ホタル

 私が取った栄光のほとんどは、小中学生時代のものだ。田舎で全校生徒が少ないから、多少秀でていれば高く評価された。「田舎だったから」と言っても、狙ってなくても取れたのだから、それなりにできた子だったのだろう。過去の栄光に縋りつきたくなるが、今では、その優秀さは消えてなくなり、縋りつく力など残っていない。

 高く評価された過去の作品を見返したら、二つの作品のテーマが「ホタル」だった。しかも同じ年の作品。その年の夏は覚醒していたのかな。

詩集に載せてもらえた詩
優秀賞をもらえた絵

 絵はどこが評価されたのかさっぱりわからない。詩は、下の絵を書いた子と同じ小学生とは思えない質に思える。今であればもっと技巧を凝らせる気がするが、小手先で良く見せるのではなく、小学生らしい素直な作品だから評価されたのかな。


 ホタルは、存在する環境が限定される。居心地の良い水辺に住む。集団で居るけど、個々で別々の方向に行ったり来たりして飛び回る。ぴか、ぴか、ぴか、と光ったり消えたり、存在を示したり夜に溶け込んだり。いや、もともと存在がはっきり見えていなかったものが、ぽっと出てきた感じ。何も言わずに、何の影響もなく存在し、たまに出てきて、また消える。


 私はそんな人間かなとか考えたけど、「自惚れだ、見当外れだ」と一蹴した。

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