見出し画像

8号車を予約したが、列車は7号車までしかなかった。【イタリア鉄道旅】

イタリア鉄道旅行と聞いてどんなイメージを持つだろうか。なんとなく優雅や楽しそうといったイメージをする方が多いかと思う。私もそうだ。そうだった。

イタリアには2種類の高速鉄道がある。Frecciarossa(フレッチェロッサ)とitalo(イタロ)だ。italoは主要都市間のみ運行する鉄道でFrecciarossaとは別会社だ。
大抵の場合、移動にかかる時間はほぼ変わらずitaloのほうが数ユーロ安い。そこで自分もフィレンツェからミラノへ向かう列車をitaloで予約した。

italoのバウチャー

10時にフィレンツェ駅に着いて電光掲示板を見る。(イタリアの駅では列車が来る10分ぐらい前に列車の到着プラットフォーム番号が表示されるシステムとなっている。)
おや、1つ前の電車が遅延している。まあそんなこともあるだろう。
自分の乗るitalo9916、なかなかプラットフォーム番号が表示されない。
10:15になっても表示されない。これは怪しい。
そして25分のdelayが表示される。うーむ、まあしょうがない。
25分だとコーヒーを飲みに行くにはちょっと短いので、そのまま駅で待機。
25分delayということは10:50のはずである。しかし10:45になってもプラットフォーム番号が表示されない。不安が高まる。
そして遅延60分の表示。やはりか。
しょうがない。腰を据えて待つとしよう。
持っていたクッションを床に敷き、長丁場を覚悟。

混み合うフィレンツェ サンタ・マリア・ノヴェッラ駅

遅延表示は60分が90分になり、100分になり、とうとう120分になった。
言うまでもなく120分というのは2時間である。
最初から2時間だとわかっていれば、どこかレストランでも行けたが、徐々に伸ばされる2時間はどこにも行けず大変つらい。
そもそもフィレンツェとミラノは約2時間で着くはずだ。2時間の移動のために2時間待つ。まあこれもイタリアらしいかな。などと思っていた。

そしてようやく電光掲示板にプラットフォーム番号が表示され、2時間遅れで列車が来た!列車の乗客がすばやくそのプラットフォームに移動する。
私の予約は8号車。手前が1号車なので奥へ進む。4号車を通過したあたりでちょっと違和感を覚える。列車が短い気がする。
これはあれかな。途中の号車を省いてあるパターンかな。と都合の良い方の期待をする。
しかし列車の最後尾は7号車だった。繰り返すが私の予約は8号車だ。

どういうことだ???
列車番号はあっている。間違いない。しかしどう見ても列車は7号車までしかない。そして何度も見ても私の予約は8号車である。
遅延による混乱か列車スタッフも見当たらない。

italoチケット。今見ても8号車である

全席予約席の列車であることは知っている。そうなると乗って良いのだろうか。2時間遅れてようやく来た列車。これを逃すとまたいつ来るかわからない。乗ってしまえ。車両間のデッキに立って過ごせばいいや。

おそらく私と同じく予約したが席が物理的にない人が通路にあふれる。
隣の人に私の存在しない8号車の予約チケットを見せたところ、その隣の人は俺なんて9号車だぜとお互い笑い合う。

その後、列車スタッフが大声で叫ぶ。どうやら空いている席に座って良い、そして空いている席は自分で探せ。とのことらしい。

何車両か探しようやく座るも、この席が途中駅から予約で埋まっていたらどうしようという恐怖に怯えながら列車はミラノに当初の3時間遅れで到着となった。長旅であった。

なお、ここまで散々な目に会いながらも焦りはあったが、怒りはなかった。もし日本だったらYahoo!ニュースのトップを飾りかねないが、特に怒っている人は誰も見かけなかった。きっとこれもイタリアの日常なのだろう。
旅とはこういうものだと思った。

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?