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詩・小説

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思いついた言葉の倉庫です。 たまに深夜のテンションで小説も書きます。
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2024年5月の記事一覧

壊れたプレイヤー

何にもなくて壊れちゃいそうだよ  子供の頃からずっと感じていた  空っぽの体に棲みつく悪魔が意地悪な言葉で僕を弱らせる  あと何回傷つけばいいんだろう?  夜の街に繰り出す僕のハートに火をつけて  ガラクタの体に棲みつく悪魔が この頃 僕に優しくしてくるんだ  大切なものってどうしてこんなに音もなく簡単に壊れてしまうの?  あの日の過ちが手招きしてる  夜の街に繰り出す僕のハートに火をつけて  壊れていく音楽に乗った僕らに火をつけて

もうここには彼女はいない

祭壇に添えた老人は粒々の涙を流し始めた 牢にいた生活のように 彼女のことを思い出しては嘆いた 帰ろう、ここにはいない 帰ろう、彼女はいない 祭壇に添えた花束に煌々と照りつける太陽の火 蝋に似た生活のせいで 彼女のことを忘れてしまっていた、と 帰ろう、ここにはいない 帰ろう、彼女はいない 見下ろした街に微笑む 洗濯物は嵩張ってカゴの外へ ドアの向こうに感じる あの温かい声で もう一度 僕の名前を呼んで 帰ろう、彼女はいない 帰ろう、ここには居ないから