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オーストラリア農業の先進性から学ぶ! 第13回 潅水資材、潅水方法

水不足が深刻なオーストラリアでは、その課題に対応するために節水技術が飛躍的に発展しました。特にマイクロ灌漑技術は、その中でも顕著な進歩を遂げています。今回は、この技術がどのように日本の農業にも応用できるか、詳しく解説いたします。オーストラリアの厳しい環境で培われたこれらの技術は、日本の農業にも多大なメリットをもたらします。

オーストラリアの潅水技術

施設栽培では、露地栽培と異なり、作物の品種や栽培方法に合った適切な潅水資材や潅水方法を選ぶことが重要です。年間を通じて水不足が深刻なオーストラリアでは、節水型のマイクロ灌漑システムが広く利用されています。

主な潅水資材とその用途

マイクロ灌漑システムとは?
マイクロ灌漑は、50年以上前に水不足のイスラエルで生まれた節水技術です。オーストラリアでは、施設栽培のみならず露地栽培にも広く普及しています。

マイクロ灌漑システム①:点滴チューブ

点滴チューブの構造

特徴: 小さな孔が開いた特殊な管で、作物の根元付近に少しずつ水を与える。
利点: 作物の根に確実に水を届けるため、少ない水でも効率よく潅水できます。液肥を混ぜて与えることで、簡単に施肥が可能です。葉や枝を濡らさず、土の跳ね返りもないため、病害虫の発生を抑えます。また、点滴潅水により、作物の根は酸素が多く含まれる比較的浅い場所に発達します。液肥の流れが根の肥料成分吸収に重要であることが明らかになっており、定期的に時間をかけて液肥を流す点滴潅水施肥栽培の利点が新たな角度から証明されつつあります
 
マイクロ灌漑システム②:マイクロスプリンクラー

特徴: 広範囲にわたり細かく水を散布。
利点: 均等に水を供給することで、均一な生育環境を実現します。
 
マイクロ灌漑システム③:細霧冷房フォグスプリンクラー

特徴: 霧状の水を散布し、気化熱で温度を下げる。
利点: ハウス内の温度を3~10℃下げることができ、高温対策に効果的です。

節水技術の導入で日本農業に多くのメリットを

水不足が深刻なオーストラリアでは、節水技術が大きく発展し、特にマイクロ灌漑技術が進歩しました。この技術は、日本でも特に夏場の水不足対策として非常に有効です。節水技術を導入することで、地球環境への貢献も期待できます。さらに、作物の品質向上、特に糖度を上げることが可能で、多くのメリットがあります。マイクロ灌漑などの高度な節水灌水技術を導入することで、日本の農業にも以下のメリットがもたらされます。

  1. 水効率の向上: 限られた水資源を効率的に利用でき、水不足の問題を緩和できます。

  2. 品質向上: 高品質な農産物を国内市場にも提供できるようになり、特に糖度の向上が期待できます。

  3. 環境への配慮: 節水技術を活用することで、地球環境への負担を軽減できます。

  4. 病害虫の抑制: 効果的な潅水方法で病害虫の発生を抑制し、作物の健康を維持します。


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