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【機材レビュー】FitEar Private222を6年ほど使ってみた【カスタムIEM】

普段はヘッドフォンやスピーカーを使って音楽を聴かず、2013年の夏に作成して以来、カスタムIEM(In Ear Monitor :インイヤーモニター)で音楽を聴き続けています。


カスタムIEMとは何か

肯定、構造は非常に単純明快なのですが、耳の中に綿球を入れ、2種類のシリコンを混ぜたもの(インプレッション剤)をその上にシリンダーを使って流し込みます。

それによって耳型を作成し、その耳型をベースに作成したシェルの中にドライバーユニットやら、音を出すために必要な機材が入ったもの。つまりは、世界で唯一自分の耳のためだけに作られた、自分の耳に最高にフィットした(カスタムモールドが施された)オーダーメイドなイヤホンです。

なぜFitEarを選んだのか

カスタムIEMと一言で言っても種類は多岐に渡ります、メーカーも複数社存在します。自分は中でも国産、老舗中の老舗、数多くのアーティストにも提供実績のある、須山補聴器のFitEarを注文しました。注文したのはPrivate222と呼ばれる、デュアルドライバーモデルのもの。

FitEarのオーダー製品群の中では最安価なラインナップではありますが、それでも購入当時約10万円前後(2013年夏頃の価格)。当時大学生だったことと、AK240(DAP、当時20万円ほどで購入)をそのタイミングで購入していたこともあり、清水の舞台から飛び降りる覚悟で、札束を握りしめ銀座に行った日のことを今でも覚えています。

例えば海外のモデルを購入した場合、修理にも輸送コスト他時間がかかります。微調整、破損時の修理などの依頼が必要なケースなども想定し、なるべく国内で、そして実績があるところで多少高くても品質の良いものを注文しようと思い至り、注文しました。

どのように使っているのか

正規品を購入後、純正の銅線ケーブルで散々AK240で音楽を聴き倒したのち、散々リーブルを楽しみ、大破に近い破損経験・修理を経て、今ではFostex TM2に常時接続し、完全ワイヤレスでiPhone7PlusとBluetooth連携し音楽を聞いたり、YouTubeを見たりする上で、欠かせない存在となっています。有線接続でAK240に直刺しし、DSD音源、ハイレゾ音源を楽しむこともあります。

また上記した通り、過去に1度大破に近い状態に破損した経験を持っております。その際の須山補聴器さんの対応もnoteに過去まとめているので、気になった方はご参照ください。

なぜカスタムIEMを買うに至ったのか

カスタムIEMを購入するに至った理由は、全部で3つあります。下記にて記載、ご説明します。

(1)遮音性の高さ
(2)見た目・外観の良さ
(3)市販イヤホンをたくさん買わなくて済む

(1)遮音性はどのぐらいあるのか

まずカスタムIEMの特筆すべき点は遮音性の高さです。もともと山梨、静岡に住んでいた際は気にも留めませんでしたが、東京都内を地下鉄電車で移動するようになると話は変わります。電車の走行音、人の声、アナウンス音声など、様々な騒音が音に集中行為を妨げます。例えばBOSEのノイズキャンセリング機能が搭載されたモデル(BOSE QCモデルなど)などは、ジェットエンジン音もキャンセリングすることで有名になりましたが、人の声や車内アナウンスまではキャンセリングできません。今流行りのAirPodsもそうです。しかし、カスタムIEMは耳型に合わせてユニバーサルモデル(市販イヤホン)に比べて音が入り込む隙間がなく、しっかりと耳に装着すれば、騒音に晒されることは一切ありません

カスタムIEMは元々、ステージ上のミュージシャン、オーディオエンジニアがモニタリングチェック時に音的障害が複数ある環境でも、正確に自分が拾いたい音をその場で拾えるようにと作られたものです。通常演奏者はモニタースピーカー、モニターヘッドホンを使うケースも多いのですが、遮音性が低い場合ボリュームをどんどん上げていき、聴力の低下や、難聴を引き起こす危険性がある他、ボーカル担当などパフォーマーの場合、それらが演出障害となることも多く、視覚的問題がない形であることが求められるため、遮音性の高く、低ボリュームでもしっかりと音が聞こえるカスタムIEMが作成されるに至りました。そのため、カスタムIEMはライブ会場の爆音のなかで視聴したとしても、正確に聞きたい1音を聞くことができます。(試したことがないのでわかりませんが、おそらく...)

(2)見た目・外観

見た目も美しいです。腕時計の裏スケを楽しむようにいつまでも眺めて入られます。自分のFitEarは赤色(色は無色、赤、青から選択できますが、これらの色に限定されているのも音響的な理由があると須山社長ご本人に伺ったことがあります)ですが、まるで燃え上がるような赤です。

自分のモデルは右側が若干赤色が濃くなっていますが、過去に大破した際にカスタマイズしていただいており、その影響で赤みが深くなっています。

定期的に専用の道具を使って掃除をする他、補聴器用の乾燥機で定期的に乾燥させます。

カスタムIEMは耳にフィットするよう整形されているため、長時間音楽を楽しんでいても耳が疲労感を感じにくい半面、ずっと耳につけたものは不衛生ですし、できれば洗って綺麗にしたい欲に駆られます(それは不可)。また機材の大敵である湿気にも、常に晒されているということにもなります。そのため、メンテナンスは非常に重要です。特にランニングなどのスポーツを一緒に楽しんだ後は、必ず汗などを拭き取り、乾燥機に入れて衛生環境を保つよう工夫しています。

(3)市販イヤホンをたくさん買わなくて済む

最後に、非常にくだらない理由とお思いになるかもしれませんが、「市販イヤホンをたくさん買わなくて済む」というのも理由の1つです。もちろん、カスタムIEMを複数台所有し楽しむ方もいらっしゃいますが、自分の場合はPrivate222を購入して以降、ほぼイヤホンは購入しておりません。

これは、自分は非常に大きなメリットだと実感しています。例えば、僕は静岡に在住していた際にSE535Ltdを購入した数ヶ月後に、K3003を購入しています。

SE535ltdは3万円。

K3003は当時10万円しました。

これは大学2年生にとって、とても大きな出費です。市販品のイヤホンはいくらでも買い足す事ができる上、「自分により合うものを」と求めてしまう為、特に歯止めが効かないように思います。一方で、カスタムIEMなら如何でしょうか。もちろん、前述した通りカスタムIEMを複数台所有する方はいるでしょう。しかし、自分のように1つオーダーメイドで作れば満足するという方もいるはずです。そのようなゴールもあるのだということを、ぜひ知っておいていただければと思います。

FitEarPrivate222の何が良いのか

全体的にバランスが良く、特に特筆すべき得意もありませんが不得意もなく、どんなジャンルの音楽も楽しませてくれます。アニソン、Jazz、テクノ、民族楽器、色々な音楽をフラットに楽しむ方にとってはとても良い機材ではないかと思います。

一部では低音過多と評されることも多いモデルではありますが、自分はそのように思いません。確かに高域の表現は決して上手ではありませんが、中音域もそれなりに鳴らしてくれるので、聞き疲れといったことにも繋がりにくく、ユニットの構成もシンプルなので音が過密に感じたり、重たく感じることもありません。Fostex TM2を使えば、携帯性も抜群です。

最高の機材です。

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