、帰ってよいとなり順番に受験生は退出していく。
要は今の時間は、午前の部の終わりの方なのだろう。

流石に来るの早すぎたか。でも遅刻は厳禁だから、下に降りて待つか。エレベーター降りてすぐこの風景だから、待つ場所がここでは無理だった。



 下の1Fで待つも、しばらくするとエレベーター前から建物の入口まで赤本か紫本か緑本を立ち読みしているスーツ姿の人たちだらけという、異様な光景を目にする。

 この人たち全員FP1級学科の合格者で、実技面接を受けに来ているのだな。30代男性の方が多い印象。女性も、ちらほら6人に一人くらいかな。

次回は、面接ってどんな感じで進むのか等をレポートします。

(面接編へつづく)





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