【ソーシャルワークのFileMakerカスタムアプリ入門10】1画面のシステムで学ぶこと〜スクリプト〜
はじめに
前回は、「マージフィールド」「ドロップダウンカレンダー」「ドロップダウンリスト」「ラジオボタン」「垂直スクロースバー」、フィールドのインプット・メソッドの設定を行い、機能面を補足しました。
今回の記事では、ボタンにスクリプトを設定します。
👇この部分です。
現在はクリックしても何も起きませんが、それぞれをクリックしたときに「新規のレコードを作成する」「検索条件を入力し実行する」「全レコードを表示する」「レコードを削除する」といった動作をさせるのが、「スクリプト」です。
「プログラミングはなかったんじゃないの?」と思われたかもしれません。「そのとおり。しません。」「???」
では、実際にどのようにスクリプトを作成するのか、見ていきましょう!
スクリプトとは?
FileMakerヘルプで、以下のように説明されています。
FileMakerでは、英数字や記号の文字列からなるプログラムやコードといったものではなく、「スクリプトステップ」の連続でさまざまな作業動作を作ります。
スクリプトステップにはどのようなものがあるかについて、こちらもFileMakerヘルプの「スクリプトステップリファレンス」から参照しましょう。
例えば、「編集に関連するスクリプト」には、以下のものがあります。
消去
コピー
切り取り
貼り付け
検索/置換を実行
すべてを選択
選択範囲を設定
元に戻す/実行
自然な日本語の文が並んでいます。リンクではありません。これが実は、スクリプトステップです。私はこれを始めてみた時、おもちゃのLEGOを想像しました。
「命令のひとつひとつがブロックで、それを組み合わせていけば、思ったように動かせる。プログラムを書かなくても。これなら自分にもできそう!」と思ったのが懐かしいです。プログラマーでなくても、自分の業務に合ったアプリを自作できてしまうんです。すごくないですか?
「新規レコード作成」
では早速、ボタンにスクリプトを設定しましょう。
レイアウトモードで①「新規レコード作成」ボタンを右クリックします。②「ボタン処理」、③「単一ステップ」を選択します。
「ボタン処理」ウインドウが表示されます。「単一ステップ」なので、ここでは1つの命令のみボタンに設定することができます。「レコード」トグルの下、①「新規レコード/検索条件」をダブルクリックし、左のエリアに転記します。②[OK]をクリックします。
これで、「新規レコード作成」ボタンをクリックすると、新しいレコードを作成することがでるようになりました。
実際に動かしてみましょう。現在15レコードあります。ここから「新規レコード作成」ボタンをクリックします。
レコードが16に増えました。カーソルが「開始日」に入ったので、ドロップダウンカレンダーが開いています。
「レコード検索」
続けて、「レコード検索」ボタンにもスクリプトを設定しましょう。レイアウトモードで①「レコード検索」を右クリックして、②「ボタン処理」、③「単一ステップ」を選択します。
「切り替え/移動」トグルの下にある①「検索モードに切り替え」をダブルクリックして、左側に転記します。②[OK]をクリックすれば設定完了です。
「検索モードに切り替え」スクリプトステップにはオプションがあります。ステップの右側に括弧と歯車のアイコンがあり、そこで設定できます。
検索モードに切り替えると同時に、あらかじめ任意の検索条件を設定できる、というものです。ここでは設定しませんので、[キャンセル]でウインドウを閉じで大丈夫です。
「レコード検索」ボタンの動作確認に戻ります。
「レコード検索」ボタンをクリックすると、「検索モード」に画面が変わり、検索条件とする値を入力することができます。
フィールドには虫眼鏡のアイコンが表示され、検索条件が入力できることを示します。上には、検索の実行をコントロールするボタンが並んでいます。検索条件の値を入力して「検索実行」をクリックするか、[enter]キーを押すと検索が実行され、「検索キャンセル」をクリックすると検索がキャンセルされて、もとのブラウズモードに戻ります。
前回までに作成したレコードは15個で、全て日付は2024/1/4でした。
この1/14のレコードを検索してみます。先ほどの検索モードの画面で「開始日」のドロップダウンカレンダーから2024/1/4をクリックして入力します。次の「終了日」にカーソルが移ってしまうので、フィールドのどこか外をクリックしてカーソルをフィールドから外します。
そして、上のバーの「検索実行」をクリックするか、[enter]キーを押します。すると、検索が実行され16レコード中、15レコードが該当することが分かります。
表形式でも同じように確認することができます。
「全レコード表示」
「このボタンは何に使うの?」と疑問に思われたかもしれません。確かに、この機能は、リスト表示で検索結果のみが対象レコードとして表示されるとき、全レコード表示に戻すために使うのが一般的です。1画面ではまだ使いませんが、あとで必要になるので配置しておきます。
「全レコード表示」ボタンの設定も、先のものと同じです。レイアウトモードで①「全レコード表示」を右クリックして、②「ボタン処理」、③「単一ステップ」を選択します。
「対象レコード」トグルの下、①「全レコードを表示」をダブルクリックして左側に転記します。②[OK]をクリックします。
画面をブラウズモードに戻して、動作を確認しましょう。現在、16レコード中、15レコードが対象レコードとなっています。「全レコード表示」をクリックします。
全レコードが対象レコードになりました。表形式でも確認することができます。
「レコード削除」
これも、これまでやってきたのとやり方は同じです。レイアウトモードで「レコード削除」ボタンを右クリック、「ボタン処理」、「単一ステップ」の順です。
「ボタン処理」ウインドウで、「レコード」トグルの下の「レコード/検索条件削除」を選択してダブルクリックします。
「レコード/検索条件削除」には、オプションがあります。
これは、レコードを削除しようとしたときに「本当に削除して良いですか?」という確認ダイアログを表示させるか・させないか、を設定するためのものです。デフォルトでは[オン]になっています。これが[オフ]の場合、「レコード削除」ボタンを押したとたんにレコードが削除されてしまうので、うっかりクリックしてしまったらそのレコードは基本的に復活させることができません。そのため、デフォルトの[オン]のままにしておくのが無難な設定ですので覚えておいてください。
おめでとうございます!!1画面システムが完成しました。あなたは、やり遂げました!本当に素晴らしいです!!
おわりに
全10回を通して、1画面システムを作ってきました。この中で、FileMakerの操作の基本部分に触れていただきました。
次回は、全10回分のリファレンス記事を用意します。これを参照すれば、あるトピックが全10回のどこに書いてあるのか分かります。
そして、12回目から、実際に1画面システムを使ってみます。そこで、データの格納の仕方(テーブルの作り方)、データ同士を関連付ける理由と方法、複数のスクリプトステップからなるスクリプト、複数画面の実装等に入っていきます。そして、最終的には、実務にも使用できる、フェースシート、経過記録、統計を処理できる複数画面のシステムを作っていきます。
ひとつひとつ手を動かしながら作られた方は、自分の職場に合った、自分で育てられるシステムを手に入れることができます。
この1画面システムも、もし職場にFileMakerの実行環境があれば使っていただいて構いません。実際に使ってみると、「ああ、だからこういう機能が必要なんだ」ということが体感できます。この体感を持ちながら講座に取り組んでいただけると、理解はとても深いものになると思います。
みんなで、ソーシャルワークをより良いものに。
それでは、また次回の記事でお会いしましょう!!
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