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FP1級実技面接への準備編②

(これから読まれる方へ。ちょい文章が長いですがお付き合いください)

12月の職場にて。
私「あのー本社からFP1級実技試験の受験案内が来たので、来年の2月5日の前後お休みいただけないでしょうか?」

上司「これさ、何%合格するの?」

私「大体8割くらいですかね」

上司「ほんじゃ、合格じゃん?」

私「そう簡単にいかないから、困っているんですよ(怒)」

一瞬、右手に抱えた赤本(問題集)を上司に投げつけたい衝動に駆られるが、ぐっと堪えた。危なかった。我ながら手をプルプルいきそうだった。
この問題を見てから言ってくれ、と言いたかったが、見てもくれないのは承知の上だ。

 11月と12月に、まぁごさんが、ツイッターで「職業倫理の6項目からでもtwitterのスペースで声出し一緒にしませんか?」と声をかけていた。その積極的な姿勢に脱帽した。さらにFP試験の伝道師ミーさん(FP1級技能士かつ色々1級持っている方)と、証券会社にお勤めのmokumokuさん(FP1級技能士)を講師に招きFP1級実技面接勉強会のスペースを開く企画までしている。
 それに比べて私は何だ。赤本は読み進まない。仕事は捗らない。全く成果が上がっていないではないか。やばいぞ。このまま年が明けてしまうぞ。

 とりあえず、このスペースに出て、何か手がかりを掴みたい。何しろ私は12分の面接のイメージが全く沸かなかったからだ。
 ツイッターのスペースは、自分で発言しなくても司会進行が進んでいく。要は講師役のお二人の段取りと説明が上手いのだ。そしてポイントを押さえている。赤本を手元に用意して、パート1とパート2の具体的事例があっさり解説されていく。そのスピード感。一人で赤本読むときはさっぱり進まないのにサクサク進むのである。

 ・事業承継税制の特例と一般の違いは最低限ここを押さえて。メインで聞かれるのは特例だから要件は絶対に言えるようにして。
 ・M&Aの時は事業承継税制の特例の影響について注意して。
 ・配当金が0円の場合、配当還元方式を使う場合、0円の場合いくらで評価するかわかる?
 ・立体買い替えの特例は100%繰り延べだけど、取得価格は引き継ぐけど取得日は引き継がないから、そこよく問われますよ。などなど。

 スペース聞きながら、赤本を見て、ノートに書きこんでいく。
 ミーさんともっちさんの問題演習には、ミーさんが台本を書いて実際の問題を面接官役、もっちさんが受験生役のも聞かせてもらった。
 法人化するメリットは?①②③④デメリットは①②③④、もう一つ⑤もあるからね。なるほど、こう簡潔に答えるのか。最低限の知識は覚えていないと答えられないな。

 私がやるべきは、まず話す練習よりも圧倒的な知識不足。まずは赤本の残りの問題でどんな感じの問題があるのか、まず問題の共通点は何かを探った。パート1ならFPの職業倫理6つは暗記し、それぞれがどういう意味かをまず覚える。そしてこの事例ではどれが合うかを、決めつけずに考える。
パート2なら専門家はどういう人がいて、独占業務として何をしている人なのかを覚える。まずはここから初めてみた。
 次にパート2の最初の質問、Aさんに確認することFP自身が調べることも共通していることがわかる。Aさんに確認することとは本人しか知らない情報、本当のニーズは何なのか。実際どうされたいのか。FP自身が調べることは、権利確認、現地確認、需要の確認、公法上の規制の確認、市場環境、税務確認、提案内容の妥当性、融資先等である。
 せいの先生が即メモで「現権需公市税提融」と表現していたのはこれだったのか、と後で勉強してわかるわけである。

 そして一番最初にすべきことは、国税庁のHPに行き、事業承継税制の特例の法人版と個人版をダウンロードして印刷し、穴があくまで隅々まで読むことである。これが一番まとまっているし、図解されているのでわかりやすい。まずこれを見るのが先決である。要件を知らなければ、問題が先に進まないのである。

 パート1とパート2の共通点が答えられるようになるのが第一段階。
次は、第二段階に移る。
 それはパート1でいえば次のパターンを知ること。
 ①法人事業承継
 ②個人事業承継
 ③不動産賃貸の相続
 ④(医療法人)

 このパターンがあるのだな。ガパオライスさんが1回目の面接で失敗したと言っているのは、②の個人事業承継が面接の本番で出てきて、①の法人と大体同じと思っていたけど、面接では実際ほとんど答えられなかった、と言っていたから、まずは①を主軸に覚えて、②も抑えなくてはならないのか。
 ④は赤本(問題集)以前の過去問に掲載があるようだが、ここしばらくは出ていないな。まずは①~③の何を聞いているのか分類していく。
 例えば①法人なら事業承継税制の特例を使うの?それとも承継しないでM&Aするの?その時の注意点やメリット、デメリットは何?②個人なら法人化するの?違う選択肢あるの?的なことが聞かれているな、と理解した。

