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王子様はどうして白馬に乗ってくるのか

小さい頃、よく家でアニメを見ていた。
ディズニー作品も当たり前のように見ていたのだが、子供ながらに「どうして王子様ってやつは白馬に乗ってくるのだろう?」と不思議に思っていた。
いまならわかるが、時代が時代だからだ。
車もまだ発明されていなければ、自転車だってそうだ。それに王子様クラスにもなれば徒歩でテクテクと歩くことなんかしないだろう。それでも疑問に残るのがどうして白馬なのか、だ。
調べてみると白馬はおよそ一万頭から一頭の確率で生まれるらしい。なるほど、ということはだ。それだけ貴重な白い馬に乗れる階級なのだと見て一瞬でわかるように示しているのだろう。しかしそれにしても、とまた疑問が生まれる。
王子はどうして一人でウロウロ森の中を彷徨っているのか。もっと護衛を20人くらいつけたほうがいいんじゃないか?王子という立場の人間と白馬という貴重な存在が気軽にお散歩しちゃっていいんだろうか?それとも私の記憶違いで本当は後ろの方に100人くらい護衛がいたのかな。
でもそんなに護衛がいたんじゃ後に自分の妻となる女性を口説くこともできない。
もし私が王子の護衛の一人だったら「王子!その娘にはお近づきになりませんよう何卒!」とか言っちゃいそうだな。だって王子ってばその娘に一目惚れしちゃってフラフラとそばにいっちゃうんだもん。
「王子!もしかしたらその娘は王子の命を狙っているかもしれませんぞ!」とか「王子!あなたには許嫁がいる(かもしれない)でしょう!」とか口うるさい姑みたいになって物語が進めなくなりそうだ。
と、ここでふと新しい物語が浮かんだ。
そんな口うるさい護衛に娘は恋をしちゃうのだ。
「あら、あの後ろにいる護衛さん、王子に物怖じせず忠告して肝が座ってるわ。それに比べて目の前にいる王子ときたら夢現な顔して…」なんて展開はどうだろう?でも結局娘は王子の権力によって無理やり妻にさせられてしまうのだ。
権力に引き裂かれてしまう娘と護衛。そんな時、王子の白馬が何者かに手によって盗まれてしまう。犯人は護衛ではないかと城の皆が護衛に疑いの目を向ける。そうして護衛は牢屋へと放り込まれてしまう。しかし犯人は実は王子だったのだ。
護衛と娘の仲が権力でも引き裂けないと気づいた王子は護衛を犯人に仕立て上げることで娘の気持ちを自分のものにできると思ったのだ。そんな王子の思惑も知らない娘は「まさかあの人が…」と思い煩う。護衛はというと牢屋の中で蝋燭の火を見つめながら娘のことを想うのだった。
数日後、白馬は王子の元へと帰ってきた。連れ帰ってきたのはあの護衛だった。驚く王子と娘。そう、護衛はこの事件が王子の仕業だと気づき、牢屋番(幼馴染)に全てを話し協力してもらっていたのだ。
「王子、見損ないましたよ!」そう言い放った護衛に駆け寄る娘。「少しでもあなたを疑ってしまった私を許して」「君は何も悪くない」そう言って泣いている娘の頭を優しく撫でる護衛。
こうしてまた独り身になった王子は白馬に乗ってあの森へと迷い込むのだった。今度は自分のことを想ってくれる者に出会うため。(振り出しに戻る)

うむ、やっぱり護衛は邪魔だな。と王子目線になって考える。恋敵はいないほうがいいに越したことはない。まぁいたらいたで燃える恋になるんだろうけど。
あと王子、やっぱり白馬はやめておいたほうがいいですぞ!森の中では目立っちゃって危険です!恋したいならもっと人のいる街とかに行ったほうがいいですぞ!と今度は口うるさい爺やの気持ちになる。
いやしかし…と今度は私の心の中の王子が物申す。
「街に行けばそれなりに私に相応しい者が大勢いるだろうがいかせん候補が多すぎる。だが森では人に出会える確率が低い。その低い確率の中でもし私好みの娘と出会えるならばそれは運命!よって街で出会う娘たちより森で偶然出会う娘の方が魅力的なのだ!!」
うーむ、王子は運命に恋しちゃってる節があるのう…と嘆く爺や。
そうか!王子自身も運命を求めていたんだ!!だから森の中を護衛なしで彷徨っていたんだわ…と勝手に納得する。
やっぱり王子には白馬に乗るのをやめていただこう。そして王子という身分も隠してもらって、王子自身の為人で恋愛に発展してもらわないと。
その時のノリや雰囲気で恋するのもいいけどそれだと長く続かないですぞ!
じいやの嘆きも虚しく、王子は白馬に乗って森へと消えていくのであった。
パカラッパカラッ(馬の走る音)




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