”松原聖弥”という存在

昨年、新外人パーラを押しのけライトのポジションを手中にし、2021年はレギュラー定着に向けて飛躍の年になるはずだった松原。
しかしジャイアンツは2020年オフ、補強の手を緩めずFAで梶谷、外人野手二人を新たに獲得する。しかしこれは今に始まった事ではなくジャイアンツにとっては定例行事みたいなもので各選手も覚悟はできていただろう。

松原にとってもそれは試練の道になるところだったが、コロナの影響で外人選手の来日は遅れ開幕はスタメンに名を連ねる事ができた。もし予定通りに来日できていたなら開幕スタメンがあったかどうかはわからない。現に4月27日一軍に合流した新外人にあっさりスタメンを奪われている。

丸の離脱と新外人合流
松原は開幕から一塁中島、左翼ウィーラーの時以外ほぼスタメンを張っていたが、コロナによる丸の離脱以降、数試合重信に明け渡す事はありつつもしっかりと丸の不在を埋めた。この時SNS上では松原を推す声も多く1番打者定着に期待が高まったが、前述のとおり4月27日の神宮から合流した新外人にスタメンを明け渡すと一転、外人のパワーだ、これで強力打線が組めると話題はそちらへ移り松原の名前は影をひそめることになる。
この時コロナ離脱から戻りスタメンに復帰していたウィーラーまでベンチに追いやられることになるのだが、テームズの気の毒な怪我で次戦から再びスタメンに名を連ね現在に至っている。

松原は神宮でスタメンを外れて以降、その試合を含め交流戦までの19試合全てスタメンを外れた。
補足だがスタメンを外れた4月27日まで(開幕から28試合目)で松原は規定打席に達しているのだが、ここからスタメンを外れることにより当然規定打席不足となった。あのウィーラーでさえ石川でのDeNA戦でやっと到達したことを考えると、たかだか開幕から28試合ぐらいで規定打席なんて言うな、などとは軽々しく口にはできないだろう。

交流戦
松原は交流戦開幕カードの楽天戦からスタメンに復帰する。
そう、理由は梶谷の離脱だ。
交流戦では相手が左投手の時や、石川、重信の起用で外れることもあったが、ご存知の通り重信はスタメン時に三振を連発し交流戦途中で抹消、梶谷不在の交流戦、そのほとんどを松原が埋めることになった。

松原の交流戦成績
全18試合中16試合出場(内スタメン13試合、途中出場3試合)
60打数18安打 .300

スモークの離脱
ここまで振り返っても松原が確固たる理由なくスタメンを外れたのは新外人が合流した時だけで、それどころか丸と梶谷というFA組の離脱をほぼ遜色なく埋めてきたのは松原であり、スモークが抜けた後はその二人がそろってもスタメンに顔を並べているので、結局この三人の離脱を事ある毎にほぼ一人で埋めているのだ。
しかも開幕からベテランの亀井、中島、炭谷を除くと岡本、大城、そして松原だけが抹消されず一軍に残り続けているのである。
岡本は勿論、大城も主戦とするならば、松原もレギュラーと考えていいのではないかと言える存在なのだ。スーパーサブなどとという称号は決して当てはまらず、逆に松原に対して失礼ともいえる。

高橋由伸氏はスポーツ報知で、スモークの穴は松原で埋められると言っていたが松原の成績でスモークの穴が埋められるのなら、それは補強として不必要だったという事になる。
スモークと松原を攻走守で単純に比較してみてもスモークが松原を上回るのは打撃(長打力)だけ。その打撃成績が一目瞭然の雲泥の差で上回らない限り、攻撃ではホームベースが近く、守備では相手のホームベースが遠くなる野球をするには、松原の方が確実に可能性は広がる。
(打撃成績については文末の表を参照してください)
松原をスタメンで使いたいのに守備固めでしか使うところが無い、という嬉しい悲鳴が聞こえて初めて補強助っ人であって、松原の方がいいんじゃない?ぐらいのレベルなら助っ人とは呼べないと思う。
結果論だというかもしれないがここ何十年新外人(日本で実績のある外人は含まない)の末路はほぼ同じで結局は現有戦力で戦う羽目になっているのは事実。たった一年でさえ期待通りの仕事を果たした新外人は皆無で、補強ではなく補充になってしまっているのが現状だ。

まとめ

スモークが離脱し8人の野手の顔ぶれはセカンドの若林から北村に代わっただけで開幕メンバーと同じになった。これは果たして戦力ダウンと言えるだろうか?
私はそうは思わない。
それは交流戦後の5試合ですでに違いが表れているからだ。
第一に守備力の違いだ。
守備位置の優劣は決して当事者だけの比較ではない。
松原vsウィーラーの外野守備
ウィーラーvsスモークの一塁守備
ウィーラーをスタメンから外す選択肢は100%無いのだから
すなわち松原vsスモークの守備力の違いになってくる。
そして皮肉なことに交流戦後の4連勝した試合内容は、パワーと本塁打を期待した助っ人抜きの本塁打攻勢で勝利している。
でもそんな試合ばかりではない。打てない時、長打が出ない時もある。
そこで何がものをいうかと言えば機動力などのスモールベースボールだ。
この面でもスモークが戦力にならないことははっきりしている。
打ってくれることをひたすら期待するだけのスモークベースボールには
限界があるのだ。(こんなんいらんねん、て?w)

外人が必要不必要だとかそういう問題ではなく、目の前に勝利に貢献できる選手がいませんか?という事をもっと考えてみたいのだ。
松原にしてみてもまだまだ足りない部分が多いのも事実。
三振の多さ、出塁率の低さ、守備でも肩は良いが送球は安定しないことも多い。
打ち方についてもバットを長く持ち足を大きく上げるのは悪いとまでは言わないが、近本や糸原、中野を見て松原は何かを感じてほしいと常々私は考えていた。
それはバットを短く持ったり、北陸シリーズでのノーステップ打法に表れてきたので彼もこのままではいけないと考え始めた良い兆候だと私は思っている。

2015年途中にブレイクし2016年の由伸新政権からレギュラーが期待された立岡もその年の開幕からスタメンで頑張っていたが怪我で離脱しそれ以降一軍二軍のエレベーター。
松原と立岡の違いは怪我もせずレギュラー獲得に二年連続で必死に食らいつけているところで、松原を試合で見てみたい使いたいと思わせる魅力が彼自身のアイデンティティーに繋がっている部分ではないだろうかと
松原を育成から見続けている私の率直な感想です。

でも確実に来季も外人は来るんだ、頑張れ松原!!

最後に松原、スモーク、丸の交流戦終了時の成績比較を貼付しておきます。
特に丸と松原の安打数と四球数の違いは面白い数字です。打率と出塁率の違いがよくわかります。

最後までお付き合いありがとうございました。

松原スモ丸

※先(スタメン数)、途出(途中出場)
文中の各数字については自分調べですので間違いがあった場合はご容赦ください。

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