 パート1の質問の1~3は繋がっていて、1は大枠の悩みは何ですか?これは問題文の中に書いてある。~に悩んでいる。~に困っている。まとめると下記の通りに(大半は)なる。

 ・納税資金の確保
 ・相続税の軽減対策
 ・円滑な遺産分割
 ・事業承継税制の特例

次の2の質問はそれらの対策だから、具体的対策はどういうものがあるか、条件は何かを整理しておく。3は具体的に何を提案するかを答える。

 ・納税資金の確保   →生命保険の活用、役員退職金、金庫株
 ・相続税の軽減対策  →生命保険の活用、小規模宅地の特例、生前贈与
 ・円滑な遺産分割   →遺言書、遺留分民法特例、代償分割、生前贈与
 ・事業承継税制の特例 →適用できる?どういう場合に納税猶予?免除?

こんな感じだな。
生前贈与といえば、「直3配特相歴(ちょくさんはいとくそうれき)」
 
 直3→直径血族への「教育」「子育て」「住宅取得」に関する優遇税制。
 配特→要件がそろった配偶者への住宅取得にかかる優遇税制
 相歴→相続税精算課税制度、暦年贈与、いずれか。

こんな感じで、即メモと事例を結びつけるわけである。
勿論、それぞれの具体的な中身や条件は分かっていないといけない。
直径存続への教育資金贈与と子育ての贈与の条件は、それぞれいくらまでで、何歳までが条件になりますか?といった学科で勉強したけど、既に忘却の彼方にある知識を引っ張ってこなくてはならないのだ。

 パート2は、質問事項は決まっていない。つまり事例によって質問が変わる。ということは、パート2の方が臨機応変だし難しく感じるのは私だけだろうか。
 大体まとめるとこんな感じかな。

 ここまで、質問に対する回答を考えて用意できるようになるのが第二段階。次は第三段階。
これは模擬面接をやった人ならわかるかもしれない。
もし、自分が面接官の立場だったなら、どういう深堀り質問をするか?を考えることである。
 相続税対策です→遺言が有効です。→3つの遺言は自筆、公正、秘密です→そのうち自筆をすすめます。理由は~です。
 面接官は次にこう質問をする
「自筆証書遺言保管制度について教えてください」
 →~です。

 普通はここまでで質問が終わります。でも続きの質問を深堀りして考えるのです。

 「委任状を使えば、代わりに親族の誰かがその制度を使えますか?」
 「費用は公正証書遺言に比べて安価であるとのことですが、この制度を利用するには、いくらくらい料金がかかるのでしょう?」
 「そもそもこの制度を利用できる法務局はどこになりますか?一つだけですか?」
 「実際に相続が始まったら、この遺言はどういう風に知らされるの?知らされないの?」

 学科の応用編の穴埋めで、ちょびっと出た内容が、こんな形で自分に降りかかってくるとは、てな感じです。

まとめると
第一段階 どの問題でも共通して問われる質問に答えられる
第二段階 本問の何が問題で、どういう提案方法があるかを導き話せる。
第三段階 面接官の次の質問を想定して準備できる。

おそらく第一段階だけの人は落とされるな。
第二段階が合格ラインなんだろうな。
余裕のある人は第三段階まで想定して考えるよな。

A 顧客の問題点の把握 40点
B 問題解決の検討分析 60点
C 顧客の側に立った対応 60点
D FP倫理と法令順守 40点

200点満点中120点で合格だ。
でもあることに私は気づく。

1つ目、面接試験は高得点で合格者がいない

学科なら150点、160点台で狂ったような点数を取る人が、たまにいるけど、面接試験の点数って皆120点~140点の間に集中していないだろうか?逆を言えば、第二段階まで何とかたどり着ければ120点もらえるってことか。つまり面接試験で飛びぬけた点数は、事実上つけない、裏返すとつけられない、のではないだろうか。高望みをして失敗するよりも、130点くらいを狙って、125点くらいがちょうどいいのではないか。120点以上で合格に変わりはないのだから。130点以上の人はきっと、第三段階まで用意できた人たちなんだろうな。

2つ目、温厚型の面接官と圧迫型の面接官

 圧迫型の面接官と当たっても、ヒントは言われたという体験談があった。一方で、自分が話をしている最中に遮られ、最後まで発言させてもらえなかったというのも聞いた。泣きながら面接室から帰ってくる人や、怒って帰ってくる人もいたという。何が彼らをそうさせたのだろうか。そういう話を聞くと、こちらまでビビるではないか。
 面接官は味方であるし、ストーリーを把握している。その流れに逆らわないこと。面接官は12分という面接時間をも管理している。最後の質問までたどり着くようリードしてくれている。ヒントも出すはず。どちらに当たろうが、温厚型の面接官の方が厳しく採点をしている可能性もある。あまり関係なく端的に淡々と答える方がいい。大事なことは頭真っ白で何を発言していいかわからない状態にならないようにすること。そのために即メモしたり、知識の整理を前もってしておくことが大事なのだろう。

