マガジンのカバー画像

詩・小説

70
思いついた言葉の倉庫です。 たまに深夜のテンションで小説も書きます。
運営しているクリエイター

#ブラックホール

【短編小説】ブラックホール病

ねぇパパ 「ねぇパパ、私はいつまでここにいなくちゃいけなの?」 娘のシルビアが曇りガラスの向こうに何か絵を描きながら言った。 「そうだね、もう少し、かな」 「もう少し?もう少しってどのくらい?」 屈託のない目でこちらを見てきた娘を見て唇を噛み締めた。 「そうだな…」 考えるふりをして下を向いた。いろんな感情が私を襲ってきたのを娘に悟られたくなかった。 「ねぇパパ!」私に考えがあると言わんばかりにシルビアが声を上げた。 「パパのいた場所で一緒に暮らせばいいんじゃない?」 「パ

【短編小説】ブラックホール病【続】

↓前回の続きになります。コツコツ書いていこうと思いマッスル! 終わりの始まり 「でさー俺名前もつことにしたわ」 「は?マジで?なんで?」 驚くこいつの顔は意外と嫌いじゃないと思いながらあの時のことを思い出す。 片腕が無くなっているにも関わらず、あの警備員は先生とかいうやつをもう片方の腕で抱き締めていた。「まだ名前を聞いていません」と泣きながら。 先生が無線で事細かに今の状況を伝えてくれていたおかげで救急班やら警備班やら、特に何もできないけどと言いながら何か助けになりたい