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【お花に関する本当の話】これから結婚式を挙げようとする方々へ

公の場で話していいものかどうか
少しだけ(本当に少しだけ)悩みましたが
思い切って、お伝えします。

結婚式になくてはならないものの1つに
お花があります。
新婦が持つブーケはもちろんのこと
メインテーブル(高砂)やゲストテーブルに飾られるお花
エントランスやガーデンも、お花で彩ることで
華やかな空間を演出することができます。
・・・テーブルなどを彩る花のことを、専門用語で装花と言います。

お花にかける費用は、人それぞれだと思いますが
弊社は100万円以上のお花を手がけることもあります。
だけどね、その100万円が、
すべてお花に使われることはありません。

え!?と思われる方も多いかもしれません。
あるいは
「すべてお花に使われることはありません。」という言葉を聞いて
それは人件費とかもあるからでしょ、
何を当たり前のことを言っているんだ?
と疑問に思われる方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、わたしが言いたいことは
そういうことではありません。
事業会社としてサービスを提供している以上
様々なコストを考えて価格を決めるのは当然のことです。

わたしが言いたいことは
ウェディングビジネスの歪んだ構造のことです。

ウェディング会場を持っているような会社のことを
ここではブライダル企業と定義しましょう。
ブライダル企業は、基本的には会場を所有しています。
(借りている場合も含みます)

ブライダル企業が収益を出すためには
その他の「場所ビジネス」と同じように
できる限り、満室、満席にする必要があります。
例えばカラオケやホテルなどは
満室にすれば、間違いなく利益が出るように設計されています。
そうでなければ、ビジネスモデルとして破綻しています。

とは言いつつ、席料だけでは収益が低くなるので
様々なオプションを用意します。
映画館であれば、ポッポコーンやドリンクなど
カラオケも同様ですね。
ホテルであれば、エステやマッサージ、
プール使用料とかもありますよね。

ブライダル企業も、これと似たようなものです。
チャペルや披露宴会場の使用料だけでは収入が少ないので
食事代、ドレスレンタル(販売)、司会者、聖歌隊、
引き出物、映像制作、ブライダルエステ、
そして、お花などが「オプション」の対象なのです。

結婚式を挙げた経験がある方なら分かると思いますが
これらが見積書に、明確に記載されています。
この見積書を見て、思ったより高いな・・・
なんて思った方も多いことでしょう。

わたしがお伝えしたい「本当のこと」とは
このオプションの構造に関してです。
カラオケであれば、飲食などは自前でやっていることでしょう。
しかし、ブライダル企業が提案するオプションは
その多くを外注化している、という事実なのです。

結婚式場で働いている人のうち
プランナーや料理長などは
ほとんどの場合、そのブライダル企業に所属しています。

しかし、ドレスやお花は、かなりの割合で
提携先(外注先)の企業が入っています。
外注とは、自前ではない、という意味です。

外注していることの何が問題なの?
と思われるかもしれませんが
ブライダル企業は、提携先(外注先)から
マージン(紹介料)をもらっています。

例えば新郎新婦から支払われるお花代が
合計100万円だったとしましょう。
ブライダル企業から外注先に支払われるのは、
このうち何割くらいか想像できますか?

答えは、50%~70%です。
100万円の代金のうち、お花屋さんに渡るのは
たったの50万円、ということも珍しくありません。
この50万円の中から、花屋はお花を仕入れて
人件費などの間接コストを考慮して
装花やブーケの制作にあたります。

仕入れコスト(原価率)は会社によってマチマチですので
ここではその原価率を公言することは控えますが
新郎新婦のためのお花は
実勢価格として、せいぜい支払った代金の50%程度です。

弊社は長年、ブライダル装花を手がけてきました。
ブライダル企業と提携して
新郎新婦のための花を手がけてきました。
弊社も当然のことながら
マージンを差し引かれた売り上げの中から花を仕入れ
そして、新郎新婦のために最大限できることをやってきました。
仕入原価も、他社よりも、うんと高いと思います。
(つまり、薄利だということです)
それがために、結婚式を挙げた方には
とても喜ばれてきました。

ただ、会社の経営としては、低コスト高収益を目指すべきなので
あまり手放しでは喜べないとも言えます。
また、新郎新婦が一所懸命に稼いだお金をお預かりしているのですが
マージンを差し引かれた金額の中で
新郎新婦に満足していただける花には
やはり限界があります。
そのような背景がありまして
弊社のトップデザイナーは疲れ果てて
弊社はブライダル企業との提携を終了させていただきました。

繰り返しになりますが、装花部門を外注している式場の場合
どうしても、お花代は割高になります。
高い割には、デザインがイマイチだったりするため
よく、弊社には「持ち込み」の相談がきます。
(持ち込みとは、その会場の花屋に装花を手がけさせるのではなく
 外部の花屋さんに装花やブーケ制作を依頼して、持ち込むことです)

式場の口コミを見ると、装花に対する不満の声をよく見かけます。
そうした式場は、ほぼ全て
装花を外注化していることも分かっています。
そのような口コミを見る度に、
弊社のスタッフは(わたしを含め)心を痛めます。
一生の中でも、とっても大事なイベントの1つですから・・・

もし、これから読者の方が結婚式を挙げるとして
式場を選ぶ基準の一つとしては
オプションを外注していない
内製化していることが挙げられれると思います。
内製化しているから花のデザインが優れている
ということではありませんが
少なくとも、外注しているところに比べれば
圧倒的に原価率が高く、良い花を用意してくれるはずです。

あるいは、持ち込みを全面的にOKしてくれる会場も
狙い目の1つと考えて良いでしょう。
持ち込みの場合、持ち込む花屋は
ブライダル企業にマージンを支払うことはありませんので、
満足するデザインと花のグレードで手がけてくれると思います。

「相手もビジネスでやっているんだから、仕方ないでしょ」
と思われる方は、わたしが推奨する基準は無視していただいて構いません。
外注していても、満足できる装花を手がけてくれる会場はあると思いますしね。

最後に、この記事はあくまでも私見です。
この記事に対するご意見、ご質問は
歓迎しますので、お気軽にコメントしてくださいね。

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