 3つ目、持ち帰って検討。次は無いんだよの罠、大切なことは時間。

 わからないと「誤りがあるといけませんので、持ち帰って検討させていただきます」というフレーズを使う場面が来るかもしれない。私も最初はいざという時はそのフレーズで、準備をしていた。
 でもその質問が避けて通れない問題なら、
「答えてもらわないと先に進めないから答えて」とか
Ⅰ案かⅡ案どちらを勧めますか?と聞いているのに受験者が「決められません」はダメで面接官に「どっちか答えてもらわないと困る」という事態になるようだ。それでも適当なことは言えない。でも言わないと先に進めないその葛藤が・・・時間だけが過ぎていく・・・みたいな世界なんだろうな。

 「わからない」とは言えない雰囲気が醸し出されている。
 FP1級には相応しくないということなのだろう。わからないというと減点される仕組みがあるのだろうか。その辺は不明である。

 私のスタンスはこうだった。出来るだけ「持ち帰ります」と言わなきゃいいんだろう。いいよ。答えるから。仮に間違っていても堂々と答えてみせるから。おどおどしてすぐ「持ち帰ります」を連発するFPにはならないから。それよりも私が意識したのは時間である。

 12分という時間で最後の質問まで行くという事は、5問質問があれば1問あたりにかけられる時間は2分ちょっと位か。めっちゃ短いな。赤本の解説めちゃくちゃ長いけど、あれ全部伝えたら途端に時間オーバーだわ。ブザー音がなっても面接は続けられるとはいえ、せいぜいオーバータイムは5分くらいだろう。無制限一本勝負ではない。

 つまり問われているのは、短く端的に答えること。要約すること。足りなければ追加の質問が来る。喋りすぎるな。決められた質問、たとえばFPが調べる事項や専門家の内容は、短く的確にツラツラ述べる。それよりも本題に時間をかける。これが私の戦略である。

 逆に私の面接体験談を後で載せるが、質問に対して「ここがちょっとわからないのですが」と素直に話をしてしまっている。まあこの辺は何が正解なのかは面接官の採点表をみないとわからないから、これ以上は追及してもしょうがない。大切なのは時間。それを意識していたということです。

 まぁごさんがLINEグループで2022年2月にFP1級面接を受験する人限定のグループを募っていたため、すぐ手を挙げて入れてもらう。ここでの情報共有が非常に役に立ちました。知らない情報を投稿してくれる同期受験生がたくさんいてくれたおかげです。

2022年1月23日、FP1級学科試験。受験者から悲鳴が聞こえる。
「なんじゃこりゃー(太陽に吠えろ風)」
応用編の問題をダウンロードして解いてみる。私も「なんじゃこりゃー」
赤本読むのを放棄して、学科の応用編の一部を解いてみたのだが全く同じ感想が出ました。

 受験された皆さんには申し訳ないが、LINEグループで同期受験の方たちと「私、つくづく前回ギリギリでも、受かっていて良かったと思いました」
と正直に感想を述べる。後で聞くと応用編の点数は大幅に加点され、まともな自己採点だと不合格の人が合格になりました、と多数の報告をされていた。でもそれが試験なんだよな。今回受験された方が2021年9月試験にも一番合格率が高かった2021年5月試験にも戻れるわけではないんだよね。過去には戻れない。前を向くしかないんだわ。
現に私は3回落ちて4回目に合格したわけだし。

 2022年に入り、私には別なことが気になっていた。
コロナの感染者数が爆発的に増えている。第6波というやつである。
2021年の年末には東京1日当たり500人をきるレベルが日に日に倍々ゲームで増えていく。1万人を超えた時、これはやばいぞ。受験できなくなるかもと思った。

 受験票が2週間前に届く。場所と時間がわかる。
私の場合は、2月5日。東京の八重洲、時間は午後13時から受験とわかった。1秒でも遅れると即失格と聞いていたので、前泊を選んだ。

 試験日の13日前、事件は起きた。

 月曜の夕方、カミさんからスマホに電話が入る。
 「やばい事になった。土曜日に私が会った人がコロナになって、今保健所から電話が来た。私、明日PCR検査を受けてだって。どうしよう?」

 ほどなくして、子供が通う学校からも休校の連絡が来る。
学校でも感染者が出たってことなのか。

 自分の会社の上司に電話連絡をすると
「結果が出るまで、職場に来ないでください」


 ・・・・・私の頭は真っ白になった。

(面接編3へ続く)





 
 



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