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中山と秋広の打撃分析

練習試合ではあるがこの二人の打撃内容に注目が集まる中、試合での画像を使って分析してみたいと思います。

1.中山の非凡な打撃センス

まず初めに技術的なことはさておき試合の中でとても感心させられたことについて書きます。
2月15日、日ハムとの練習試合。第二打席目3-0のカウントからインコース寄り甘めの直球を見送り天を仰いだ。ここでそのことを引きずったまま次の球に対峙すると得てしてボール球に手を出し3-2にしてしまう事は多々ある。
しかし次の変化球を打ちに行きながらしっかりと見極め四球にした。とても内容のある打席でした。
そして次の打席、同じ3-0シチュエーションになった。ここで並の若手なら前打席の後悔がよぎり安易に手を出してしまいそうな四球目の難しい直球を見送り、それより少し甘くなった次の球を捉え左翼線二塁打にした。
四球やヒットを打った結果もそうだが、それまでのプロセスに中山の非凡さを感じた二打席の内容でした。
こういう場面で全く逆の事をしてしまうのが尚輝や松原で、3-0,3-1での打席内容に不満が残る昨年だった事は記憶に新しい。
しかし中山もまだ一軍の一線級と対戦した経験は浅く、これからオープン戦に入りどんな打撃内容を見せてくれるのか楽しみです。

では打撃分析をしてみたいと思います。
日ハム戦最終打席の中堅越え二塁打の打席です。

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①打席での構え。自然体で左足の上にグリップが来る理想形。
全ての画像でベンチ上の「沖縄」の文字に着目してください。

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②タイミングを合わせてマックス足が上がった状態。グリップに位置は沖のさんずいの幅で収まっています。無駄な動きもなく最小限のタイミングの取り方です。

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③ステップした足が地面についた瞬間のトップの位置。グリップの位置は変わりません。右足とグリップがしっかり割れています。

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④振り始めグリップのスムーズなトップダウン(黄色矢印)
インパクトに向かいます。

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⑤インパクトの瞬間(青〇)。低めという事もあるがヘッドアップしない(赤〇)
左足の蹴りが弱く見えるがもう少しステイバックすれば地面からパワーをもらい点線を伝わってバットにもパワーがかかる。しかし本人が大きいのを望まなければこのままでも特に問題はないと思います。

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⑥フィニッシュ。視線はまだインパクトに残っている。
王さんの頭の残り方を彷彿とさせる。
グリップの位置が動かない事でボールへの対応力は上がりコンタクト率は高くなると感じる内容でした。

次にロッテ戦の第三打席に着目。

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ア、第二打席も同じような打撃内容でしたがこちらのほうが顕著だったのでこの打席を参考にします。どちらの打席も3-2のフルカウントでどんな球にも対応しなければいけない状況。直球に差し込まれるのは仕方の無い事。
このインコースの直球もボール(青〇)とインパクトまでの距離感が短く差し込まれるのは本人もわかっているはず。グリップエンドはボールにしっかり向かっています(赤矢印)

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イ、差し込まれた分の時間を取り戻すため、右ひじを背中方向に引き(赤矢印)バットヘッドを走らせ、左掌(緑〇)をテニスラケットの面のようにボールを捉える。

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ウ、打球(青〇)、赤矢印、緑矢印方向に腕を回し

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エ、青矢印のように回転したあと左手を話している。この時も視線はインパクトに残っている。

二つの打撃内容を見て、彼は三振の少ない打者になるのではないかという期待感が強いし、走者がいる時こういう打者が打席にいると攻撃の幅もできる。本塁打は必要ない。立浪のような二塁打の多い選手になってもらいたいです。

2,秋広は変化球の対応力

次は秋広について
ロッテ戦の第一打席センター前ヒットの打席
※この出席での構えの画像が撮れなかったので①だけ他の打席のものを使用しています。カメラ位置は同じなので問題ありません。

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①中山と同じように自然体で理想的な構え。
同じく沖縄の文字に着目。

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②タイミングを合わせて足がマックス上がった状態。グリップは捕手方向に大きく引かれ、沖のさんずいから縄の糸へんまで移動している。頭の位置も注目。

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③ステップして右足が着地したトップの状態。頭の移動幅、グリップは再び沖のさんずいに戻る。

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④振り始め。緑矢印の幅分移動してるのでボールに対して振りはじめを早くしないと直球には間に合わない。赤の縦線から振りはじめまで反動をつけた状態で、弓で言うと大きく引いた状態なので当然大きなパワーは生まれる。彼はそれを使わずとも当たれば飛んでいくので中山のような位置でグリップが初めから動かない方がいいと思う。

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⑤大きく引いた分距離もできるので振り始めは早くなりボールを呼び込むというより衝突に近いインパクト(青〇)。このタイミングで変化球ならバットは止まらないだろう。左足がくの字になっている割には蹴りが少ないように見えるので彼こそもう少しステイバックしたほうがいいと思う。打球角度が黄色矢印ならスタンドだっただろうがそれの確率を上げるのが至難の業。

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⑥大きなフォロースルーは長距離打者の特徴。
②の画像が無い打撃フォームなら変化球にも対応できそうだが、あそこまで引くとセンターカメラから背中の55がはっきり見えると思う。右肩が入りすぎているかも。
①の次に③の画像ならいわゆるノーステップ打法と同じになるのでわかりやすいと思います。

3、まとめ

2人とも非凡な打撃センスを持ち合わせ、また器用さも兼ね備えている。中山は今のまま伸びてくれるといいが、秋広はロングを求められると思うのでその器用さが邪魔にならないか心配。松井秀喜は不器用だったがそれが逆に長距離打者として良い方に出た。器用さは長所を伸ばす事にもなるが器用さそのものが短所になることもある。
中山と秋広の2人を足して2で割ったらなんて言われないように
ともに切磋琢磨し二人でそれぞれレギュラーを獲れる選手に成長してほしいと願います。

久しぶりの若手の子の期待感にワクワクしています。


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